マルコ社会人編 | ナノ

#07 神に感謝



マルコside



偶然#name#に会えたあの日。オレは本気で神様とやらを信じちまった。
彼女を即採用するように根回しをし、次に会えるのは約半年後かと溜め息ばかり吐いていた矢先の事だったからだ。

入社も決まった事だしそろそろ正体を教えなくてはと、話すタイミングを図るも何に興奮しているのか分からないが彼女の口は止まらず、口を挟む暇がない。

そうこうしている間に、緊急の電話が入り社に戻らなくてはならなくなったオレは、このままではいけないと入社前にもう一度会える様にアドレスを渡した。
そうしてこの時は、もやりとした気持ちのまま彼女と別れたのだ。

それから彼女の入社日一週間前。この日は思わぬトラブルに巻き込まれ、後処理に朝から休む暇もなく動いていた。

一段落着いた頃には既に時計の針は天辺を指していて、会社の自室で大きな溜め息を吐きながら、ふと、プライベート専用の携帯を手に取った。

すると不在を知らせる点滅に気付く。知らない番号に首を傾げるが、一応掛け直そうとボタンを押した。
電話を掛けるにはかなり不謹慎な時間だが、向こうから掛けてきた上に、緊急の用事かもしれないと相手の応答を待っていると、それは待ち望んだ彼女の声だった。

高鳴る気持ちを抑え遅くにすまないと侘びを入れれば、オレの声が聞けて嬉しいと言う彼女。
今日の疲れが一気に吹き飛び体が軽くなるのを感じながらも、彼女の話し方から酔っていると気付きどんどん眉間に皺が寄っていく。

こんな時間に、しかも外で酔っ払っている彼女を堪らなく心配になったオレは、居場所を聞き出す。

しかし自分の居場所まで分からない彼女に更に心配が押し寄せてきた処で、連れの友達が代わりに説明に入ってくれた。
しっかりしている友人が居た事に安堵の溜め息を吐きながらも、彼女を迎えに行く為に急いで車へ向う。


以外と近い場所で飲んでいた彼女達を車に乗せ、先に友人を下ろしヘラヘラと笑みを浮かべている#name#に飲み過ぎだと注意するも、更に笑みを浮かべ反省の色はない。


そんな危なっかしい彼女を、このまま帰してしまうのは堪らなく名残惜しい。
そう感じながら帰したくなくなると思ったまま口にした。
そんな言葉に、誘っているのかとまたもやヘラヘラと笑っている彼女だが、その目は、酔いが加担してかなり魅惑的な色を放っている。

これは期待してもいいのかと、これからどうするか選択権を与えてみれば、期待を裏切らない返答に思わず声がどもっちまった。

酔っている彼女に少々罪悪感に襲われるも、子供じゃねぇんだ。と、無理矢理自分を納得させホテルへ連れ込んだ。
ふらつく彼女を支えながら、どさりとベットに寝かせ覆いかぶさる。

「ほんとにいいのかい?」

酔っている奴はころころと思考が変わるものだと、一応、最終確認をする。

「ん、いい…ですよ」

その言葉を聞き、ゆっくりと#name#の唇を塞ぐ。舌を絡めながら服に手を掛け、やんわりと胸を揉みあげれば快楽混じりな吐息が漏れ出す。

こんなに早く彼女と体を交える事になるとは正直夢にも思わなかったが、これもオレと#name#の運命なんだと、素直にこの時を堪能する事にした。

酔っている所為か、#name#はかなり大胆だった。素面の時はどうなのか、多少気にはなるが、素直に愛撫に感じている彼女に愛しさが込み上げる。
たっぷりと反応を楽しんだ後、彼女を抱き締めながら腰を全て沈めた処で、彼女の口から出た言葉に一気に嫉妬感に襲われた。

「ぁっ…マルコさんの、おっきい…」

一体誰と比べてやがる。その言葉にグィっと彼女の足を持ち上げ一気に突き上げた。

「あっ… マ、ルコさ、ん」

「悪い子だねい、誰と比べてるんだい?」

激しく彼女を突き上げながらそう問いただす。

「んっ! 比べ…てないっ」

余裕なく口にする#name#に、この歳だ。まぁ、初めてではないかと納得しながらもやはり面白くはない。

「#name#…妬けるよいっ」

「ぁっ!! んっ…マ、ルコさん…」

「クッ…」

そんな心の内を吐露したと同時に果てたオレは、行為が終わり直ぐに眠りに就いてしまった彼女の頬を撫でながら、きっと起きたら覚えてないなどと思うのだろうなと一人溜め息を吐きそれでも彼女と結ばれた事実に喜びを感じ、眠る#name#に触れるだけの口付けを落とした。

さぁ、目が覚めたらどんな顔をするのかと少し楽しみになりながらも、そんな彼女の寝顔を見詰め、偶然の出会い、そしてまさかのこの展開。こうなったのも神様のお陰かもしれないとかなりの感謝をした処で、密かに神棚を買おうと思っていたのだった。






2011/07/30

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