鬼畜な彼の愛し方
| ナノ
43 エイプリルフール番外編
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最近の俺は心の底から繋がったような安心感に包まれながら、今まで以上に深い愛情を実感し毎日が幸せで満ち足りた日々を送っていた。
そうして今日も俺の部屋にて密着感を味わうように#name#を後ろから包み込み、首筋に時折食い付きながら共にテレビ画面を見つめ幸せを噛み締める。
「マルコ…先輩、」
「ん?なんだい?」
「っ、私…ごめんなさい」
「ん?どうしたんだい?何故謝る?」
「……別れて、ください」
「………は?」
「ごめんなさい、っ、ごめんなさい」
「っ…お、おい#name#、う、嘘だよねい?」
「っ、ごめんなさい」
そんな不意に投げられた爆弾に、身体が瞬時に硬直し意識は物凄いスピードで地球を一周したように真っ白になった。
それでもごめんなさいと何度も口にしながら、俺の胸に額をつけシャツを握り締める手が僅かに震えていることに、俺はこの言葉に信憑性なるものを感じてしまう。
「っ?マルコ先輩?」
「…………」
#name#の肩をやんわりと押し返し、少し前に用意していたある物を取りにクロークに向かう。
まさか使う日が来ようとはと苦笑いが漏れる中、それでも彼女を失う苦しみを味わうなんてもう二度とごめんだと、再び彼女の前まで戻ってきた俺は不思議顔でこちらを見つめる#name#にカチャリと手錠を掛けた。
「え?なんですかこれ?」
「別れねえよい、絶対な」
「あ、だから…の前に何でマルコ先輩まで?」
「この手錠は特注でねい、市販のもんじゃ絶対壊せねぇ。オマケに鍵も捨てちまった」
「えぇ!?いや、ちょっとどうやって外すつもりですか!?」
「#name#…一生外さねぇよい。お前はこの先ずっと、俺と一緒だい」
「もぉー!!さっきのなら嘘ですよ?今日はエイプリルフールでしょ?」
「……………は?」
「直ぐわかると思ったのに、マルコ先輩早とちり過ぎです」
「……じゃぁ別れるっつうのは…嘘なのかい?」
「ぇ?そうですよ、やだ、これ外れないっ」
「な…なんだい、焦らせやがって」
「マルコ先輩!外れない!」
「エイプリルフールか…」
「マルコ先輩!!」
まんまと悪戯な彼女にしてやられた俺は、ぎゃぁぎゃぁと間近で叫ぶ声なんかほとんど頭に入らずじわじわと安堵の感情が甦ってくる。
それにしても未だに彼女を失う恐怖がこれほど迄に俺の心を揺さぶるとは―
これはまだまだ安心は出来ないなと、こんなふざけた真似をしねぇようにきっちり教育が必要だと確信した。
「もう、いい加減外してくださいよ」
「外さねぇよい」
「はい?困ります!」
「外さねぇ。一生このままでいいじゃねぇか」
「なっ……絶対嫌です」
「……絶対外さねぇよい」
困惑を通りこして呆れ顔の#name#に、俺の愛情の深さを思い知らさせる為にも暫くは、いや一生このままでいいと本気で思い始めていた―――俺なのであった。
「外してくれないなら本気で別れますよ」
「よいっ!?」