リクエスト キリ番 | ナノ

50000hit感謝小説


『あのドレス綺麗だったね…』
『そうね。でも次にウェディングドレスに一番近いのは#name#なんじゃない?』
『私は…一番遠いと思うよ』
『え?だって彼が居るの#name#だけじゃない?』
『彼…ねぇ。』


友人の結婚式の帰り道。自ずと出てくる次なる花嫁候補話。
確かに周りの中で彼が居るのは私だけだ。私だって結婚したい。それに普通ならそろそろ結婚の"け"の字が見え隠れしても可笑しくはない。
そう。普通ならばの話だ。

彼とは大学を卒業する間際から付き合いだして、今年でもう五年になる。

彼の事は嫌いじゃない。しかし五年も付き合うと、好きだ惚れたの関係はとっくに通過済みで、今ではお約束の情と言う想いだけで繋がっている。

このまま彼と、結婚してもいいと言う気持ちがない訳じゃない。
この五年で作り上げてきた気兼ねなく過せる空気、極限まで下げる事が出来た羞恥心。もう語るネタが見付からない過去。

楽と言えば楽だろう。
また一から恋愛をするのは面倒な上に自信がない。

でもやはり、女としてはこれから先の安定した生活を望んでしまう。
最低でも、今より生活レベルを下げたくはない。

そんな私を踏み切れない気持ちにさせる原因は、勿論彼にある。

未だに定職にもつかず、バイトをすれば長続きせず、ギャンブルで生計を立てている謂わばダメ男だ。

そんな男に私の人生預けるにはそれなりの覚悟がいるだろう。
しかし、このままずるずると付き合っていても、私の婚期は遅れるばかり。それ所か幸せまで逃げて行きそうだ。


そんな事を考え出していた矢先、不意に訪れた決断の時。
浮気はしているだろうとは勘づいていたが、いざ目の当たりにするとやはり見過ごす訳にはいかない。

意外とあっさり別れたと思う。いままでの五年間がまるで嘘の様だった。
五年共に居ようが、十年共に居ようが、男と女の愛情は時間で比例するものではないのだと思い知らされる。

しかし日常に変化が起きるのは仕方がない。今までのサイクルがガラリと変わった事に、私は対応出来ずにいた。


『今日飲みに行かない?』
『今日?いいわよ。鬱憤溜まってんでしょ?』
『当たりー!とことん飲むよ今夜は』

そう。とことん酔って、この煮え切らない想いを帳消しにした後、見えない明日へ繋ぐ勇気を持ちたい。
そんな私は、勝手知ったる数少ない友人を誘い夜の街へと繰り出したのだ。


『もう飲み過ぎよ!そろそろ帰りましょう?』
『いやいやっ!まだ意識があるもん!!』
『否、無くなったら困るんですけど?』
『後一軒!付き合ってくださいオネガイシマス』
『はぁ…仕方が っ!!あぶない!!』


自分ではかなり飲んだつもりだったが、幾ら飲んでも心のもやもやは晴れなかった。
帰りたがる友人を無理矢理引き留め、次の店へと向かおうとした矢先、私は前方不注意事故を起こしてしまう。


『あーもう、すみません…ってマルコ先輩じゃないですか!?』
『あー、偶然だねい。じゃぁ…そっちの地面にへばり付いているのは#name#かい?』
『はい。もうへべれけなのに、まだ飲み足りないって聞かなくて…』
『んー!!痛ったい!何!?誰!?』
『もうあんたは…ほら、マルコ先輩!分かる?』
『え…マルコ…先輩!!』
『ぐぇっ!!』

幸いにもぶつかった相手は、高校から大学まで一緒だった先輩だった。
このマルコ先輩。とても面倒見がよく、つい最近も皆で飲みに行った店で奢ってもらったばかりだ。

『先輩も一緒に飲みましょうよー!』
『…いや、遠慮しとくよい』
『ダメダメだめですよ!!私離しませんからね!』
『…。おい、どうにかしてくれよい』
『えーっと、後は任せました!!じゃ!』
『は?お、おいっ!?』


それから友人に見捨てられた私は、本日の保護者が交代し偶然出逢った彼と飲み直す事になった。

『へぇー、五年も付き合ってかい?』
『関係ないですよ、五年だろうと別れる時は別れるんです』
『そうだねい』
『マルコ先輩もまだ結婚してないですよね?』
『あぁ。まだ予定はないよい』
『えー、あんなにとっ替えひっ替えしてたのに?』
『…お前。変な言い方するんじゃねぇよい』

このマルコ先輩。私の記憶ではいつも隣に美人な女性を引き連れていたと思う。
そして見る度にその女性は変わっていた事も。

『いいなー。マルコ先輩だったら選び放題ですね』
『…そんな事ねぇよい』
『えー?謙遜ですか?いいですよ、私にそんなの使わなくて』
『謙遜でも自尊でもねぇ。オレに寄ってくる女はみんな尻の軽いやつばっかだからねい』
『尻の軽い…でもそういうのが好みなんでしょ?』
『ばか言うない。全く違うよい』
『ふーん。じゃぁ今は?彼女いるんですか?』
『…残念ながら居ないねい』

そんな彼の素行話とお互いの結婚への理想相手話を酒のつまみに、私達は夜遅くまで語り明かしたが、何故か頭はクリアになるばかりだった。

そう言えば、こんなにじっくりと話した事なんか無かった事に気付く。
無口な印象があった彼だが、話してみるととても滑舌で、そして彼の語る話は私の理想の結婚相手だった。

『なんかマルコ先輩って、実はイイ男だったんですね』
『失礼な言い方だねい。一体オレを何だと思ってたんだい?』
『ん?ご飯奢ってくれたり、カラオケ奢ってくれたり、ご飯奢ってくれたり』
『おい、オレはお前のメッシー君かよい』
『だって、こんなに話した事なかったじゃないですか?』
『まぁ、それもそうだねい』
『でしょー?でも結婚するならマルコ先輩みたいな人にしよ』
『みたいって…オレじゃダメなのかい?』
『ぇ……ダメですね』
『…何で?』
『だって…先輩モテるから、私嫉妬の亡者になりそうですもん』
『ハハッ、なんだいそりゃ』

今まで彼を恋愛対象として見た事はなかった。
どうもモテる男は苦手だ。しかしこうじっくりと話してみると、私の思っていた彼への人物像が全く違っていた事に気付く。

真面目でしっかりと芯があり、そしてなにより私が今一番欲している安定性を兼ね備えていた。
彼と結婚する人は必ず幸せになれると確信する。

『マルコ先輩と結婚する人は幸せになれるでしょうね』
『ん?どうしてだい?』
『何となくですけど…絶対そう思います』
『ククッ。そうかい』
『はい!私のお墨付きです!』
『じゃぁ、オレと結婚するかい?』
『っっ!?はい!?』
『したいんだろい?結婚』
『したいですけど、マルコ先輩はちょっと…』
『あ?聞き捨てならない言葉だねい』
『だって…ねぇ?』
『ったく、何がねぇ?だい。丁度いいじゃねぇか。お互い結婚相手に求めるもんはクリアしてんだろい?』
『え?マルコ先輩、私みたいなのが理想なんですか?』
『ククッ、パーフェクトじゃねぇが、そんなもん幾らでも修正出来るからねい』
『修正…私を調教するんですか!?』
『ククッ、調教か。あぁ。#name#が苦にならねぇ程度にな』
『マルコ先輩……お付き合いから始めましよう!』
『ハハッ。よろしく頼むよい』


そんな急展開な流れで、偶然再会した彼とまずは付き合う事になってしまった私。

確かにゼロから始める恋愛より、お互いの素性を知りつつ結婚を意識して付き合うのは、私にとって願ったりだった。
しかも相手は理想の結婚像だ。ダメだったら別れればいいと、そんな軽い気持ちで承諾したこの話。

しかし実際付き合ってみると、想像を遥かに越えてイイ男だった事に気付く。 そして私は気付けば彼の虜になっていた。

『ククッ、蓋を開ければ、意外と#name#は甘えん坊だったんだねい?』
『っっ!蓋を開けなくても甘えん坊でした』
『へぇー。今まで甘えられた事なかったがねい』
『それは…っ。これは私と付き合った人の特権なんです』
『ククッそうかい。じゃぁオレはついてるねい』
『ですね!』
『てめぇ…』
『フフ。でも先輩に逢えてほんとに良かったです』
『…あぁ。』
『幸せにしてくださいね?』
『っっ!当たり前だろい』


意外と近くに居た理想の結婚相手。
今まで全く意識していなかった相手でも、腹を割って話してみれば見えなかったものが顔を出す。

そうして人は少しずつ、過ぎた時間に記憶を塗り替えて過ごしていくのだろう。
そして新たなキャンパスに、彼と私で描いて行く未来が消えない事を祈って…






え?えーー(θжθ)!?
オシマイです。はい。
ほんとこれがギリギリの尺なんですよ(汗)
なのでこれ以上書くとページオーバーになってしまうのです(´Å`)(汗)
なので切りが良いとこで。こんな中途半端な終わり方で申し訳ないm(__)m
そして臭くて申し訳ないm(__)m

なにはともあれ50000hit有難う御座います
これも全て皆様のお時間を頂いた結果で御座います!
貴重なお時間、この駄文サイトに足をお運び頂いて誠に有難うございましたm(__)m

でゎ!これからもお暇な時に、陳腐な文章ですが(汗)皆様の時間潰しになればと思っております(´ω`)

それでは失礼します

2011/09/05 ノア







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