マルコside小説 | ナノ
#20 報告必須
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温泉旅行も満喫し、次の日は何だか異様に優しいマルコ先輩と楽しく過ごし、三連休はあっと言う間に終わってしまった。
そして、私はどうしても気になる事がある。
「ロー。はい、お土産」
「あ?フッ…ありがとな」
「あ、あのさ…旅行すごく楽しかったよ。ありがとう」
「…何でオレに礼なんてするんだ?」
そんな必要ないだろと、彼は言うけれど、絶対私の為に行かなかったんだと思う。
私が、旅行に行きやすい様に気を使ってくれたに違いない。
「ううん。ありがとう」
「なんだそれ」
きっと彼は認めないだろう。そういう処がある人だ。
でも本当にありがとうね、ロー。
そしてお昼休み。
いつもの様に3人で食事をしていると、ナミが突然変な事を言い出した。
「あ、来週から寂しくなるでしょ?」
「ん?何が?」
「え?まさか知らない訳じゃないわよね?」
来週から一週間、三年生はロサンゼルスに修学旅行でしょ?と。
「え…聞いてないょ…」
そう。私はマルコ先輩からそんな話は聞いていないのだ。
「ちょっと聞いてくる!」
そんな一週間も会えないなんて、せめて一言、言ってくれてもいいじゃないか…
マルコ先輩!ほうれんそうのほうが抜けてますよ!
勢いで来たものの、実はマルコ先輩のクラスには初めて来るのだ。
教室の少し手前でもじもじとしていると、
「ん?お前…ルフィの友達だよな?」
その声の方に振り向くと、どこかで見た事のある様な男の人が此方を見ていた。
「あっ、はい!そうです」
「やっぱりな。オレ、ルフィの兄貴だ!」
エースってんだ。宜しくな!思わず目を細めたくなる程爽やかな笑顔を向けてくる。
「で?何してんだ。誰かに用か?呼んできてやるよ!」
「あ、はい!マルコ先輩に」
用事がと、続くはずたった言葉はエース先輩がふっ飛んで行った事により喉の辺りで止まってしまった。
「うわっ…」
「人の女を、ナンパしてんじゃねぇよい」
そんな言葉とともにグイッと引き寄せられ、久々に見る般若顔のマルコ先輩が現れた。
私に向き返るなり両手で頬を包み込みながら、
「何にもされなかったかい?」と、
目を細め心配そうに聞いてくる彼に、
「いや…ナンパされてた訳じゃ…」
ないですよと、困っていた処を助けてもらったのだと、すっかり誤解している彼を宥める様に説明した。
「なんだい、早く言えよい」
蹴り損だい。何て言ってるけど…ほんと、マルコ先輩の回りは頑丈な人が多いな。だって、ほら…
「何すんだ!人でなし!鬼!バナナ!!」
復活してる。
でも…バナナって…。
「あーあー、悪かったよい」
「くそっ。もっと激しく謝れよ…」
土下座とかよぉ。とブツブツ言っているエース先輩を完全無視して、マルコ先輩にどうした?と尋ねられた。
そ、そうだ!
「修学旅行です!聞いてませんよ!」
「あぁ、行かねぇからな」
言う必要ないだろと。
「え…?行かないんですか?」
「おぅ。」
何故かと問いただしたら、学校の行事で旅行なんてまっぴら御免だとか、今まで一度も行った事ないと説明される。
「そ、そうなんですか…」
拍子抜けしてしまった。
一人騒ぎ立ててたのが恥ずかしい。
なーんだ。そうなのか。
では、長居は無用である。
「あ、じゃ、失礼します」
「待て待てぃ」
ガシッと腕を捕み、退路を絶った彼は、
「だからよい、来週は全て、#name#の家にお泊まりだい」と、
得意の、悪戯な笑みを浮かべながら言ってきたのだ。
「ぃや…私は学校あるんで」
「休めよい」
「無理ですよ…無理です」
「や・す・め・よい」