鳥形変形ロボットマルエモン | ナノ
鳥形変形ロボットマルエモン 1
最近人気の動物型高機能ロボット。
多種多様な種類の動物に施されたそのロボットは、ペットを飼えないマンション暮らしや何らかの癒しを求め、そのロボットというお手軽さからか幅広い年齢層からの指示をうけ最近ブームとなっている。
そんな私も流行に流されつい先週購入した高機能ロボット。青い綺麗な色をした鳥型モデルだ。
「きたきた!えっと……何これ!?」
期待に胸を弾ませながら梱包をいそいそと剥がした先には、注文した手乗りサイズの可愛らしい鳥ではなく――
「デカイ…しかもこの顔…ふ、ふてぶてしいっ!!」
予想していたサイズよりも三倍程あるデカさにも驚きだが、何より予想外なのは鳥特有のつぶらなクリクリとした瞳ではなく、この鳥。眠たげで半開きなうえに何故かイラッとさせるふてぶてしさを持ち合わせている。
「うーん…注文ミスか…ぇ…」
「ミスじゃねぇよい、よっ」
「っっつ!!?」
返品が頭に過りながら、両手で持ち上げるように見つめていた目の前の鳥が突然、ポンッと効果音を伴いみるみる内に人間の、しかも奇抜な髪型のおっさんに変身した。
そんな奇想天外な目の前の光景に呆気に取られていると、変身を成し遂げたおっさんはコキコキと関節を鳴らしながら見下すように口を開く。
「お買い上げありがとよい。俺は鳥型変形ロボットマルエモンだよい」
「……変形ロボット!?」
「あぁ。変形ロボットだい」
「た、頼んでない頼んでない!すみません間違えたみたいです」
「あぁ?んなこたぁ知らねぇよい。今日からお世話になりますよい」
「ぅ…ごめんなさい、変形なんて…私お世話出来ません。しかもおっさ」
「返品不可能だよい」
「いや、でも…」
「まぁ…出来ない事もねぇが…」
「本当ですか!?あ、じゃぁ今すぐ手続きを」
「返品手続きには買い上げ値段の百倍かかるけどねい」
「えぇー!?百倍っ!?」
「さぁ、どうするよい?」
正直軽い気持ちだった。ロボットペット。こんなリスクを伴う買い物は未だかつてした事がない。
しかし百倍の価格でリコールする懐も貯えもある筈もなく、私はこの見た目も態度もふてぶてしく、そしておっさんを飼うことに…なってしまった。
「さ、何しようかねい?人型になれば何だって出来るよい?」
「ぁ…とりあえず…鳥型に戻ってくださいお願いします」