#02 私の決意
あのまま、暫く寝てしまったみたいだ。
目の前には手が付けられていない珈琲カップ。
ローには、悪い事をしてしまった。いくら後ろめたさも加担したからと言って、一晩中待っていてくれたローを言葉足らずで帰してしまった。
でも仕方なかった。今の気持ちのまま、ローの傍に居る事はできない。
さぁ、本腰入れて考えよう。
決めなくてはいけない。ローか、マルコ先輩か。
ローが私を一晩中待っていてくれたのには、かなり心が揺さぶられた。
彼の気持ちが本物だと、以前の私ならば泣いて喜んだだろう。
だが、私はローの目さえまともに見れなかった。
ローとこのまま付き合ったとしても、私はこの後ろめたさと罪悪感を抱えて過して行くのか…
きっと巧くいかないだろう。
以前のように、素直に笑う事すら出来そうにない…
ローとの付き合った時間は…２ヶ月くらいか。
まだたった２ヶ月だ。
恋愛はお互い本当の姿を見せないものだ。相手に少しでも自分を良く見せようと、心も体も偽装するからだ。
そして、相手を信用して行くに連れて自分を晒けだしていく。
そこからが、本当に付き合ったと言うのじゃないのか？
私はローに何も晒していないんじゃないか？
だた、隣にいつも居ただけだ。
私も夢ならある。将来なりたい職業もあれば、結婚に対する希望なんかも持っている。
そんな、秘めた思いを吐露できるほど、私とローの関係は深くもなければ信用もしていないと言う事なのか？
いや、まだたった２ヶ月だ。これからじゃないか…
でも、そんな過程を無視してマルコ先輩は自分の心を話してくれた。
嬉しかった。自分の心の内を暴露するのは勇気がいる事だ。
私も、マルコ先輩になら、自分の心をすべて晒けだしてもいいと思った。
そんな、初めから思える相手なんてそうそう出会えるものじゃない。
あぁ…何だこれは。
マルコ先輩の事を考えるだけで、心が温かくなっていく
そうか、私はもうマルコ先輩に堕ちているんだ。
きっと…キスをした時から。
あの、全てにおいて完璧そうな彼の震える手を感じた時、私しか知らないマルコ先輩を見た気がした。
もう、ローの処へは戻れない。
きちんと話をしよう。マルコ先輩の事も。
それから、マルコ先輩に伝えよう。私の精一杯の気持ちを。
