マルコside小説 | ナノ

#39 彼の好物



「わぁっ!わわぁーいったーい!!!」

またやってしまった。何でこうも私はこけるのだろう・・・
気を付けているつもりなんだけどな。

起き上がろうと、腕に力を込めた瞬間

「大丈夫か?」

そんな優しい声色が頭上から降り注いだ。

「はい、大丈夫です。慣れてますから」

「ははっ、慣れてるのか」

面白い子だなと、真っ赤な髪のその人は、エース先輩の様な爽やかな笑顔で笑っていた。

「ああ、オレはシャンクス。君は?」

「あっ、#name#です」

「#name#かぁ、いい名前だ。」

だぶん、三年生だろう。同級生にはない落ち着いた風格がそう思わせた。

「ほら、怪我はないのか?」

「わっ、ありがとうございます」

差し出されたその手を取ろうとした時だ。

「わぁーーーーーーー!ストップ!」

鼓膜に大ダメージの大声に、ビクリと声のした方に視線をやる

「ふぅ。危なかったね。シャンクス」

「??」

「???」

何で、シャンクス先輩が危なかった・・・の・・・

「あぁ、危なかったねい。赤髪・・・」

そのまま#name#に触ってたら、海の果てまで蹴飛ばしてたとこだいと、黒いオーラを纏ったマルコ先輩が登場した。

「#name#、大丈夫かい?」

それから、シャンクス先輩に近寄ると呪われるだの、何かがうつるだのと、
シャンクス先輩・・・散々な言われようですよ!

「何だ?まさか・・マルコの女か?」

「まさかじゃねぇよい。そうだよい」

可愛いだろだの、二度と近寄るなだの言いながら、ギュっと抱きしめてくるマルコ先輩。

「あっあの、ちょっと離してくださいっ!」

人前でダメですと、彼の胸板をやんわり押し返す。

「ぷっ!嫌がられてるぞ!」

ほんとにお前の女なのか?マルコの勘違いとか相当おもしろいぞなど、シャンクス先輩は、彼を怒らすのが好きなのか・・・

彼が喋れば喋るほど、マルコ先輩の顔は何時ぞやの般若顔に変身していく・・・

「赤髪・・・」

そうして、私の頭を一撫でしたマルコ先輩は、高らかに笑い声をあげながら走り去る彼を追いかけて消えてしまった。

「ぇ…っと」

「気にしなくていいよ。」

いつもの事だと、あれで結構仲良しなんだと説明をしてくれるハルタ先輩。

「そうなんですか」

それは良かったと、兄弟以外でも、あんな態度ができるんだなと、彼の意外な一面を知れて顔が緩んだ。

「それにしても、よく転けるね」

なんで?#name#ちゃんにしか見えない小石でもあるの?と疑問を浮かべているハルタ先輩を見て、

「そうだ!聞きたい事があるんです!」

そうなのだ。彼の兄弟なら理由を知っている筈。

私は、ずっと疑問に思っていた事を聞いてみる事にした。

「マルコ先輩の好物ってなんですか?」

「マルコの好物?」

何故こんな事を聞くかというと、あまり私に料理をさせてくれない彼。

すぐに外食に走る彼に、少々の不安と違和感を覚えたからだ。

もしかしたら、私の料理がお気に召さないかもしれないではないか…

ならば、彼の好物を是非作りたい。

「うーん。マルコはあんまり食に拘わらない奴だからなぁ」

「拘わらない?」

「うん。これと言って、好物も思い浮かばないよ」

「そ、そうですか」

打つ手がないなと、でも私の料理が気に入らないんじゃないのかと一安心した所で、

「あ、でもよくサッチにリクエストして、作ってもらってるよ」

「サッチ先輩に?」

「うん。サッチは凄く料理が上手なんだ」

なんと!意外だった…
それならば、サッチ先輩に聞くに限る。

「ありがとうございました」

あ、マルコ先輩には内緒ですよ?と付け加え、私は、サッチ先輩にコンタクトを取るべく、ナミの元に急ぐ。


「ナミ!協力して!」




それからナミ経由で、サッチ先輩にレシピを教わり、準備満タンで彼を迎える。

「お待たせしました!」

ジャーンと効果音をつけて料理を出せば、

「ん…?これは…」

すぐに気付いた彼に、事の経緯を説明すれば、

「バカだねぃ。」

#name#の料理が一番好きに決まってるだろいと、サッチには、作るのが面倒だから頼んでいるんだと言う彼。

「で、でも…外食ばっかりだし」と、

それが証拠だと言わんばかりに口を開くと、

「それはねぃ…」

料理させるのが悪いと、片付けだのなんだのと大変だろと言う彼。

「そんな事ないですよ!」

好きな人に料理を作りたいと思うのが女心ですと力説した。

「わかったよい」

じゃぁ、これからは頼もうかねいと言う彼に、頑張りますと意気込みをいれるのだった。








「でもよい、サッチと同じ味は嫌だよい」

「え・・・そうなんですか?」

「#name#の味がいいに決まってるだろい」

「っ!マルコ先輩・・・嬉しいです」

「それに、オレの好物は#name#だよい」

「え?そっちは寝室ですよ・・・?ご飯は?マルコ先輩」

「食べるよい。後でねい」 

「料理・・・は・・・?」






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