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#48 彼のわがままvol![](//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif)
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「マルコ先輩、来年は卒業ですね」
寂しくなりますと、ふと感じた事を呟いた。
「あぁ、そうだねい」
どうでもよさそうな返答に少し心配になりながらも、彼の進路はどうなっているのだろうと疑問に思い、聞いてみる。
「あ?ここの大学に行くよい。」
「ですよね」
まぁ、当たり前かと。
うちの高校は、大学までエスカレーターだ。
生徒の大半は、そのまま大学に進むだろう。
「ん?そう言えばよい…」
#name#はどうするんだい?
勿論、うちの大学に進むんだろ?と。
そんな彼の問い掛けに暫し沈黙する。
「ぇっと…」
実を言うと、私は卒業したら留学をしたいと考えていた。
色々な世界観を味わいたいし、何より語学の勉強もしたい。
「ぁ、私は…留学したいなー何て」
「は!?留学だと?」
驚愕の声を上げる彼に少しびくつきながらも、あくまで予定であって、決定ではないと付け加える。
「予想外の展開だよい…」
「あの…だから予定」
「いや、しかし…」
「マルコ先輩?ですからね、」
「いやいやいや、でもよい…」
だ、ダメだ…。私の声も届いていない程、彼は完全に違う世界にいってしまっている…
「#name#!!」
「は!はい!?」
急に大きな声で名を呼ばれ、吃驚しすぎた私は五センチ程宙に浮いてしまった。
「留学ってよい…何年だ?」
「は、はぁ…行くとしたら三、四年ですかね」
「三、四年…本気で言ってんのかい?」
「いや、だから予定というか、まだ未定です」
「そ、そうかい…。」
「マルコ先輩?」
「……」
「おーいマルコ先輩ー?」
「………」
「………」
「#name#!!用事を思い出したよい」
「わっ!?」
再びどこか遠くへ行ってしまっていた彼だが、二度目となる大きな呼び掛けに、私は不覚にも、再度ビクリと体が跳ねた。
そんな私を気にする事なく、まだ来て間もないとゆうのに思い立った様にそう口にした彼は、戸が閉まる間際に"明日空けとけよい"と付け足し、扉の向こうに消えていったのだ。
そんな嵐の様な彼の一連の動作を見て、私はかなり腑抜けた顔をしていたことだろう。
急に告げられた、明日空けとけって…。
まぁ明日になれば分かるかと、あまり気にも止めず翌日を迎える事になる。
そして翌日。
幸いかどうかは別にして、今日は午前中で授業が終わる土曜日だ。
直ぐに迎えに行くと言う彼と別れ、自宅に辿り着く。
直ぐに来るのならば、お昼は一緒に食べようと、三度程鳴ったしつこく催促するお腹の虫を説得し、彼を待った。
「待たせたよい。行こうかい」
「はい。で、何処に行くんですか?」
「…お楽しみだよい」
「少しくらい教えてくださいよ、場所とか」
「ダメだい。大人しく着いてこい」
「…はい」
そんな至極楽しそうな彼を横目に、全く予想のつかない私はただ言われるがまま、静かに頷き流れ行く景色を目で追っていた。
そうして辿り着いた場所は、二人の想い出のホテル。
「…?泊まるんですか?」
「それは#name#に任せるよい」
任せるか。泊まるのは構わないけれど…それよりも、お腹が減ったな…
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