ローside小説 | ナノ
#07 罪悪感
ローとも無事結ばれ、幸せな日々を送っている。
あの日、誰と比べてるんだと聞かれた時は…正直すごく動揺した。
ローには、マルコ先輩の事は話していない。
これから先も、話す予定は…ない。
そして今、私は大量のノートを両手に持って廊下を歩いている。
か弱い乙女に、こんなに大量のノートを運搬させるなんて…スモーカ先生は鬼だなんて悪態をつきながら廊下を歩く。
と、ここでお約束の転けが待っていた。
「うわぁー!」
散らばって行くノート達を目に捉えながら、もうすぐ廊下とこんにちはと言う処で、体が誰かの腕に支えられる。
「ククッ。大丈夫かい?」
この声は…マルコ先輩だ。
彼とはあの日以来の再会になる。そしてなにより、気まずい。
「あっ、マ…マルコ先輩」
気まずさから、言葉が上ずった。
それでもお構い無しにマルコ先輩は言葉を繋ぐ。
「よく転けるねぃ」
何に躓いたんだい?
なんにもないのに、おかしいねぃ。
と、クスクス笑っている。
笑っていると言っても、顔は見えない。
何故なら、支えられた時と同じ体制のままだからだ。
すなわち、後ろからお腹を抱える様な体制。
「わっと、えっと、あ、ありがとうございます」
そんなお礼の言葉を期に、この体制をどうにかしようと身をよじったが…
マルコ先輩は、腕を緩める気配はない
そして少し…腕に力が入ったと思ったら
「ほんと#name#は危なっかしいねい」
心配だよい。
と今度は強めに抱き締められた。
「わっ!マルコ先輩…あの」
何故か…離してとは言えなかった。
キスまでした間柄だからか、素直に慕っているからなのか…
こんな所、最悪ローに見られでもしたら…
この前の二の舞じゃないか。
ふぅ。っと溜め息が聞こえたと同時に、腕が緩み散らばったノートを拾い上げていくマルコ先輩。
私も急いでノートを拾う
「これで最後だよい」
最後の一冊を渡してくれると同時に、初めて目線が交わる。
「ありがとうございました」
ドキリとした。
何とかお礼は口にだせたが、彼の切なそうな悲哀感を含んだ目に、胸の奥が締め付けられた。
「気を付けろよい」
手伝おうかと言われたが、直ぐそこまでだからと断り、再度お礼をして少し早足でその場を去った。
マルコ先輩とは、これからも仲良くしたい。
すごく頼りになる存在だ。
だが、私はローを選らんだのだ。
彼が、私に恋愛感情を抱いているうちは、接触は避けようと思った。
それは彼にも失礼だし、何よりローへの罪悪感で心が押し潰されそうになるからだ。
教室へ戻ると、
「バカだろ。お前」
言えば手伝うのにとおでこをこつかれる。
そんな彼に、今日家に行っていいかと少し甘える様に尋ねれば、
「いいに決まってるだろう」
と、優しい声色で言われた
彼の部屋で、マルコ先輩の事を打ち消すかの様に胸にすがり付いた。
「フッ。明日は槍が降るかもな」
何も知らない彼は、優しくキスをくれ何もかも包み込む様に抱き締めてくれたのだった。
「で、何かあったのか?」
「な、何もないよ?」
「…まぁ、いい。」
「……」
私は、彼には敵わないと、密かに思ったのである。