マルコside小説 | ナノ

#28 彼女の予想外



涙の訳を聞かれて、我慢できなかった。

彼の肯定の言葉を聞いて、思わず、追い出してしまった。

後の事なんて…どうでもよかった。

ただ、目の前の彼が消えて欲しかった。

そのくらい、私の心は、ボロボロだった。



彼は、驚いただろうな。
彼にとっては、まだ先の話だった筈。何の覚悟もしていなかっただろう。

でも…どうして何も言ってくれなかったのだろう…?


はぁ、もうダメなのかな…

私が口を開かなければ、後四年は一緒に居られたのにな…

溜め息ばかりでる。
ほんと、遂さっきまで、私の心は、彼でいっぱいだった筈なのに…

心って、何でこんなに、言う事聞いてくれないんだろう。

ずっと、彼の傍に居たい。
でも、残り四年。

今でもかなりの痛手だけど、きっと、四年後の別れの方が、もっと苦しいに決まってる。

どうせ別れなければならないのなら…今別れるべきだ。


こんなに大好きなのに別れるなんて…
…っマルコ先輩




あの日、マルコ先輩を追い出してから二日経つ。

彼からは何の連絡も接触もない。

と言っても、携帯の電源を切っているから分からないのだけれど…

彼なら、連絡がとれないのならば、家にくる筈だ。

どうして来てくれないのだろう…

知られてしまって、会わせる顔がないのかな…

ずるいな…マルコ先輩は。


私はこの二日間、学校も休んでいる。
全く行く気になれない。

幸せの絶頂からの転落に、心がついていかないのだ。

はぁ…
マルコ先輩…今何してるのかな。
私の事、少しは考えてくれてるかな。


ボスッとソファーに倒れ込み彼の事を考えていると、部屋のチャイムが耳を襲った。

その瞬間マルコ先輩が来てくれたんだと、こんな状況にも関わらず心が跳ねた。

だけど、インターフォンに映る人物は、待ち望んだ彼ではなく…


「ロー?」

何故彼が?全く彼の来る経緯が分からなかったが、取り敢えず、

「ロー…どうしたの?」

「一人か?」

「うん…」

「じゃぁ、開けろ」

開けろと言われて、戸惑った。
今の私に、彼は危険だ。

気を許せば、すがり付いてしまうかもしれない。

「な、何の用?」

来たからには、何かしら用がある筈だ。
すると彼は、明日までに提出のプリントを持って来たのだと

だがおかしな話だ。彼の家は随分離れている。届け物なら、ナミかルフィ達の方が適任だ。

でも、来てしまったものは仕様がない。

「どうぞ…」

受け取って直ぐに帰ってもらおう。そう思い扉を開けた。


「有難う。じゃぁ」

「邪魔するぞ」

「いやっ、ダメダメ!」

何度ダメだと言っても、ズカズカと上がり込む彼に困り果てていると、

「へぇ、いい部屋住んでるんだな」

そして、珈琲。当然の様にお茶の催促までしてきたのだ。


溜め息とともに諦めた私は、キッチンへ向かった。

「何でわざわざローが?」

これは聞いとかないといけない。

「そんなもん…心配だからに決まってるだろ」

何故分かるのだろう。
学校には、家庭の事情と言ってある筈だ。

ナミやロビンにもまだ言っていないというのに…

彼のエスパー振りには心底驚きだ。


「心配って…別になんにもないよ」

親が来てたから、休んだのだと伝える。

私も嘘が、サラサラ出てくる様になったなぁと感心していると、

「嘘だな。」

な、何でもお見通しな彼だった。


「………」

絶句している私に、ほらな、と言って珈琲を啜る彼。

「何かあったのか?」


口が避けても言えない。
だって、言ってしまえば確実に泣いてしまうだろう。

このショッキングな出来事は、私一人で抱えるには大きすぎるダメージだ。

「言わない」

嫌、言えないのだ。特に…ロー。あなたには。

「……#name#」

そんな私の心中も、全てお見通しなのだろう。

頭のいい人だ。
気を効かせて、このまま帰って欲しい。


「…ダメだ。ほっとけるかよ」

その言葉と同時に抱き寄せられる。

「そんな…死にそうな顔しやがって」

耳元でそう囁く彼に、涙を抑えられる訳などなく…

「…っ!フッ…」




次々と溢れてくる涙は、止まる事を知らず、ローのシャツに深い水溜まりを作っていった。






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