鬼畜な彼の愛し方 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

逃げ道×我が儘



「もう一度言ってくれ」

「え?だから、マルコ先輩と仲直りしたの」

「おい、…何故そうなるんだ?」

「え?何故って…フフ、マルコ先輩ってばさ」

翌日、幸せに満ち溢れた私は当然のようにローのもとへ報告に行った。

不満を一つ一つ解消していくよう努力すると、そう言ってくれたマルコ先輩に私はローの事を真っ先に話した。

家族の様に大切な存在な事を真剣な眼差しで耳にタコができる程伝えれば、渋々、ホントに渋々、了承してくれたのだ。

それを含め、これからはわかり合いながら付き合っていけると、その想いをローに熱弁する。

「はぁ…よかったな」

「うん、ローホントにありがとね」

「……てめぇ」

「え?ちょ、ダメだよ、こういうのは」

相変わらず呆れ面のローに何度目かわからぬ感謝を告げれば、眉間に皺を寄せブラウスのボタンに手を掛けられる。

冗談だろうと軽い口調であしらうも、払い除ける手を拘束され手際よく服を脱がしていくローに焦りだした私は本気で制止を掛けた。

「ロー!怒るよ」

「いいだろ別に、俺の事は認めてもらったんだろ?」

「ゃ、ちょっと、そういう意味じゃない」

「ふん、うるせぇ」

「ぁっ、もうやめ」

いつの間にか剥ぎ取られた下着から覗く胸の先端を、投げやりな言葉と共にパクリと咥えられ思わず制止の声が途切れてしまう。

ゾクゾクと舌先から伝わる刺激に抵抗の手を弱めれば、チラリと目線を向けた後拘束が解かれ腰を引き寄せられた。

「ぁっ…、ねぇ、ロー?」

「…何だ?」

「やめて?」

「………ちっ」

自由になった両手を使い、胸にしゃぶりつく彼の頭をやんわりと撫で優しくお願いすれば、それと同時にピタリと止んだ舌の動きの後、少し拗ねた顔がムクリと起き上がる。

「まったく、シラケる女だ」

「な、もしかして…いじけてんの?」

「……誰が」

「なになに?…あ!おっぱい星人だったの?」

「は?」

「だってすっごい名残惜しそうな顔するから…」

「はぁ……。そんな変な星人扱いすんじゃねぇ」

「だよ、ね。フフ、ごめん」

「おい、#name#」

気まずい雰囲気に思わず飛び出た冗談を至極迷惑そうに返してくるローに苦笑いを漏らせば、一呼吸置いて真剣な双眸を向けられた。

「俺はお前の家族でも兄弟でもねぇ」

「え、何言って」

「いいから聞け。つまりだ、いくらお前が家族同然と言い張っても、俺次第でいくらでも男と女になる」

「……」

「だからもう来んな」

「…ローの家に?」

「あぁ。まぁ、浮気してぇなら、別だがな」

「浮気…」

何事かと身構える私に、視線を崩すことなく告げられた言葉に胸がざわついた。

ロー次第。先程の事を指しているのか、確かにあのまま抵抗しなければ体を交えていただろう。

黙り込んだ私に浅い溜息を吐くローを感じながら、ローと言う存在を分析してみる。

幼い頃から時間を共有したからか、大抵の事なら恥じらいなく振る舞える。
初めて体を重ねた時は何とも言えない違和感が駆け巡ったが、一度越えてしまえば寧ろ心地よさを感じる程だ。

そうして過ごす時間が増えるにつれ、絶大な信頼感と安心感が加わった。
それでも恋い焦がれる想いは感じた事はなく、恋人がいる手前拒みはしたがローに触れられるのは嫌ではなくて―


結局なんの答えも見いだせないまま困った様に隣を伺えば、怪訝な面持ちで見つめ返される。

「いい加減、俺離れしろ」

「な、何その親心みたいな言い方…」

「…はぁ、もういい」

「でた、なげやり」

「痛って、…てめぇ」

そんな私の言いぐさに心底呆れた顔を向けるローに、口を尖らせ二の腕を力一杯つね上げてやった。

わかるようでわからない。

いや、わかりたくない。

結局はいつも優しく受け入れてくれるローの存在を逃げ道にしているのだと、心の片隅にちゃんと出ている答えを、私は無理矢理奥底に押し込んだ。

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