ローside小説 | ナノ
#06 彼の豹変
ローとの距離がぐっと縮まってからと言うもの、彼の豹変振りには目を見張るものがある…
授業中は髪を撫で、酷い時には腰に手まで回してくる。帰りは必ず手を繋ぎ、そして部屋ではピタリとくっついて来るのだ。
「ロー…ちょっとくっ付き過ぎじゃない…かな?」
「あ?お互いをより知って行きたいんだろ?」
だったら肌で感じるのが一番だ。
さも当たり前のように口にし、何を言ってるんだと言わんばかりの眼力付きだ。
確かに、言った。言ったけれどもあまりにも極端過ぎだ。肌で感じる以外は他にないのか?
「うぅ…でも、…ほら…」
「ブツブツうるせぇなぁ、」
チュッと、一度唇を落として私を黙らせてから、肩を抱き寄せ今度は味わうように何度もキスの雨を降らせてくる彼。
「んっ…もう、ロー」
豹変振りにもだいぶ慣れてきた私は、そんな彼からやんわり離れる。
「…なぜ離れる?」
なんとも不機嫌な彼に、恥ずかしいのだと意を唱えれば、
「…あぁ、一回抱かれれば慣れるだろ」
そう不適な笑みを浮かべながら、そのままソファーに押し倒された。
「一回抱くって…ちょっと待ってよ!」
私の抗議の声は聞こえないとでも言う様に、ローは制服のリボンをほどき、ブラウスのボタンを外しにかかる。
そんな手慣れた手付きの彼に翻弄されつつも、私は下着が見えたと同時に精一杯ローの肩を押した。
「ロー…あ、あの…」
せめてお風呂に入りたい。初体験だ、せめて綺麗な身体で望みたい。
怪訝な表情の彼に、お風呂に入りたいのだと申し立ててみると、
「…いいとこで止めやがって」
なんとも不満そうに呟やき、待ってろ。と部屋を出ていってしまった。
ローの強引さは前から知っていたが、付き合いだしてからの彼はそれを微塵も感じさせない程しおらしかったのだ。
戸惑って当たり前だ。
直ぐに戻って来た彼は、来いと言い腕を引っ張っていく。
そんな強引な態度に、少し頼もしさを感じながら私はされるがまま付いていく。
「入るぞ」
「…え?」
入るぞ?入って来いの間違いじゃないのか…
ローでもボケたりするのだと思っていると
「…脱がして欲しいのか?」
なら早く言えと、私のブラウスのボタンを外していく彼。
そんな彼は、既に下着一枚だ…
「わっ、自分で脱ぐよ!」
とは言ったもの、彼も一緒に入る気なのだろうと確信した私は…一応、聞いてみる事にした。
「一緒に入る気…?」
するとやはり、当たり前だと返ってくる返事。
いやいやいや…嫌です!!
無理だと反抗するも、なら入るなときたもんだ…
入りたい…嫌…しかし…
かなりの葛藤を繰り広げていると、その隙とでも言う様に服をあっという間に脱がされ、先に入ってるぞとお風呂へ消えていってしまった。
下着姿のまま、呆然とローが消えていった扉を見つめる。
は、入るしかないのか…
半ば自棄的な気持ちで下着を剥ぎ取り、いざ、狼の巣へと足を進める。
中へ入ると、ローは湯槽に浸かりチラリと此方を見ると、
「…タオルなんて巻いてんじゃねぇょ」
直ぐにとれ。と無理矢理剥ぎ取られるが、シャワーを顔に思い切りかけてその隙に湯槽に身を隠すように沈んでやった。
「…#name#」
いい度胸だなと、ニヤリと口角をあげながらローは距離を縮めてくる
浴槽では逃げ場がない…
そんな彼に捕まるのは時間の問題で…
両脇を持ち上げられ、彼の上に跨がるように乗せられてしまう。
「わっ!無理無理!」
なんて格好…しかも裸だというのに。胸なんて、隠す暇もない…
「いいな、この格好」
すげぇそそる。と、
魅惑的な雰囲気をかもし出しながら、唇を重ねてくる彼に、覚悟を決めた私はゆっくりと背中に腕を回したのだった。
その後もさんざん弄ばれたが、仲良くお風呂を上がり、そして共にベッド沈んだ。
ローとの初体験は少し痛かったが、愛してると何度も口にする彼に、心も身体も満たされるとはこの事だなんて思いながら、精一杯の気持ちを込めて "愛してる" と私も囁いたのだ。
「ローってテクニシャンだね」
「あぁ?てめぇ…誰と比べてんだ?…初めてだよな?」
「キ、キスだよ!キス上手だねって話」
「…だから誰と比べてんだよ」