鬼畜な彼の愛し方 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

期待×躊躇い





あの拍子抜けした日から翌日。外すなと凄まれ未だ首元に光るネックレス。

いや、ネックレスと言う名の首輪だ。飼い主のいるペットに与えられた印とでも言おうか?

なにもあんな言い回しではなく、普通に似合うからとだけ言って渡してくれれば、少しは彼への見方も変わったかもしれないのに…

やはり私は、彼にとって所有物でありペットなんだと裏付けられた様で無性に虚しさと嫌悪感が増してしまった。


そうして、鈍よりとした空気を纏いながら廊下を歩いていると、更に重苦しい出で立ちの幼なじみに声を掛けられる。

「なんだお前?死んだ魚みたいな目付きしやがって…」

「…げっ、ロー」

「げっじゃねぇよ。辛気臭ぇな」

「あんたの顔の方が臭そうよ。……ぁ」

「臭そう?てめぇ…」

「ちょ、ちょっと来て!」

「うぉ?触んな、んで引っ張るな!」

この腐れ縁とも言える幼なじみ。昔から異常にモテ、女をとっかえひっかえしている遊び人だ。
こいつなら…

私は心底嫌そうな彼を引っ張り、使われていない教室に押し込んだ。
彼に聞いてみよう。経験豊富なローなら、きっと私の求めている答えが聞き出せる筈だ。


「……なんだ?愛の告白なら間に合ってるぞ」

「誰があんたなんかに…じゃなくて、あのさ…その…」

「女の紹介もお断りだ」

「違ーう!だいたいさっきから自惚れ過ぎよ!そうじゃなくて、その……わかるもんなの?」

「…主語を言え」

「っ…だから…他の人に…抱か…れたら男ってわかるんでしょ?」

「あ?何言ってんだお前?」

「もう!真剣に聞いてんの!どうなのよ!?」

「……わかんねぇ…と思うぞ?」

「え…?わかんないの?」

「他人はどうか知らないが…俺はわからねぇ。そんな意識した事もねぇしな」

「な…うそ…」

「どうしたんだ?そんな事聞いて…はーん」

「何よ…」

「このアバズレが」

「っ!違うからね?私彼氏いないし!」

「へぇー」

ニタニタと何か勘違いをしているローを一睨みし、私は頭を抱える。

わからない?そうなのか…もっと早く聞いておけばよかった。なら、エース先輩との事は無駄だったと?
これは…どうすれば…

「……まぁ…キスマークでも付いてりゃ一発だがな」

「キスマーク!?成る程…」

その手があったか。キスマークを発見させつつ、自ら白状すればいい事じゃないか。
しかし…それで諦めてくれるだろうか?当初の目的である形は変わってないのでは?
でも…試してみる価値はある!


「ね、ロー。キスマーク付けて」

「……頭大丈夫か?」

「うん。至って正常。どこがいいかな…胸?太もも?」

「……誰が付けてやるって言った?」

「いいじゃない!小学校の頃の失態をバラすよ?」

「てめぇ……チッ、わかったよ」

「はい、じゃぁお願い」

昔何度も一緒にお風呂に入った仲だ。それに彼の事を異性だと感じた事は一度もない。
そんなやつに下着を見られようがなんとも…

「ちょっと!?誰が胸触っていいって言った?」

「あ?いや…いつの間にこんなに…」

「いいから、早く!」

「チッ、この辺でいいだろ?」

「うん……んっ…」

「…変な声出すんじゃねぇよ」

「むっ。たまたまよ」

「次は…太もも出せ。後椅子に座れ」

「はーい」

「少しは恥じらえ。淫乱が」

「煩いっ!淫乱じゃない」

「淫乱だろ?こんな男の前で足広げてよぉ…」

「…いいから早くしてよ」

「…ムカツク女だ」

そうして胸と太ももの内側二ヶ所にキスマークが付けられた。
これで…否応なしにも気づくだろう。

「言っておくが…俺を巻き込むなよ?」

「え?あぁ、大丈夫」

「それならいい」

「よし。どうもありがとね」

「……おい。」

「ん?」

「三年の…マルコ…何か関係あんのか?」

「っ…な、なんで?」

「いや…この前見掛けた」

「あぁ…」

「あいつは…怒らせんなよ」

「え?どう言う意味?」

「…兎に角だ。怒らせるような事だけはすんな」

「う、うん…」

「じゃぁな」


怒らせんな?ローがわざわざ言うくらいだ。余程怖いのだろう。
しかし私は今まさに、マルコ先輩が怒りそうな事を企てている。
どうなるのだろうか…
まさか殺されたりはしないだろう。予想ではこの前のように睨まれ、せいぜい罵声を浴びせられる程度だろう。

そんな暢気な考えを持って、今日もマルコ先輩に連れられ学校を後にした。

このコースは彼の部屋へと向かっている。
漸く、漸く私は彼から脱出出来るチャンスが訪れる訳だ。



そんな事はつゆ知らず、私の腰を優しく抱き寄せながら部屋へと促す彼を横目に、今日で最後だと、期待と少しの不安を抱え私は部屋の扉を潜ったのだった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -