鳥形変形ロボットマルエモン | ナノ
鳥形変形ロボットマルエモン 2
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「さっきから真剣になにしてんだい?」
「え、えっと…取扱い説明書を…」
「んなもん俺が口頭で教えてやるよい」
「あ、ほんと?じゃぁ主電源はどこにあるの?」
「……主電源はねぇよい」
「うっそん!あるよ絶対!どこ?鼻?おへそ?」
「ねぇったらねぇよいっ!!」
鳥型に変形する事を頑なに拒む目の前のおっさんに、どう考えても一人暮らしの乙女の部屋で共に生活なんて出来る筈がないと、私は今必死に主電源を落としてやろうと考えいた。
何故なら人型に変形したこのロボット。見た目、触った感触、もうどこからどうみても人にしか見えない。
正直怖い。
しかも一体何の目的に作られたのか、喜怒哀楽ありとあらゆる感情まで人そのものだ。
こんな如何わしいロボットおっさんが部屋に居たのでは、彼氏も出来なければ友達も家族でさえ部屋へ招く事は出来ない。
それに一番の問題はーーー
「ちょ、ちょ!ちょっと!部屋の中勝手に漁らないでよ!って言うか主電源はどこ!?」
「煩いねぃ…ねぇっつったろい?それにどこに何があるか把握しなきゃいけないだろい?」
「しなくていいから…、はぁ…ねぇマ、…」
「マルエモンだよい」
「変な名前…。あ、じゃなくてマルエモン!ロボットの三原則って知ってる?」
「…知ってるよい」
「怪しいな。いい?ロボット三原則!人間への安全性、命令への服従、自己防衛、だよね?」
「…ょぃ」
「さぁ、マルエモンが犯している違反はなんでしょうか?」
「……違反なんてしてねぇょぃ」
「はい!そこ!してますよ?まず命令への服従!服従してないよね?服従!」
「……自己防衛だょぃ」
「はぁ?服従のが優先じゃないの?」
「いや、自己防衛が優先だい」
「……ロボットのくせに減らず口を」
「あぁ?」
「ひっ!」
そんな一番の問題は、命令への服従に全くもって従わないこの横暴で強気なロボットとは思えぬ態度だ。
しかも口も悪けりゃ顔も怖い。
幸先不安過ぎて頭がクラクラと揺れる中、項垂れる私に勝ち誇った笑いをあげ再び部屋を物色しだしたマルエモンを横目に、盛大な溜息と、そして絶対にあるであろう主電源を探る過酷な日々が始まった。
「おぉ!紐パンなんて履くのかい?厭らしい子だよい」
「ちょっとぉぉ!!勝手に取り出すなぁ!そして嗅ぐなっ!!」