マルコ社会人編 | ナノ
#24 愛しい不意打
あれから一悶着あった後、それ所ではないと、突如現れたマルコさんも含め再び仕事を再開させた私達。
しかし、中々これだと納得する物が作れず、気付けば時計の針は天辺を二つと少し過ぎていた。
「あー!オレもう限界!腹も減ったし眠いしよぉ!」
「腹はいつも減ってるだろい……っ」
「ハハッ。お前らまだまだだなぁ?オレはまだまだ平気だ!なんせ若いからな」
「あ?オレとタメだろい!立派なおっさんだよい」
「フンッ。欠伸を我慢して、間抜けな面してる奴に言われたくないな」
「あん?なんだって?」
「おっ?やるか?」
「もう!お二人共止めてください!」
「「ぅっ…」」
「ほら、エースは何か買ってきて?シャンクスさんはこれ確認して下さい!マルコさんは……寝てください」
「なっ!?何でオレだけ寝させるんだい?」
「だって…明日会議ですよね?もう休まないと大変な事になります」
「…大丈夫だい。オレより#name#の方が心配だよい」
「わ、私は大丈夫ですよ!わ、若いですから!」
「…#name#。お前まで…」
「きっ、きしょく悪!!マルコ…何だお前?どうしちまったんだ?」
「あ゙?黙れてめぇ…」
「だってお前、ハハッ。あー悪かった悪かった。よいしょっと、行こうかエース?」
「え?シャンクスさんどこ行くんですか?」
「腹減ったろ?何か買ってくるよ」
「あ、すみません。私も」
「いいよいいよ!#name#はそのおっさんを寝かし付けてやってくれ」
「シャンクス…てめぇ」
「おっと!じゃ行ってくるよ」
「はい、気を付けて!」
マルコさんとシャンクスさんが再び悶着を起こしそうになったのを何とか沈め、一息付こうと買出しに出掛けた二人。
少し何かを察したような様子のシャンクスさんが気になったが、彼と二人きりになれるのは正直嬉しかった。
しかし、本気でそろそろ寝てもらうか帰ってもらうかしないと明日に響いてしまう。
「マルコさん、本気でもう休むか帰るかしてください」
「あ?大丈夫だって言っただろい」
「ダメですよ!明日居眠りなんてしたら大変です!」
「大丈夫だい」
「もう!頑固なんだから……それじゃぁ…」
「うぉっ!?」
「本気で少しでも寝てください!お願いします」
「…わかったよい」
少し恥ずかしかったが、頑なに休もうとしない彼にはこれしかないと私は膝枕作戦にでる。これで寝てくれたらいいのだけどと思いながらも眠りを促す様に彼の頭を優しく撫でた。
「おやすみなさい」
「……」
無言のまま少し睨まれたが、くるりと私のお腹に鼻をくっ付けるように寝返りを打った彼はおとなしく目を瞑る。
「ふふ。寒くないですか?」
「あぁ。…#name#」
「はい」
「悪いな。きつい仕事させてよい」
「いいえ。私がもっとやり手だったらこんなに手こずらない筈ですから」
「そんな事ねぇよい。#name#は十分過ぎるほどやってるよい」
「へへ、ありがとう御座います」
「…。休みも全くやれなくてほんとすまねぇ」
「大丈夫ですよ。若いですから」
「……。これが終わったらたっぷり休暇取れよい」
「ん?いりませんよ」
「いや、ダメだよい。何ヶ月休んでないと思ってるんだい?」
「それはマルコさんもでしょ?ほら、もう寝てください」
私のお腹に顔をくっ付けている為少しくぐもった声で話す彼は、私の言葉が終わるや否や両腕を腰に巻き付けてきた。
そんな様子がとても可愛く、そしてとても愛しく感じてしまった私は、申し訳なさ半分。嬉しさ半分の気持ちを抱いて撫で続ける。
正直な所、体はきつい。でも気持ちは全く平気だった。
彼の隣に胸を張って居られるように。
そして自分に自信を付ける為に。私はここで弱音を吐く訳にはいかない。
それから彼が黙って数分。寝たのかと思いきや、いきなりむくりと起き上がった彼は、無言で触れるだけのキスをして再び膝に納まった。
あまりにも突然の出来事に、私は唖然と彼を見つめる。
そんな視線を感じたのか腕の力を少し強めた彼は、消え入りそうな声で一言。
「おやすみ」と告げ再び顔を埋めてきた。
そんな彼の不意打ちを食らった私は、熱が集まる頬を冷ますように両手で覆いながら、目を瞑ったままの彼に、小さく愛しさを込めて「おやすみなさい」を返したのだった。
「ただいまーって本気で寝たのか?」
「ふふ。はい」
「おうおう、膝枕かよっ!」
「エース声大きいよ!」
「しかし…これは…よし!カメラカメラ…」
「え?ダメですよ!写真なんか撮っちゃ」
「何を言う#name#!いい脅迫ネタになる!」
「……尚更ダメです」