鬼畜な彼の愛し方 <img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

裏付け×貞操



逃げられない。他の人に抱かれようと、どんなに拒絶しようと、彼は私を手放してくれそうにないと感じた。

正直、どんな理由があるにしろ女性に暴力を振るう人は最低だと思う。
でも、謝罪の言葉を口にしながら私を抱き締めている腕が…少し震えていた事に、本気で詫びている感が伝わってきて胸が苦しくなった。

どうして私なのだろう?心も身体も全て手に入れたいと言ったマルコ先輩。心も?それはどう言う意味を持つのか…。

でも彼に抱かれている私は明らかに全てを拒絶している訳ではなかった。
優しく肌を撫でる手。愛しそうに見つめる目。切ないくらいに抱き締められる度に、私は自ら手を伸ばしている。

しかし彼の事が好きなのかと聞かれれば…素直に好きだと言えない。
嫌い…ではないと思う。あの横暴な態度ともの扱いさえしなければ、もっと彼をわかろうと努力したかもしれないのに…
彼は一体なにがしたいのだろうか…?

そんな事を思いながら一夜明け、幸い今日は休日だ。
彼に会わずに済むと胸を撫で下ろしながらも、晴れない心に家に居るのも気が沈みそうだと、若干俯き加減で外に足を向けけた途端、聞きなれた呼び掛けに顔を上げる。

「相変わらず辛気臭せぇ面だな」

「ロー…あ、朝帰りならぬ昼帰り」

「あ?うるせぇ」

「いいね、楽しそうでっ」

「なんの皮肉だ?…出掛けるのか?」

「うん…ちょっとふらっと」

「ふーン…暇ならちょっと来い」

「ローの家に?嫌だよ」

「…いいから来い」

「っちょっと」


強引に腕を引かれ、外の空気を堪能する暇なく再び室内へと戻された。
彼の家へ上がるのは久し振りだ。昔はよく遊んでいたが、中学に入った頃から全くと言っていい程遊ばなくなった。

「もう…なに?」

「どうせ暇なんだろ?」

「そうだけど…おば様居ないの?」

「あぁ。ちょっと待ってろ、風呂入ってくる」

「はぁ?もう…なんか飲んでいい?」

「あぁ」

相変わらず意味不明な行動をとる幼馴染に溜め息を吐きながら冷蔵庫の扉を開いた。
それにしても生活感のないキッチンだ。彼の両親は仕事ばかりでほとんど家に居ない。
本人はその方が気が楽だと言っていたが、私からしたら寂しいんじゃないかと思う。

ローはよく注意して観察しないと、その心の内はわからない。長い付き合いの私でさえそうだ。他の人なんか特に分からないんじゃないかと思う。それ程彼は自分を曝け出さない。
そんな彼への感想を一人述べていると、ガチャリと扉が開いた。


「おぃ#name#、部屋行くぞ」

「えー、ここでいいよテレビ大きいし。それに何?そのAV男優みたいな格好…」

「誰がAV男優だ…いいから来い」

「もぉ…めんどくさいな」


バスローブ一枚で登場したローに素直に感想を述べ、彼の部屋へと向かった。
部屋に着きあまりにも殺風景な景色に呆れにも似た溜め息が漏れる。

「なぁーんもないね。つまんない部屋だなぁ…」

「うるせぇんだよ、お前はさっきから」

「じゃぁ帰っていい?」

「てめぇ……まぁ…座れ」

「…」

一体何の用なのだろう?昔話でもしたいのかと思った瞬間、彼の口から発せられた単語にビクリと身体が反応した。

「で?どうなった?あの三年のマルコってやつと」

「どうって…どうも?」

「はぐらかすな。キスマーク、反応は?」

「なっ!?なんでマルコ先輩が…関係ないよ」

「いいから。隠すな」

「っ…」

何も語っていないのにも関わらず、何もかもお見通しな彼の態度に動揺しながらも少し考える。
ローになら…話してもいいかもしれない。間違いなく他言はしないだろうし、それに、一人で悩んでいたもやもやが多少なりとも晴れそうな気がした。

「誰にも…言わない?」

「あぁ」

「絶対だよ?」

「…早く言え」

「うん……実は…」

私は包み隠さず全てローに話した。彼に遠慮も見栄も必要ない。
そんなショッキングな事実を話し終えた後、彼の口から出た一言は…

「名器…だと?」

「そこ!?ねぇ、そこはどうでもいいんだけど!!」

「よかねぇよ。#name#が…名器…?」

「…もういいから。どうよ、この私の不幸話?」

「あ?あぁ、災難だったな」

「それだけ…?なんかもっと他にあるんじゃないの?」

「名器」

「もうっ!ローに話した私がバカだった!帰る!!」

「あー、待て待て。悪かったよ」

「……」

「それより…確かめてやろうか?」

「…何を?」

「ほんとに名器かどうか…」

「絶対嫌っ!!」

「まぁ落ち着け。もしお前がその名器ってやつじゃないとしたら、そいつのお前への依存の理由が変わってくるだろ?」

「いや…だから話聞いてた?あれは身体だけが目当て……じゃないと?」

「あぁ。だからそれを俺が確かめてやる」

「どうやって?って嫌だよ!?ローとなんて!」

「俺が最適だろ?経験豊富だしな」

「…ぇ、いや、嫌だ」

「俺が目に付くのが嫌なら目隠しでもしてろ」

「そう言う問題じゃ…ちょっとっ」

素早い動きで服の中に手を忍ばせたローは、昔から知っている彼ではなく男の顔になっていた。
しかし彼の提案には賛成出来ない。ローと身体を交えるなんて…考えただけでもぞっとする。

「待ってよ!!嫌っ!気持ち悪い」

「お前…俺が気持ち悪いなんてお前くらいだぞ?」

「だって…ローは…無理無理…って何すんのよ!?」

「俺と思わなきゃいいだろ?お望み通り目隠しだ」

「望んでないよ!蹴るよ?しかも大事な所」

「腕も縛ってやろうか?」

「っ…もぅ……本気で言ってんの?」

「あぁ…少し黙ってろ」

「…っ」

こいつなら本気で縛り上げてやりそうだ。彼がここまで言うのだから本気で確かめたいのだろう。ただしたいだけなら女には困っていない筈だ。
でも…幾ら目隠しをされていると言っても、ローはロー。なにかいけない気持ちになるのは…仕方がない。

「ねぇ…そんな前振りしなくていいから早く終わらせてよ」

「あぁ?可愛くねぇな。折角だから俺のテクニックを披露してやるよ」

「いい!いい!そんなのいらない」

「うるせぇよ…しかしこのキスマークの消し方は凄いな」

「ぇ?っ…んっ…」

「余程嫉妬深い奴が…それ程お前を渡したくないのか…」


マルコ先輩が付け直した跡をなぞりながらローがぶつぶつと口にしていたが、流石数をこなしているとでも言おうか。言葉通り、彼のテクニックに翻弄されそれ処ではなかった。

「ぁっ…ローがしてると…思うと…嫌だけど…すごいね」

「てめぇ…余計な感想言うんじゃねぇよ」

「だって…んんっ…ぁっ」

「入れるぞ」

「ん…」

なんだろう。先ほどまであんなにローが相手だと言う事に違和感を抱いていたにも関わらず、目隠しの効果なのか分からないが身体が震えるほど凄まじい快感に飲み込まれていく。そうしてローが全て入った所で…何故か彼が固まった。

「ん…何してるの?ロー?」

「クッ…おい、動くな」

「ぇ?なんで…」

不振な言葉を吐く彼に疑問を覚えた私はするりと目隠しを取り彼を見据える。
すると険しい顔をして固まっている彼に、もう一度呼び掛けてみた。

「ねぇ…動いてよ…」

「……」

「ちょっと…あ、腰でも痛めたの?」

「いや…」

「じゃぁなに?」

「……イキそうだ」

「はい?イキそうって…今入れた…」

「………イクぞ」

「え?ちょっとっ」


まさにこれが二擦り半とでも言うやつか。凄まじく早く達してしまった彼を怪訝そうに見つめてやった。何が経験豊富だ。こんなのただの一人善がりじゃないか。

「はぁ…」

「はぁじゃないよ。もう…なにそれ?」

「お前…どうやら名器ってのは本当らしいな…正直驚きだ」

「…私も驚きだ」

「…。成る程な。これでハッキリしたじゃねぇか。お前は身体目当てだ」

「…あ、そうですか」

「しかし…こんな身近に…どうりで手放したくない訳だ」

「な、なにその目は?もう嫌だよ?」

「大丈夫だ。次はそう簡単にはイカねぇよ」

「い、いやー!!」



そうして何故か火が点いてしまった彼に散々弄ばれ、そう言えばここ最近抱かれっぱなしだなと自分の貞操の無さに呆れと嫌気がさしつつ、彼が知ったらまた凄い事になりそうだと思いながら、それでもローの言うマルコ先輩は私の身体が目当てなんだと裏付けられたこの事実に、少しだけ、ほんの少しだけ胸が苦しくなったのだった。

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