マルコside小説 | ナノ

#07 一人暮らし



早朝からのとても不愉快な呼び出し音に、寝ぼけ眼で手を伸ばす。

携帯を取ったが…無機質なこの子は無反応だ。
どうやら家の電話が鳴っているらしい…

電話に出ると、何ともお気楽な母からの電話だった。

私の父は高校に入る少し前から仕事でスイスに住んでいる。
母も殆んどと言っていい程父の元に居るのだ。

スイスとの時差は、マイナス8時間。
つまり向こうは、夜の9時過ぎ位か…



『あのね、#name#ちゃん、マンション借りて、一人暮らしして欲しいの』


早朝から一体何なんだろう…
一人暮らしなら今も変わらないんじゃないか。
そんな疑問を投げ掛けてみると、

暫くそっちに帰る予定がないのだと。
だから、一軒家は何かと不便で無用心だろう。

と言う事だった。



と言う事で、私のお部屋探しが始まったのだ。




「へぇー、いいなぁ一人暮らし」

連れ込み放題ね。
と、何とも如何わしい思考だ。

遊びに行くわね。イイなイイなと楽しそうに言っているナミ。

私はそこまでイイ事などない。
今までとあまり変わらないと思うからだ。


チラリと隣を見る。
ローは今日も来ていない。
とても心配だが…私の出る番じゃないと、意識をナミに戻した。




放課後マルコ先輩と帰る約束をしていたので、ナミ達と別れ先輩の元へと向かった。


「お待たせしました!」

「#name#…走ると転けるよい」

よく転ぶんだろぃと、少し息切れをしている私の頭を優しく撫でる

そんな彼に、あぁ…好きだなぁとしみじみ思った

そんな彼と近くのカフェに入る。
マルコ先輩は珈琲、私はカフェオレとモンブランのケーキを頼み、今日の出来事などを話していた。

そんな些細な会話一つでも、顔が終始緩みっぱなしだ。

暫く会話を楽しんだ後、ふと今朝の出来事を思い出した。

マルコ先輩にも報告しとこうと、口を開く。


「なっ!?一人暮らしかい!?それならオレに任せろよい!!」


何だか凄まじく張り切りだしたマルコ先輩に、

「いえいえっ、自分で探しますよ」

と言ってみるも、予想通りと言うか…何と言うか…

速効却下だ。

大まかな場所と間取り、要望などを聞かれ、少し適当に答える。

「よし。後は任せろよい」

マルコ先輩は何故か興奮状態にだ…

ホントにあの時、もっと強く断っておけば良かったと

後悔するのは…後の祭…







「風呂は、デカイ方がいいだろい?」

「何でですか?普通でいいですよ」

「普通だったら、一緒に入ったら狭いだろいっ」

「いや……普通でいいです」



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