マルコside小説 | ナノ
#19 彼の不安
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マルコside
あんな顔見せられたら行って来いと言うしかなかった。
本心を言えば…絶対ダメだが、そんな子ども染みた嫉妬心は見せられねぇよい。
ここはガツンと、懐がでけぇとこを見せねぇとな。
「なぁ…マルコ」
「………」
「おいって!」
「チッ。何だい!」
「尾行するくらいなら、行かせなきゃ良かっただろ…」
そうだ。オレ達は今探偵さながらの身のこなしで、#name#を尾行している。
例の事件で暫くオレの下僕と化したサッチを引き連れてだ。
別に信用してない訳じゃねぇ。オレ達は超が付く程ラブラブだ。
ただ、ただ心配なだけだよい!!
今回の旅行の予定は、こと細かく聞いている。
集合時間、参加メンバー、旅館の場所から観光ルートまで全て把握済みだ。
参加メンバーについても、一人一人調べさせてもらった。
皆、彼女の小中学からの付き合いの奴らだ。一人、女と見ればデレる奴が居たが…
まぁ、大丈夫だろう。
「あ!行っちまう!移動するよい!」
「はいはい…」
次は…旅館か。
#name#達が、チェックインし部屋に向かうのを見計らって素早くオレ達もフロントへ行く。
そこで、受付の奴に金を握らせ彼女達の部屋番号を聞き出す。
チョロイもんだよい。
「部屋は大部屋と、もう一つか…」
恐らく、ヤローどもが大部屋で残りは#name#達が使うのだろう。
そんな訳ないが、一緒の部屋じゃなくて一安心だ。
そしてオレ達は、彼女達の隣の部屋だ。
「はぁ。何が楽しくて男と二人で温泉に…」
「いいから行くよい!」
そして、彼女達は今、観光地さながらの場所を歩いている。
「チッ。」
あのヤローどもには女をもてなすって言葉は知らねぇのかい!?
好き勝手行動しやがって…
#name#が迷子になったらどうしてくれるんだい!
はっ!あの緑頭!#name#にパシらせてんじゃねぇよい!
我がで行きやがれ!
あ゙ぁー!#name#にそんなでけぇ荷物持たすんじゃねぇよい!
腕が折れちまう…
だぁー!!
хφζыёδжю!!
「お前…心の声がだだ漏れだぞ…後、最後の語尾は何語だよ…」
「あ?気にすんなよい。」
「いや…気になるぜ…」
あぁ、しかし#name#の奴、楽しそうだねぃ。
行かせてやって良かったよい。ヤローどもが居なきゃ、尚更良かったよい。
「それにしてもよぉ」
#name#ちゃんのお友達はナイスバディだな!見ろよ、あの豊満なバスト!たまんねぇなぁ。
ふんっ。何言ってやがる。
#name#の胸が一番だよい。
…まぁ、友達もいい体してるがな…。
そして、今は露天風呂にて、女風呂を盗聴中だ。
ヤローどもは皆、酔い潰れて寝てやがる。好都合だよい。
「あー、ほんとあいつら騒がしいわね」
「あら、逆に大人しくても気持ち悪いわ」
「それもそうね。あ、#name#、マルコ先輩よく許してくれたわね?」
「うん!先輩は心が広ーいの。フフッ」
「へいへい。ベタ惚れね。」
「でも、トラファルガーくんが来ていたら、お許しは出なかったでしょうね」
「うっ…ローが来るなら来なかったよ」
「でもあいつ、何で急にドタキャンしたのかしら…」
「え?ドタキャンしたの?」
「ええ。用事が出来たとか言ってたわ」
話し声は丸聞こえだ。
トラファルガー?元彼か。
当たり前だ、元彼と一緒に温泉なんて行かせねぇよい!
しかし…何気にしてやがる。まだ…嫌。オレは#name#を信じるよい。
「でも、良かったわね。トラファルガーと普通に話せる様になって」
「本当ね。何かあったのかしら?」
「うっ…特にないんだけど…実は…」
「なっ!?」
おっといけねぇ、思わずでけぇ声出しちまったよい。気付かれてねぇよな…?
だが、聞き捨てならねぇよい!抱き締められただぁ!?くそっ…あのヤローぶっ飛ばしてやる…
「へぇー。未練たらたらね。あいつ」
「しかたないわ。いきなりのお別れだったのだから。」
「うっ…。でもローには感謝してるんだ」
ローが居なかったら、私はマルコ先輩とこんな関係にはならなかったかもしれないし…
マルコ先輩に出会えて本当に良かったと思ってるの。大好きなんだ。本当に。
彼女の言葉を聞いた処でオレは風呂を後にした。
そうだな、彼女との幸せは、あいつの犠牲の下にあるっても過言じゃねぇ。
ぶっ飛ばすのは…止めといてやろう。今回は。
しかし、尾行した甲斐があったよい。
#name#の本音が聞けたしねぃ。
帰るか…
「マルコ先輩お土産です!」
「おう。ありがとよい」
「えへへ!大好きです」
「…知ってるよい」
「あ、温泉に入ってる時、マルコ先輩の幻聴聞いたんですよ!」
「へ…へぇ」
「マルコ先輩の事ばっかり考えてるからですかね」
「そ、そうだねい」