マルコside小説 | ナノ
#27 彼の決意
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マルコside
#name#を親父に紹介した日から、どうも様子がおかしい。
あの日も、やたらとオレを帰したがる彼女に、疑問を浮かべたが、あまりにも必死だったので、しぶしぶ帰る事にした。
何時もなら、寝る前にくる筈のメールもなく、その時は、あれから寝てしまったのだろうと思っていたが…
朝になっても、彼女からの連絡はなく、オレからのメールも、返信はこなかった。
不安になり、彼女のクラスを覗いて見ると、学校には来ている様だ。
これと言って、具合が悪そうでもないが…
何故連絡をしてこない?
何かあったのか?
それとも、オレが知らず何かしてしまったか?
思い当たる節は全く見つからず、放課後になった。
一緒に帰ろうと、メールをしたら、今日はお腹が痛いので、帰って寝たいのだと、返信がくる。
少し、返信があった事に安堵するも、これは確実に避けられていると感じたオレは、憂鬱な気持ちで、家路に着く。
自室に籠り、彼女の事を考えていた。
親父に紹介するまでは、普段通りだった筈だ。
ではその後、兄弟達に何か言われたか?
嫌、会話の内容は全て聞き出している。おかしな所はなかった筈だ。
じゃぁ、本当に腹が痛いだけか?女はあの日になると、無性に苛々してしまうと聞いた事がある。
それが理由なら…別に構わないんだが…
ん?あの日?
嫌、待て。#name#はオレが泊まりに行っていた直前に、終わったばかりじゃなかったか?
辻褄の合わない彼女に、オレの足は知らずと#name#の家へと向かっていた。
チャイムを押すも、応答はない。
電話も出やしねぇ。
オレは合鍵を使い、部屋へと入る事にした。
オレ達の仲だ。いきなり来られて、まずいもんなんてない。
部屋に入り、まず寝室を覗くも彼女は居なかった。
リビングかと、足を向けると、カウンターキッチンの灯りのみ付けて、ソファーに横たわっている#name#を見つけた。
寝ているのかと、顔を覗き込むと、やはり寝ていた彼女。
だが、彼女の頬には、涙の痕がいくつも残っていたのだ。
「…っ!?」
それを確認したオレは、#name#の肩を優しく揺らし、意識を戻させる。
「…ん、あれ…?」
オレが突然現れた事に、寝起きの彼女は困惑気味だ。
「何があった?」
何故泣いていると、居てもたってもいられないオレは彼女を問いただす。
「……」
言う気がないのか、口を紡ぐ彼女。
「言えよい!」
彼女の嘘に、若干苛つきを覚えていたオレは、つい、声をあげてしまった。
そんなオレを、怯えるような目付きで見据えた後、
ゆっくりと目を閉じ、そして、次に開かれた眼差しは、とても鋭く、挑戦的な目だった。
「#name#?どうしたんだい?」
そんな威圧的な視線を初めて見たオレは、宥めるように問いただす。
そして、彼女の口から出た言葉に、オレは…言葉を失った。
「婚約者がいるのに…
婚約者がいるのに!!何で私と付き合ったりするんですか!? 」
どう言うつもりかと、我慢していた糸が切れた様に、声をあげてオレに罵声を浴びせる彼女。
「な…何でそれを…」
そんな彼女に、婚約の事を何故知っているのか、何故だ!?どうしてとばかり考えて、
それ以上言葉が出てこず、固まっていると…
「ぃ…ぃや!!もう帰ってください!!」
顔も見たくないと、凄まじい力で、部屋の外に出されてしまった。
「…#name#」
その後、何度も呼び掛けるが、応答はなく、再び合鍵を使う気にもなれず…
この事態に、若干震える体で、オレは、ある決意とともにその場を後にしたのだ。