マルコside小説 | ナノ

#01 彼の願い



マルコside




#name#に想いを伝えた…
初めて逢った日から、オレは彼女に惚れていたのだと思う。

そんな惚れた女に告白なんて経験に、すぐに返事を聞けなかった。

まぁ、#name#の事だ、オレの気持ちに気付いていたとしても、答えなんて持ち合わせてなかっただろう。

告白の前置きじゃねぇが、オレの事を色々と話した。
得体の知れない相手を受け入れるはずが無いからだ。

親父を尊敬し、慕っている事。
バカな兄弟がたくさん居て、飽きる事なく過ごしている事。
親父や兄弟とは、血は繋がってない事。
この先、親父を支えていくべく、色々な事をもっと身に付けたいと思っている事。

そして、女に本気で惚れた事など無い事。

今まで、女と付き合った事が無いと言った時の、#name#の顔は見物だった。

初め、全く信じちゃいねぇ感じだったが、最後の方は納得してくれた様だ。
本当は一人いたのだが…あれはオレの頭の中から消去済みだ。

すごくモテルだろうに、何故彼女を作らなかったのかと聞かれたが、好きでもない女に時間を費やすのは無駄だと返した。


まぁ、取り敢えずこんなものかと話を切り上げた処で

父親を尊敬してる事、兄弟を大切に思っている事、自分の夢を持っていて素敵だと。
彼女はオレをベタ褒めした。

他の女にそんな事を言われても、オレの心はピクリとも動かないだろうが、#name#は違う。
自分を認めてくれた事に、彼女への思いがさらに募っていくのを感じた。



少し話しすぎたか・・既に時刻は深夜をさしていた
明日は学校だ。#name#も色々と疲れているだろう…


そろそろ寝るかい?と持ち掛ければ、彼女は少し戸惑い顔だ…

一緒に寝たいのはやまやまだが、そこまでオレは餓鬼じゃねぇ
それに、ただえさえ切れやすくなった理性を保てる自身もない。

オレはソファーで寝ると伝えれば、"わかりました"と素直に横になる。

その時、#name#の表情が少しだけ、寂しそうに見えたのは気のせいか…




オレは一睡も出来なかった。
#name#は寝ているのだろうか…ここからじゃ、分からない。

手ごたえはあった。キスをした時の#name#の顔は、しっかりとオレを見つめていた。
オレの経験上、あの顔は脈ありだ。


だが、振られた時…オレはどうする?
気持ちの無い相手を、無理やり繋ぎ止めるなんて鬼畜な事は出来ねぇ…
素直に引くか……幸せにしてもらえと、素直に言えるのか…



もう離さない…確かにさっきまでのオレはそう思っていた。

好きな女の幸せも願えない男なんて、最低じゃないのか…


思いは伝えた。家族以外見せた事のないオレも晒した。
だが、決めるのは#name#だ。オレじゃねぇ…




朝、家まで送る間、ろくな会話も出来なかった…
自分のヘタレさに、吐き気さえしてきた


"連絡を待っている”と伝えるので精一杯だ。

彼女はきっと、オレの事を何でもそつなくこなせる奴だと思っているだろう…


オレはそんなに出来た男じゃない…
将来、人の上に立たなければならない立場だ。弱みは見せねぇ…


だが…お前には…#name#になら、そんなオレも見せてもいいと本気で思ったのだ。


なぁ、頼む。
オレの傍に居てくれ。オレをその笑顔で包んでくれよい。

オレを選んでくれるのならば、何でも叶えてやる。
お前が望む物すべてだ。オレにはその力がある。




家へと向かう静かな車内で、一日の始まりを告げる朝日を少し妬ましく思いながら、オレは、#name#への思いで胸が張り裂けそうだった…



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