マルコside小説 | ナノ
#31 彼の安堵
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マルコside
#name#に追い出された後、オレは急いで親父も元へと急いだ。
あのまま彼女に、婚約なんてしないと、勘違いだと言いたかったが、現に婚約はしたままだ。キチンと解消してからでないと、説得力に欠けてしまう。
しかし、驚いた。何故彼女は知っていたのか。
あの婚約は、オレが中学の頃に決まった話だ。
特に女に興味も無かったオレは、親父の為ならと受けた婚約だ。
それに、別にオレじゃなくてもいい話だ。兄弟の誰が受けてもいい様な、適当な婚約だった。
あの時のオレは、本気で惚れる女が現れるなんて、思ってもいなかったのだが、今は違う。
#name#以外の女と結婚なんてする訳が無い。
オレでさえ、親父に言われるまで忘れていたと言うのに。
まだ先の話だったので、追々片付けようと思っていたところだ。
ん?あぁ、そうか、彼女はあの日、オレと親父の話を聞いてしまったのだろう。
納得したオレは、親父の部屋をノックする。
「親父!ちょっといいかい?」
「なんだぁ?騒々しいなぁ」
そして、彼女以外と結婚なんで考えられないと、婚約を解消してくれる様に頼んだ。
「構わねぇが、自分で断って来い」
「あぁ、分かってるよい」
そして、先方に連絡するも、厄介な事に、アメリカに留学中だとぬかしやがる。
面倒だが、早く彼女を安心させてあげなければならない。
オレは、直ぐにアメリカへと旅立った。
二日も経ってしまった。その間、彼女には連絡していない。
かなり心配だが、無事解消できたオレは、焦る気持ちを抑えながら、空港からそのまま#name#の家へと足を向ける。
彼女の家へ向かう途中で、着信が入った。
#name#からだ。逢いたいと言う彼女に、直ぐに向かうと伝え、電話を切る。
オレだって逢いたくて仕方がなかった。
不安にさせてすまないと、愛していると、早く彼女を抱きしめたい。
部屋に入ると同時に、抱き付かれる。
そして彼女は、とんでもない事を言い出したのだ。
「四年後に別れても構いません」
それまで傍に居させてくださいと、悲願の様にも見えるその姿に、オレは不謹慎だが、なんだか幸せな気分になってしまった。
こんなに彼女に思われていると、愛されているとひしひしと感じる事が出来たのだ。
「#name#。落ち着けよい」
それから、婚約を解消した事、直接断りに行った為、二日もかかってしまった事を伝え、これからもずっと一緒だと、離す訳がないだろうと、彼女を抱きしめた。
「・・・・っマルコ先輩」
泣きながら抱き付く彼女に、すまなかったと宥めながら、彼女のぬくもりの心地よさに、心の底から安堵するのだった。
「#name#…何だか雰囲気が変わったねぃ」
「……煮詰まっていたので…」
「あ…ほんとにすまなかったよい」
「…いぃぇ」