鬼畜な彼の愛し方 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

太鼓判×特別



あの後すぐにローの家に向かった。
本来ならば真っ先に報告しなければいけない相手とも呼べる彼に、浮かれ気分と異常なまでの束縛からずるずると後回しにしてきた事を少し後悔する。

「お邪魔します…」

「あぁ…何か飲むか?」

「ぁ…うん。じゃぁミルクティー貰おうかな」

「……自分で作れ」

「は?……だよね」

まさかのもてなしかと期待した心をズバリと裏切られ、苦笑いを漏らしながらキッチンへと足を向けた。
自室ではなくリビングのソファーで寛いでいる彼にカップを差し出せば、此方をチラリとも見ずそれを口にする。

そんな彼の隣に腰掛けながら何と切り出すか思考を巡らせていると、予想外に不機嫌な声色が室内に響き渡った。

「付き合いだしたんだってな」

「っ、あ…うん」

「…そうか」

「…っ、」

出鼻をくじかれ拍子抜けしながらも明らかに不機嫌な態度を醸し出している彼に酷く困惑する。別にやましい事も遠慮する事もないのだが、まるで別れ話でもしているかの様な不思議な空間が出来上がっていた。

「ロー?なんか…怒ってる?」

「…いや」

「そ、そう…」

「…それ、首んとこどうした?」

「え?あぁ…これは、わっ!」

「…噛まれたのか?」

「うん…」

いきなり腕を取り傷跡をまじまじと眺めるローは、眉間に皺を寄せるなんとも怖い顔をしていた。

「ねぇ…なに怒ってんの?」

「…酷ぇな」

「え?…あ、もう大丈夫だよ」

「…初めてか?」

「なにが?」

「暴力」

「暴力!?…う、うん」

「……。あいつもお前の事好きなのか?」

「ぅ…うん。たぶん」

「たぶんって何だ?」

「…んー、実は」

痛々しそうに傷跡を眺めながら不審な眼差しで相思相愛なのかと問い質す彼に、これまでの経緯と不信感を抱えている事を話した。

何だかんだ言って、私はローと居る時が一番落ち着ける気がした。
幼なじみという事も関係あるかもしれないが、体を交えてからはまるで湯船に浸かってる時の様な開放感と癒し効果なるものを感じてしまう。

「…と言う訳なんだけど…どう思う?」

「…大丈夫なんじゃねぇか?」

「そ、そう?ローが言うなら…何か自信が持てるか…な?」

「…何だそれは」

「へへ、ロー、いろいろありがとね」

「…あぁ」

「ほんと…ありがと」

「お、おいっ…はぁ…」

マルコ先輩の事に太鼓判をくれた彼に、嬉しさと感謝の気持ちが込み上げ思わず飛び付いた。

そんな私に盛大な溜息を吐きながらも、まるであやす様にトントンと背中を叩くローに甘えるように頬を擦り寄せる。

マルコ先輩に知られたら間違いなく殺されそうな勢いの今の状況だが、ローは特別だ。

そんな悪びれもせず自分勝手な思考で解決した私は、抱えていた問題が消えた事と居心地いい温もりにうとうとと瞼を閉じていく。

「おい#name#…寝るなら帰れ」

「ん…」

「……はぁ」

ローが何故不機嫌だったのか結局解らず仕舞いのまま、本日何度目かの溜息を子守唄にあっという間に夢の世界に旅立ってしまった私は、太鼓判をもらったマルコ先輩とのこれからを彼ではない腕の中で想い浮かべていたのだった。

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