鬼畜な彼の愛し方 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

憂鬱×所有物





「クッ…#name#…そろそろ」

「ん…はぃ…」

「出すぞ…?…クッ…」


これでもう三回目の行為になる。エース先輩のアレはどこからどうみてもマルコ先輩のソレとは異なった形をしていた。
これだけ身体を交えれば、いくらなんでも私に変化があるだろう。

しかし…エース先輩とマルコ先輩を比べてしまうのは申し訳ないが、若干マルコ先輩の方が立派なものをもっている気がする。とは口が避けても言えないけれど。


「#name#…?」

「あ、はい?」

「ほんとに…これで良かったのか?」

「はい。幸せです」

「そ、そうか。」

腕に私の頭を乗せ怪訝な表情でそう問い掛けてきた彼に、満足だと伝えれば安堵の溜め息が聞こえた。

でも、私が他の人と関係を持った事を知らせる為には、もう一度マルコ先輩に抱かれなくてはいけない。

かなり憂鬱だが、それで最後だと思えば気が楽だ。


「なぁ…さっき…俺の事好きだって、言ったよな?」

「っ…は、はい」

「その…俺も好きだ」

「ぇ…?ぁ、あの…」

「付き合うか?」

「っ…ぁ、いや…」

がばりと上から覗き込む様に起き上り、少し恥ずかしさを纏いながら告げられたいきなりの告白に、正直驚いたのと、素直に返事を出来ない自分に戸惑った。

マルコ先輩の事がなければ即答で受けていたと思う。しかし、この問題が解決しない事には彼と付き合うなんて考えられない。

「ぁ、あの…私今、家庭の問題でごたごたしてて…それが解決してからで…いいですか?」

「っ?そんなに大変事なのか?」

「は、はい」

「わかった。待つよ」

「エース先輩…ありがとうございます」

「あぁ。早く解決するといいな?」

「っ…はい」


彼を見送った後、熱めのシャワーを浴びながら鏡に映る自分を見つめた。

エース先輩の事は…確かに好きだった。しかし、マルコ先輩と関係を持つようになってからは、正直、その気持ちは無いに等しい。

抱いてもらう為に偽りの言葉を掛けてしまった事に後悔が押し寄せてくる。

俺も好きだと言ってくれた彼。
でも本当の私を知ったらどう思うだろうか?
それでも…好きだと言ってくれるだろうか?


きっと…幻滅されてしまうだろう。しかも彼はマルコ先輩と友達だ。
上手く隠せたとしても、いつバレないかとヒヤヒヤしながらではうまくいく筈がない。

そんな悪循環とも言えるこの状況に深い溜め息を吐いた所で、エース先輩の事は諦めても、マルコ先輩の事は少し兆しが見えたのだと自分を励ますように力強く蛇口を捻り、気持ちを奮い起たせた。


そうして翌日。
四日振りの学校に気だるい気分を纏いながら時を過ごし、次の授業への移動中、正面から向ってくるマルコ先輩の姿を捉えた私は反射的に身体が強張った。


「#name#、具合はもういいのかい?」

「だ、だいぶ…」

「熱は…ないみたいだねい」

彼の手がなんの戸惑いもなく私のおでこに触れた瞬間、周りから奇声が沸き起こった。

忘れていたが、マルコ先輩はかなりの人気者だ。
そんな彼にまるで恋人の様に顔に触れられ心配そうな眼差しを向けられれば、それは奇声の一つや二つ上がるだろう。

「だ、大丈夫です」

「……」

咄嗟に一歩後退り彼と距離をとった。
それを怪訝そうに見つめた後、やはりと言うか、放課後の約束をこじつけられ去って行く彼。

その後ろ姿を眺めながら、今日で終わるやも知れない悪夢に期待が膨らんだ。


マルコ先輩はどんな反応をするだろうか?
もう用無しだと解放してくれるだろうか?
それとも…いや、暴力は流石にないだろう。


そんな事を考えながら運命の放課後を迎えるも、私の期待を裏切るような行動をとる彼に拍子抜けしてしまう。

「なんか食いたいもんでもあるかい?」

「え…いえ…別に」

「じゃぁちょっと付き合えよい」

「…?」


てっきり何時もの様に彼の部屋へと連れて行かれると思いきや、ぐいぐいと私の手を引き向かった先はかなり高級感漂うジュエリー店で、入るなり深々と頭を下げた定員から何かを受け取ると、直ぐにその場を後にする彼。
私はまるで意味が分からずただ手を引かれるまま着いて行くしかない。


そうして連れて来られた海辺のベンチに座らされ、先程受け取った綺麗にラッピングされた箱をビリビリと破り捨て顔を出したのは…

「プレゼントだ。後ろ向けよい」

「ぇっ…」

綺麗な青い宝石の付いたネックレス。
戸惑う私をものともせず、クルリと反転させられたかと思えば、首元にヒヤリとした感触が伝わった。

「ぇ…ぁの…」

「ん、よく似合うよい」

「そうじゃなくて…い、要りません…こんな」

「なぁ#name#知ってるかい?男が女にネックレスを贈る意味」

「ぇ?い、いえ…」

「ククッ、知らねぇのか?それはねい…−−−」

「っっ!?」

「大切にしろよい?」

「っ……」


男が女にネックレスを贈る意味。彼から繋がれた言葉の続きは、自分の"所有物"だと言う証だと。そう満足そうに目を細めながら口にしたのだ。


そうしてその日は抱かれることなく別れ、今日で終わると思っていた私の期待は叶う事はなく、首に巻き付いたその証は、ずしりとのし掛かるように私を地へと押し潰し、まるで嘲笑うかの様に濃い輝きを放っていたのだった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -