マルコside小説 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63880.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#49 彼のわがままvol




そうして連れてこられた部屋も、あの日同様二人の想い出の場所。

かなりの想い入れのあるこの部屋。何気無い日常を送るのは、少し勿体ない気がしないでもない。

「マルコ先輩?どうしたんですか?こんなとこまで来て…」

「#name#…こっちに座れい」

「? はい」

「#name#。これ受け取ってくれよい」

傍に来いと促され、急に真剣な眼差しと共に差し出された物。
それは…

「これって…指輪?ですよね…」

「あぁ。プロポーズには付き物だろい」

「プロ?プロポーズ!?」

「あぁそうだ。#name#。オレと結婚してくれよい」

「っ…!?」

いきなり何を言うかと思えば…
結婚!?
結婚って、夫婦になるって事だよね…夫婦!?

「#name#?」

「ぁ…ぇっと、今?ですか?」

「あぁ。オレも#name#も、結婚できる年齢はクリアしてるだろい?」

「ぁ、あの…」

「ほれ、手貸せよい」

「ぁ、あの!待ってください!」

「…?」

いきなり結婚だなんて…
どうして、いきなりそんな事を言うのだろうか?
まだお互い学生の身だ。結婚なんて…

「結婚なんて、まだ早くないですか?」

「っ…オレは、#name#と恋人以上の関係になりてぇんだい」

「だからって…まだ私達、学生ですよ?」

それから私は、結婚というものは、お互いが自立して、二人の力だけでキチンと生活できる事。そして親の庇護の下生活を送っている私達にはまだ早過ぎるとゆう事を、怪訝な眼差しで見つめてくる彼に訴えた。お腹の虫と共に。

「だってよい…もし、#name#が留学なんかしてよい、何年も離ればなれなんてなってみろい」

オレは不安で仕方ないよい。と、私のお腹の虫については全く触れず、そう切実に口にする彼。

「ですからね?まだ行くなんて決まってないじゃないですか」

「まだ分かんねぇんだろい?」

「それは…」

さて、どうしたものか。
私だって、いずれは彼と結婚はしたいと思っている。
だが、確かに留学もしてみたい。
しかし、こんな不安気な彼を残して行くのも…
そもそも、まだ大分先の話じゃないか。
まぁ、その頃になったら、彼の心配する気持ちも落ち着くかもしれないと思った私は、"もう少し待って"とお腹の虫を説得し、彼に向き合う。

「まだまだ先の話でしょ?また、その時話し合いましょうか?」

「オレじゃ不満なのかい?」

「違いますって!したいですよ!いずれは…」

「#name#…ダメだ」

「え?何がですか?」

「結婚しないなら、留学なんてさせねぇよい」

「なっ!?」

「さぁ、どうする?」

「……」

至極どや顔の彼に、私は言葉を失ってしまう。
理不尽過ぎる物言いだが、こうなってしまっては、彼の発言を覆すのは至難の業。それにお腹も限界だ。
しかし…結婚は…

「じゃぁ、結婚したら留学しても不安じゃなくなるんですか?」

「…しないよりは」

「…不安は不安何ですね?」

「……よい」

「じゃぁ同じじゃないですか。してもしなくても」

「っ!ダ、ダメだい!!」

「わっ!!」

言い返す言葉が無くなったのか、感情露にソファーに押し倒された。

「なぁ、留学なんてするなよい…」

「…っ! まだ行くなんて…」

「行くな!オレの傍から離れるなよい」

「…マルコ先輩」

まだ行くとは決まっていないとゆうのに…
妄想だけで、こんなにも彼に切ない表情をさせてしまうのなら、留学とゆう進路は捨てた方がいいのだろうか…
それにしても…

「#name#…」

「っ! 待って…マル」

「待てねぇよい…。なぁ、行かないでくれい」

「んっ、 それより…ぃゃ」

「じゃぁよい、せめて婚約でもしてくれよい」

「ん…もうっ、だから待って」

「#name#…」

「分かりましたから…あのわた」

「こ、婚約してくれるのかい!? #name#…」

「もうっ!待ってくださいって言ってるじゃないですか!!」

先程から何度も待ってくれと言っているのにも関わらず、私の言葉を聞くや否や、何故か更に興奮しだした彼を止めるべく、力一杯押し返した。正直、今は彼よりご飯だ。

「な、なんだよい…いいだろい」

「はぁ。いいんですが、その前に…」

「ん?あぁ。婚約してくれるんだよねい?」

「ぇ…あぁ、まぁ」

「何だい…?撤回はなしだよい」

「ぇ? あ、はい。じゃなくて…あの」

「ん、安心したよい。#name#…」

「んっもう!その前にご飯!!」

「は?飯がなんだい?」

「お腹減って死にそうなんです!」

「なっ…なんだい、早く言えよい」

「さっきから何度も言おうとしてたんですよ…」

「いいとこだったのによい…あー、わかったよい。じゃ飯食い行くかい?」

「はい!行きます!!」

「…ぉ、ぉう」

そうしてやっとご飯にありつけた私とお腹の虫は、満足感に浸りながら珈琲を啜る。

「来週、連休あるだろい?旅行に行くよい」

「ん?何処に行くんですか?」

「#name#の両親に挨拶しに行くんだい」

「ブッ…わゎ!すみません。え?」

「婚約の了承を得なきゃいけねぇだろい?」

「は?そんな急にですか?」

「おう。来週行くよい」

「……」


そんなことで、いつの間にか婚約に承諾してしまった私は、来週両親に了承を得る為に、スイスへと向かう事になってしまったのだった。




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