マルコside小説 | ナノ
#18 私と友達
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無事引っ越しも終わり、新しい部屋での生活にも慣れてきた。
ローともあの日以来普通に話せる様になって、少し、心のわだかまりがとれた感じがする。
そんな中、マルコ先輩と付き合い出してから皆とバラティエへ行ってないなと、ふと思った。
理由は9割ローなのだが、もう普通に会話を出来る程だ。大丈夫だろう。
「ねぇ、ナミ!」
今日バラティエ行くの?と、彼女の予定を伺ってみる。
「えー何?どっか付き合って欲しい所でもあんの?」
「ううん。バラティエ行きたいなぁって」
そう告げる私に、大丈夫?トラファルガー居る確率高いわよ?などと、至極驚いている彼女。
「うん、だいぶ話せる様になったし」
大丈夫だろうと言うと、そうなのと納得していた。
私だって友達は大切だ。彼中心の生活ばかりじゃ、人間関係が成り立たない。
「じゃ、今日行きましょうか?」
と言う事で本日はバラティエdayだ。
一応、マルコ先輩にメールしておこう。すると、直ぐに返ってくる返信。
「誰と行くんだい?」
うっ…行けばロー達が居ると思うが、一緒に行くのはナミとロビンなので、ここは彼女達と行くのだと伝えておこう。
「あんまり遅くなるなよい」
迎えが必要だったら連絡しろと返信がくる。
よし。これで一安心だ。
「うおー!#name#ちゃんが来てくれるなんて感激だ」
久々の私の登場に感激してくれているサンジくん。
久しぶりに来てみたが、やっぱり楽しいなと素直に思った。
そんな中、少し離れた場所から聞こえる騒がしい声。
「オレ!肉があればいいぞ!」
「嫌、肉だけじゃダメだろ」
何やら楽しそうに言い合っている彼等を横目に問い掛けた。
「なんの話?」
「あぁ、もうすぐ連休があるでしょ」
旅行に行くのよ。一泊二日で温泉。
成る程。温泉かぁー。いいな。皆で行ったら楽しそうだ。
でも…私は間違いなく行けないだろう…
「お!#name#も行こうぜ!」
「おう!皆で行ったら楽しいぜ!」
誘ってくれるのは嬉しい。嬉しいのだが…
「#name#は…無理よね」
「う…うん」
行きたい。本当は物凄く行きたい。でもダメだ。
例えば、マルコ先輩が女友達と温泉…いやいや、ダメだ。やはり行けない。
自分が嫌な事は人にもしてはいけない。うん。
そんな楽しそうに旅行の計画を話している彼らを横目で見ながら、溜め息がでた。
「なに溜め息なんかついてんだ」
「わっ!あ、うん別に」
幸せが逃げるぞ。と言いながら隣に腰を下ろしてくるローにドキリとする。
「旅行の事か?」
一言もそんな事は口にしていないにも関わらず、私の心を読み取るローに驚きの眼差しを向けた。
彼を騙せる人間がいるのなら見てみたい。
「行きたいなら、行けばいいだろ。」
「いや、い、行けないよ」
男友達でも無理なのに、元カレも一緒なんて益々無理だ。
「オレは行かないぞ」
「えっ…?なんで?」
「ちょっとな…」
悪戯な笑みを浮かべながら、だから行ってこいと言う彼。
いや、ローが行かなくてもやはり男友達は無理だろう。
「行かないよ…」
そう言って、少し沈んだ気持ちを抱えて家へと帰った。
自宅に着きソファーに座りながら旅行の事を考える。
ルフィ達とは中学の頃からいつも遊んでいて、皆でお泊まりなんかも数えきれない程してきた。
でも、男だとか、女だとか言う関係になった事も、感じた事も一度もない。
しかし、この関係は本人達じゃないと分からない。
第三者に言った処で、所詮、男と女だと、言われてしまうだろう…
はぁ、仕様がないか。
これが、私の選んだ道だ。
そんな結論をだした処で携帯の着信音が鳴り響いた。
「あ、マルコ先輩」
「#name#、家かい?」
帰宅した事を連絡していなかったと思い出し直ぐ様謝罪すれば、構わないと笑いながら今からこちらへ来るとのこと。
暫くして手土産持参で現れたマルコ先輩をソファーに促し、お茶を淹れにキッチンへと向かいながら、旅行の事は忘れようと頭を振った。
「楽しかったかい?」
久しぶりだったのだろうと、旅行の事を掻き消したばかりの私の頭を、再び戻してくる彼。
「は…はい」
あまり楽しそうな雰囲気を醸し出せないニュアンスの声色がでてしまい、
慌てて、とっても楽しかったと言い直した。
「…そうかい」
そんな猿芝居なんかお見通しな彼は、片眉をあげ、嘘だろ。と言う顔で見つめてくる。
「た、楽しかったですよ」
嘘じゃないとでも言うように、少し強めに言葉を放った。
「ん、分かった。分かった」
たいして気にならなかったのだろう彼は、そう言いながら頭を撫でてくる。
そんな彼に、旅行の事を言ってみようか少し悩む。
またもや様子のおかしい私に気付いた彼は、
「なんだい?」
言いたい事があるなら、言ってみろいと促してきた。
言うだけならいいかと、そうふんだ私は、旅行の件を話してみる事にした。勿論、行く気はありませんよ。と足すのも忘れずに。
「…#name#、行きたいんだろい?」
「いや…」
行きたいなんて素振り、これっぽっちも見せてはいないのにと思いながら、違いますと否定した。
「ククッ。顔に行きたいって書いてあるよい」
クスクスと肩を揺らして、そんなに行きたいかい?と聞いてくる彼。
「え…行ってもいいんですか?」
思わず口にでた。
「うーん、嫌といえば嫌なんだがよい…」
そんな顔されたらねぃ。
と、優しい笑顔で言ってくれるマルコ先輩。
だから行ってこいと、背中を押してくれたのだ。
「はい!ありがとうございます!」
そんな心の広い彼に、最高に大好きですと、何度も伝えて胸に飛び込んだのだった。
「場所、時間、その他もろもろ…細かい日程は教えろよい」
「?…はい」
「よし」
「????」