君の光と僕の影 | ナノ

#27 想光



「ん…。」


真夜中にボンヤリと開いた瞼に、見慣れない部屋の風景とお腹に絡みつく腕の力強さをただ感じた。



クロと、ついさっきまで…。
そう思うと顔が今更ながら熱い。
あんなに余裕のないクロを初めて見て
私はその姿にはしたなくも感じていて
決して穏やかと言えない行為が
嬉しいと思いながら意識を手放したんだ。


現実に頭がついていかない感覚。
今こうしてる事を
想像した事があっただろうか。



「っアッ、」


僅かに体を滑ったクロの指先に
恐らくまだ繊細な状態の肌が反応して
小さく、声が漏れた。



私の腰を抱え直して首元に顔を埋めながら眠るクロの吐息が後ろから規則正しく聞こえて、本当はずっとこうやって誰かに甘えたかったかもしれないクロを愛おしく思う。



出会った時には分からなかったこと。
クロはきっと、誰よりも優しいんだ。
ただ、不器用なだけ。
それを知ることが出来て良かった。



「…#name#…。」


「ごめん、起こした?」


「いや…多分ちがう。」



寝ぼけたようなクロの甘い声が
吐息と共に耳に入り込んで、
顔が見たくなって、体を向き合わせる。



「眠そうな顔。」


「んー。」


そっと撫でた頬を眺めながらふと思う。
いつの間にか、クロにマルコを
重ねていない私自身が居る。



「クロ。」


「んー?」


「私ちゃんと、クロが好き。」



うっすら開いた目を
ただ見つめていたら、
思い切り抱きしめられて
クロが笑った。



「#name#。」


「なぁに?」


「もっかい、する。」


「えっ?!ちょっ、だっても、あんなに」


ジタバタしようにも抱きしめられていて
それは更に強くなるばかりで
どうやら、諦めるしかないらしい。


「しょうがねぇだろい、好きな女なんて抱いた事ねぇし。お前が好きとか言うからだよい。…せっかく寝てたのにな。」



ニヤニヤ笑う顔は獲物を狙う肉食獣のソレに近い雰囲気で、しまったと悟る。
けれど、愛されてるのは解った。
食らいつくような口付けを受けながら、クロの髪に指を通してサラサラと撫でる。




好き。
すき。




言葉じゃない何かがそう言ってる。




「なあ、#name#。」


「うん?」


「明後日、ちゃんと話そうな。」




マルコ…。




「うん。」




「あとな、好きじゃ足りねえよい。…良くわからねぇが、愛してるって言えよい。」


「…こんな時までクロなんだね。」


「あ?」


「もう!…でも、愛してる、よ?」



暗闇でも解るくらい真っ赤になったクロはますますニヤリと笑う。
明日の仕事は辛くなりそうだなぁなんて
思ってはみたものの、そんな余裕も段々なくなっていった。




明日、もしタイミングが合えば
サッチさんに相談してみよう。
マルコが電話で言ってた事を。




「考え事する余裕があんのかよい?」


「ちっ違っ!」


「ホラ、愛してやるから集中しろい!」


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