鬼畜な彼の愛し方 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

横暴×嘘



愛しい温もりに包まれながら、この奇跡のような展開に頭の中はマルコ先輩で溢れかえっていた。

私の告白を受け入れるような抱擁と耳元で囁かれた言葉。
嬉し過ぎて心臓が止まりそうになったが、抽象的なその言葉に少し疑問が浮かぶ。

「マルコ先輩…あの」

「…なんだい?」

「その…さっきの嬉しいって言葉は…先輩も私と…同じ気持ちだと…とってもいいんですか?」

「あぁ」

「っ、マルコ先輩」

肯定の言葉に内心ほっとしながら微笑みを向ける。これで否定されたら間違いなく私は立ち直れないだろう。

「#name#…っ、あー…」

「…はい?」

「ここ…痛ぇだろ、ちょっと…待ってろよい」

「っ…はい」

頬を撫でながらまたもや首筋に目線を向けた彼は、少し顔を歪め部屋を後にした。
そんな背中を見詰めながらゾワリと悪寒が走る。
救急箱でも取りに行ったのだろうが、待ってろと言う言葉に苛立ちが混ざっていた気がした。
まるで"詮索は戻ってから"とでも言うように。

そうしてみるみる血の気が引いていく私は、思考をフル回転させ考える。

必ずこの痕を付けた相手を聞いてくるだろう彼の問いに何と答えるか。
間違ってもローというの固有名詞は出してはいけない。
ならどうする?何と答えようが間違いなく機嫌は損ねるだろうが、それでも一番マシな返答が望ましい。

浮かんでは消えを繰り返していると、思いの外早く開いた扉に思わず体がビクリと跳ねた。

「…何ビクついてんだよい」

「あ…いえ…はは…」

「ほら、首見せろい」

「っ…」

手慣れた様子で手当てをする彼を盗み見る様に伺えば、まるで見透かしたようにニヤリと上がる口角に先程までの幸福感はどこへやら、今や恐怖と不安でいっぱいだ。

「こんなもんかねい……で?」

「っ、え、な、なんでしょう?」

「……誰に抱かれたんだい?」

「っ…いや…これは…」

「#name#。正直に言えよい」

「ぉ、覚えてなくて…」

「あ?」

「っ!あ、あの、酔ってて、その…あ!でも間一髪で逃げました」

「…………」

「っ、ほんとですよ?」

据わった目で威圧されながら、明らかに疑っている彼に念を押す。

この事実は墓まで持っていこうと腹をくくった所で、浅い溜息と共に両頬を包まれ真剣な瞳とぶつかった。

「いいかい#name#、次はないよい」

「ぇ…」

「後、今日から#name#は俺の女だ。他の男との接触は一切禁止だよい」

「え?」

「携帯に入ってる男のメモリも全部消せ」

「は?」

「まぁ、後は追々…わかったかよい?」

「え、あの…」

「あ?」

「は、はい!」

かなり横暴な申し出に一瞬目眩がしたが、奇跡のようなこの展開と嘘を付いた事に負い目を感じていた私は首を縦に振る事しかできなかったのだ。

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