短編or番外編 | ナノ
04 バナナは妄想癖
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やけにスッキリとした目覚めを成し遂げ辺りを見渡せば、そこは見知らぬ家具が置かれた見知らぬ空間だった。
「…は?どこここ?」
「俺様の部屋だよい」
「ひっ!……バナナ」
「てめぇは…人の名前を…ちゃんと…言えねぇのかいっ!!!」
「キャァー!!近い!うわっ!いやぁー!!」
「………ムカつく女だよい」
聞き慣れた声に顔が青ざめながら勢いよく振り向けば、そこにはフサフサとよく実ったバナナが揺らめいていた。
そんな果実は至極不機嫌そうな雰囲気を纏いながら、奇声をあげ得意のプロレス技を繰り広げようとしている。
「ちょ痛い!あぁ!?わ、わ、私の服は!?……まさか酔い潰れた私を無理矢」
「なわけねぇだろい。ったく、感謝してもらいたいねぃ…見捨てず介抱して着替えまで貸してやったんだい」
「介…抱?バナナが?ってか着替え!?み、み、見たのか私の裸体を」
「あ?あぁ…見たよいばっちり貧乳を」
「貧乳じゃない!!死ね!変態!金取るよ!!」
「だまれ酔っ払い!ったく感謝の言葉一つも言えねぇのかい?」
「ぅ…だって…」
「それに覚えてねぇんだろい?俺にしがみ着いて離れなかったんだよい?」
「またまた…ありえない」
「仕舞いにゃ一緒に寝たいって駄々こねだしてよい」
「………妄想癖がおありですか?」
「………て、めぇ」
「ギャー!!ギブギブ!!」
後ろから羽交い締めにあいながら見下ろした先には、見慣れぬTシャツ一枚を纏った自分の姿。
そして瞬時に浮かぶよからぬ想像を口にすれば更に腕が悲鳴をあげだした。
と言うかこの体勢。
顔は間近で背中は隙間なく密着状態。しかもバナナの足が後ろから絡み付くように胴体を抑え付けている。
そして何より頂けないのが密室でベッドの上ということ。
「ちょ、や、やばくないですか?この体勢…」
「あ?なんだい、いっちょ前に恥じらってんのかい?」
「いっちょ前って…だって…み、密着し過ぎ」
「はーん?そうかいそうかい。つまり俺に欲情したって訳かい?」
「ちがーーーう!!」
「ぐぇ!!」
ニタニタと目障りな笑みを浮かべ勘違い発言をする変態バナナに裏拳をお見舞いし、怯んだ隙に密着地獄から抜け出した私は十分に距離をとりバナナを警戒する。
反撃の後のバナナは恐ろしく狂暴だ。隙を見せぬよう間合いを更にあけながらバナナを見据えれば、予想外にも溜息一つ吐き出し呆れ顔を向けられた。
「ん?なによ…」
「はぁ…。気分は大丈夫なのかい?後腹減ってんだろい?何か食うかい?」
「へ?あ、う、うん。大丈夫だし食べる」
「んしょ、ほら来いよい」
「う、うん」
「適当に冷蔵庫漁って作れよい。二人分な。で、先にコーヒー淹れろい」
「な、あたしが作るんかいっ!!?」
てっきり怒り露に詰め寄ってくると思っていたが、意外にも労るような優しい言葉を掛けてきたバナナに拍子抜けしたのも束の間。
バナナはそんなに甘くはなかった。
「おい、さっさと作れよい」
「…ドラえもんじゃないんで直ぐには出来ません」
「あぁ…そういや今日履いてるパンツ。俺好みだよい、毎日履いとけよい」
「!!!!!」
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