鬼畜な彼の愛し方
| ナノ
秘策×希望
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今日で三日目になる。
そう。私は学校を休んでいた。
どうしても、もやもやとした心が晴れず学校なんて行く気になれなかったからだ。
休んだ初日にマルコ先輩から案の定メールが来た。
風邪を引いたと嘘を付けば、直ぐに掛かってきた電話。心底心配した声色で見舞いに来ると言い出した。
それを当たり障りなく断り、今に至る。
このまま学校にさえ行かなければ、もしかして私は彼から逃れる事が出来るのではないか?
そんな想いが頭を過った。
それに、このまま学校を辞めれば、あの写真がばら蒔かれたとしても…周りの目も気にせずに過ごせるのではないかと…
思考は常にマイナス傾向だ。する事もなく一日中ベットに横になっていれば、自ずとこう言う考えになってしまうのかも知れない。
誰かに話すか…?
でも話したからと言って私が望む結果は得られるのだろうか?
恥をかき、自分を更に追い込む結果になりそうで気が退けた。
それにしてもマルコ先輩は一体何を考えているのだろうか?
そんなに私の身体が気に入っているのか?
あ…そう言えば…
私は彼が言っていたある言葉を思い出した所で、母親の呼ぶ声で思考が中断される。
「なに?」
「お友達がお見舞いにきたわよ!通すわね?」
「お友達…だ、だめ!」
まさかの不安に冷や汗が出た。マルコ先輩かもしれない。そう思ったのだ。
しかし、現れた人物は彼ではなく…
「よっ!風邪引いてるんだって?」
「エー…ス先輩…?」
微塵も予想していなかった訪問者に、私はただ唖然と立ち尽くしてしまう。
「ぇ…あの…どうして?」
「ぉ、おう。いや、最近見ないなと思ってよ、ルフィと同じクラスだろ?聞いたら風邪だって…言うからよ」
「ぁ、いや…でも…」
「ああ!ほら、何か悩み事があるみたいな事言ってただろ?あれから話してねぇし…その…気になってたんだよ」
「ぁ…そう…ですか」
「め、迷惑だったか?」
「い、いえ!エース先輩なら大歓迎です!」
始めこそ驚いたが、心配してくれていると言うエース先輩の言葉に、私は少し胸が高鳴っていくのを感じた。
連絡先も知らない、学校でしか話した事のない憧れの彼が心配してお見舞いに来てくれた。
先程までの暗い気持ちは一気に明るくなる。
「これ、土産だ」
「ありがとうございます」
「母ちゃんに渡そうと思ったんだけどよ、出掛けるって言うから…」
「え?出掛けちゃったんですか?」
「ああ。ごゆっくりだとさ」
「もう…あ、お茶淹れてきます!」
出掛けるなら一言言って欲しい。てっきりお茶を届けてくれるとばかり思っていた私は、急いでキッチンへと向かった。
お茶の用意をしながら、ふと、先程考えていた事が蘇ってきた。彼なら…頼みを聞いてくれるかもしれない。
それに、 エース先輩になら、私だって万々歳じゃないか。
そう考え付いた私は、彼の元へ決意を固めながら足を進めた。
マルコ先輩の事は…やはり伏せておこう。彼等は友達だ。友達の悪口なんて誰も好き好んで聞く筈がない。
ゆっくりと扉を開け、ソファーに座りぼんやりしていた彼に呼び掛ける。
「お待たせしました」
「おぉ、悪いな。病人にこんな事させちまって」
「いえ。もう大丈夫なので」
「そうか?良かったな」
「あの…エース先輩…」
「ん?どうした?」
「お願いがあるんですが…」
「おぉ、何でも言えよ!何だ?」
「…………抱いてください」
「よし!わかっ………は?」
これが私の出した、マルコ先輩から逃れる秘策だった。
以前、サッチ先輩に彼が放った言葉。
『他の奴が入ったら形が変わっちまう』
マルコ先輩は私が他の誰かと関係を持って、形が変わる事を拒んでいた筈だ。
ならば誰かに抱かれてしまえばいいじゃないか。
そうすれば、私の身体に興味がなくなり解放されると、思ったのだ。
「え、いや…どうしたんだ?ね、熱まだあるんじゃないのか?」
「ありませんよ。私…ずっとエース先輩の事…好きだったんです」
「なっ!?まじかよ…いや、でもそんないきなり…」
「私じゃ…興奮しませんか?」
「え?いや…そんな事ねぇよ。うん。ねぇけど…」
「なら…お願いします」
「お、わっ!?んっ!?」
後ずさる彼に抱き着き、自ら唇を重ねた。
かなり大胆な行動だが、これでマルコ先輩から逃れる事が出来るなら、嫌われようが呆られようがなんだってしてみせる。
長く愛しさを込めて口付けを交わしていく内に、だんだんと彼もその気になってきた様だ。
肩を押し返していた手は、今では包み込む様に背中に回っていた。
私から誘ったのだからと、軽いリップ音を立て離れた唇を徐々に彼の下半身に移動させる。
ゆっくりとベルトに手を掛ければ、ガシリとそれを制された。
「#name#…本気かよ?」
「本気です」
「…そうか」
その言葉と共に、エース先輩は自ら下着共々脱ぎ捨て、私の服に手を掛けてきた。
お互いほぼ半裸の状態になった所で、先程の続きとばかりに私は彼の反り起った自身を口に含む。
「っ…くっ…#name#…」
彼の甘く漏れる吐息を聞きながら、これで解放されればいいと心の中で願いつつ、私は目の前の行為に集中したのだった。