マルコside小説 | ナノ
#17 彼との進展
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マルコ先輩と付き合い出して2ヶ月近くが経った。
相変わらず、異様に乳首好きなマルコ先輩には、
ホントに…引いてしまう。
この間なんか廊下でばったり会った時に、危うく乳首を摘ままれる処だったので突き飛ばしてやった。
当初の私の様に、彼の外側しか知らない人達は冷静沈着な大人だと思っているだろう。
皆。騙されてはいけない。
彼は、赤ん坊もびっくりの乳首好き魔神だ。
午前中の授業が終わった処で、パウリー先生に資料集めをしてくれと頼まれた。
何故なら私が、今週の日直だからだ。
「今日中ですか?」
「ああ、悪いな。急ぎなんだ」
「う…わかりました」
「あぁ!トラファルガーに手伝ってもらえ!」
確かあいつはあの資料内容に詳しいはずだ。と。
「おーい!トラファルガー」
無理!無理!激しく無理です!!パウリー先生!
「あっ!大丈夫です!私一人で十分です!」
そんな私の叫びを無視して、KYパウリー先生はローと話している。
「良かったな、手伝ってくれるそうだぞ!」
これで早く終わるだろう。と、涼しい顔で行ってしまった。
「ぇ…あ、えっと、大丈夫だよ!ナミかロビンに手伝ってもらうから!うん。じゃ!」
動揺を隠すように一気に言葉を吐き出し、あの日から初めて言葉を交わすローに背を向け走り出そうとした刹那、
「いや、手伝ってやるよ」
そんな言葉を相変わらずの無表情のまま言われ、腕を逃げぬよう掴まれながら、抵抗虚しく資料室へ連行された。
ローと二人きりというこの狭い空間の中で、私の心臓は破裂寸前だった。
羞恥心なんかじゃない。
気まずさと、そして、彼からの恐ろしい程の視線のせいでだ。
「………。」
気まず過ぎて言葉が出てこない。
あれからローに艶のある話は聞いていない。
と言うことは、彼女的存在は居ないと言う事だ。
自分だけ幸せ一杯な所も申し訳なくて、益々気まずい。
これは早く資料を集めて撤収したい。
「#name#…」
「っ!!!は、はい!」
「フッ…ビビり過ぎだ」
「あ、うん…ごめん」
「#name#と話すのはあの日以来だな…」
もう何年も話していない気がすると、哀愁漂う目で言ってくる彼に胸が痛んだ。
そして、特にこれと言った会話をする事なく時間だけが過ぎていく。
そんな居たたまれない空気の中、届きそうにない高い位置にある資料に悪戦苦闘していると、後ろからヒョイと手が伸びてきた。
「あ…ありが…」
とうと、続くはずの言葉は、ローの抱擁によって呑み込まれる。
「ぇ…えっと、ロー?」
何も言葉を発っさない彼に、何故抱き締めるのか?
という意味を込めて、言葉を掛けるも彼は何も言わず腕の力を強めてくる。
「ロー?えっと…」
取り分け、ローに抱き締められても嫌な訳じゃないが、恋人の居る身だ。ここは離してもらうしかない。
再度、声を掛けようと口を開こうとした瞬間、
「少しだけでいい…」
このままで居させてくれと、消え入りそうな声で彼は口にしたのだ。
ローの言葉を肯定するのもおかしな話だし、否定するのも…何だか可哀想だ。
でも、このままっていうのも…。
この不可解な行動に悩んでいると、
「こんなに近くに居るのにな…」
抱き締めていてもお前が遠くに感じる…
などと、詩人の様な台詞を吐くローに、曖昧な相槌をしてしまった。
そんな私の言葉を聞いたローは、抱き締めている腕の力が少し強くなる。
「#name#…」
囁くように耳元で名を呼ばれ、首筋に顔を埋めて哀愁たっぷりの雰囲気を醸し出している処で、
「ぐぅぅ」
まるでその先を咎めるかのように私のお腹が鳴ってしまった。
「お前……色気ねぇな」
「すみません…」
だって、仕方がない。
お昼ご飯を食べていないのだから。
「お腹減ったね、ロー」
「……はぁ。」
これを期に、私とローはあまり気まずくなく過ごせる様になったのだ。