君の光と僕の影 | ナノ

#26 溶影



伸ばした指が、その肌に吸いつくように触れて初めて触れる訳でもねぇのにヒドく胸が高鳴る。
さながら、十代の青さ。
抑制の利かない鼓動は、それに良く似て。

「優しく、して。」


「あぁ。…無理矢理は、しねぇよい。」


俺の言葉にはにかんだ#name#に静かに口付けを落とした。
できる限り優しく触れた胸部の膨らみに、僅かな身体の跳ねで#name#が反応する。


短く吐き出された吐息は既に熱を帯びて、俺の吐息と混ざり合う。



たったそれだけのことが腰骨の奥にある本能にズンと響き、疼く。
予想よりも遥かに深く、求めていた。
そんな自分に戸惑う。


「努力は…する。」


そうこぼした俺を一瞬不安げに見た#name#が言葉を発する前に、手の中にある柔らかな肉を口に含む。


「っぁ、…ハッ」


言葉は邪魔だった。
発された時点から形を持って、
綻んだり、制約を産む気がした。
肉の先端を口内で可能な方法の殆どを以て翻弄してやる。
息をあげながら#name#はそれによく耐えたと思う。


「強めが、好きかい。」


「そ、な…事なっ、っっ?!」


強く吸い上げてから僅かに歯をたてる事を#name#の体は好む様で、時間をかけて何度も繰り返す。
何日過ぎても、その感覚が#name#の中に残る様にしたかった。
だから丁寧に、執拗に啼かせる。



「ク、ロっ、っぁ、」



多分、先に進みたくて辛いんだろう。刺激を与える側の俺がこんなに高ぶっているのだから。


「そのカオ。たまんねぇよい。」


寝間着と下着に手をかけてその肢体を露わにさせながらワザとらしく言ってやる。
口を離してすぐさま、#name#の両脚を俺の肩口に引っ掛けて引き上げる。



「ク、クロッ、やだっ、」


恥ずかしいのだろう。顔を背けようとする


「ちゃんと、見てろ。」



口をつけた#name#の下肢は、十分に溢れていて高ぶりが増す。俺が#name#をそうさせているのだと、喜びと興奮が入り混じってこみ上げてくる。



尖らせた舌先を差し込み、這わせ、啜る。その度に声になっていない悲鳴があがり、#name#は大きく跳ねる。



好きだ。
いや、好きよりもっと。
全てが欲しい。
愛して、いる。


時間を忘れ、マルコさえ脳裏から外れ
ただ、ただ、貪る。
お前を、俺の中に残すように。




「ぁ、ハァッ!!クロ、ゃ、も…クロッ!!」



上目遣いの俺と、涙の溢れた#name#の視線が絡まる。
ふわっと一瞬だけ笑って、#name#が頂に達した。
体をしならせて跳ねる身体を見ただけで、こっちまでイきそうだった。



「すげぇ破壊力…。」



思わず呟いて肩口の脚をそっと降ろしてやり、腹と、胸元、そして首筋を幾度となく口付けてクタッとなったまま息を整える#name#を抱きしめて、耳元に小さくアイシテルと言った。



「あんまり、ゆっくりできねぇよい。お前、エロすぎだい。」



笑って抱き起こして、胡座をかいた俺の上に背を向けさせたままゆっくり座らせる。思いの外すんなりと、俺は#name#の中に納まった。



「ンンッ…!ぁ、ハッ、クロ。」


「きっついよい。…すげぇ、いい。」



項から肩口、肩甲骨、背骨。
撫でながら、一つ一つに吸いつく。
そのたびに、#name#が俺を締め上げて、たまらなくなって胸元を激しく掴み、首筋を甘く噛んでしまう。



「っ!ぅあ…っ、#name#!ぁあっクッ!!!」



動きもせず、達するなんて初めてで
吠えるように#name#を呼んで吐き出す。



それでも足りないと主張する俺の下肢に促されるまま、抱き合い、うつ伏せ、向かい合って座らせて、何度も何度も突き上げては吐き出した。


こんなに幸せな情事を、俺は知らない。



風呂に入り直す気力も残さず、
俺達は、抱きしめあって
深く眠りに堕ちた。

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