君の光と僕の影 | ナノ

#04 暗影



マルコに女が出来たのはすぐに気が付いた。しかし毎度の事祝福してやるなんて出来ねぇ。

あんなに嫌だと言ったにも関わらず、マルコは女を俺に会わせようと家に連れ込んだ。

気に食わねぇ。その女も、マルコも。また同じ傷を抉られるだけだと初っぱなから撥ね付けてやった。

それからも悪態を吐き冷たくあしらいを続けたが、そんな俺に臆する事なく何食わぬ顔でしょっちゅう目の前に現れる女に無性に腹が立ってくる。

どうせこの女も俺たちの秘密を聞けば凍り付いた顔を貼り付け去っていく筈だ。
だがそこまで深くマルコと繋がる前に俺が引き離してやらねぇと、マルコの傷付く顔はもう見たくねぇんだい。

あの御人好しのマルコを改めさせるのは不可能と踏んだ俺はそろそろ潮時だと、早速実行に移った。

確実にマルコと会わない日を狙い、女を待ち伏せる。

なかなか帰ってこない女に更に苛立ちが増す中、漸く現れた所で話があると予定通りに部屋へと上がり込む事に成功する。

俺からの接触に顔を綻ばせる女を内心嘲笑いながら、無駄な芝居は不要だと強引に組み敷いてやった。

そんな俺を驚きと少し怯えた眼差しで見詰める女のブラウスを荒く引き裂き情けで言葉を繋ぐ。

「なぁ、マルコと別れてくれねぇかい?」

「っ、な、なにを…」

「今、ここで、別れるって言うんならこのまま帰ってやるよい」

「何…言ってんの?何でそんな事あんたに」

「あぁ…やっぱだめかい」

俺の吐いた言葉を否定しながらも、声は震え見詰めるその顔は明らかに怯えを備えていた。
そんな女に仕方がないとでも言うように荒く下着を剥ぎ取り胸を鷲掴みする。

「っ!や、いやー!!」

「…」

悲鳴を上げながら身体全体で力一杯抵抗を見せる女を更にきつく押さえ付けた。
頭上で両手を一つに固定した後、スカートを捲し上げ下着をずらせば今度は涙を流し止めてくれと哀願してくる。

だったら別れろと思ったが、思いの外いい身体に結果は同じかと、まだ潤ってもいない秘部にいきなり指を突っ込んでやった。

その瞬間ビクリと身体を強張らせた女はもう聞き飽きた哀願を投げ掛けてくる。

もともと優しくするつもりなんて更々ない。
器用に下だけ脱ぎ捨て反り勃った自身を唾液で濡らした窪みに押し付けた。

「やっ!やめて!」

「クク、もう遅ぇよい」

一気に根本まで突き刺した。唾液じゃ不十分だったのか、結合部からギチリと軋むような痛みが襲う。

それでもお構い無しに激しく腰を打ち付ければ、女は唇を硬く結んだまま眉をひそめ小さく呻いた。

「この先マルコに近付くなよい」

「ぅ…い、いや」

「はん、じゃぁあんたに誘惑されたとでも言おうかねい。マルコは俺を信じるよい」

「なっ、ぅ、そんなはず…」

頑なに抵抗の姿勢を解かない女に苛々しながら、以前も顔が同じだと理由でマルコの女に誘われた事があると伝えれば、眼下の女は目を丸くし自分は違うと吠えだした。

そんな事はどうでもいい。
取り敢えずもう俺等の前には現れるな。これ以上踏み込むな。
そう忠告し欲を思いっきり女の顔にぶち撒けてやる。

「…最低」

「ふ、よく言われるよい」

激しく睨みながら絞り出すように声を吐き出した女にニヒルな笑みをくれてやる。

確実に味わったであろう屈辱感と俺への憎悪を植え付けて、このまま消えてくれと願った。

そうして捨て台詞に脅し紛いの言葉を吐き、少しの達成感を味わいながら俺は家路へと足を向けたのだ。

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