リクエスト キリ番 | ナノ

40000hit感謝小説


※長編などに出てくるマルコとは関係ありません(´∀`)





『っ……』

オレは、ズキリと痛む頭と喉の渇きに目が覚めた。
ゆっくりと起き上がり、片手で顔を覆いながら昨夜の記憶を呼び戻す。

確か、皆で夜の街に繰り出し浴びる様に酒を飲んだ事は覚えているが、途中から何をしたのか、その後どうやって帰ったのか、はたまたオレは何故裸なのか。

寝起きの覚醒しきれない頭で考えても何も見いだせないと、取り敢えず水を飲む為にベットから片足を下ろした刹那、ビクリと自分以外の気配に体がビクついた。

そろりとそちらに視線を向ければ、もぞもぞと寝返りを打つ裸の女が目に入る。

『…まじかよい』

全く身に覚えがないが、オレの部屋でお互い裸で寝ていたという事は…そう言う事なのだろう。
しかし、酔った勢いで女を連れ込むなんて初めてだ。ましてや自分の部屋に。

暫く女を見入ったが、知らない女だった。綺麗な顔はしていると思う。しいて言うならば好みのタイプだろう。
だが、こうなった経緯は幾ら考えても何も生まれず、喉の渇きも限界なオレは彼女をそのままにベットから抜け出した。

キッチンへ行き流し込む様に水を飲み、すっきりしない頭を冷やすべくシャワーでも浴びようと、解決すべき事は多々あったが風呂場へ向かう。
水に近いシャワーを頭から浴びながら、もう一度記憶を呼び戻す。

『……』

だめだ。何も思い出せねぇ。こうなったら昨夜共に飲んだ奴らに聞くしかないと結論を出し、雑に体を拭いた後、バスローブと纏い部屋へと向かった。

幸い、オレの住むこの部屋は2LDKで、寝ている彼女を気にする事なく行動できる。
リビングのソファーに腰掛けながら携帯を耳にあてた。暫くして応答した掠れた声の友人に、昨夜の事を問い質す。

『何だよ…朝っぱらから…』

『あー、悪いねい。昨日の事何だが…』

『…あー、昨日…おっそうだ!どうなった?昨日の女?』

『あー、あの女は誰だい?』

『誰って…マルコがナンパしてた女だろ?素性なんてオレが知るかよ』

『オレが…?ナンパ…?』

そこまで聞いて思考が停止した。オレがナンパなんて聞いた事ないぞ?だがない記憶で否定しても、事実を突きつけられては認めざる終えない。
その後も、どうなった?としつこく聞かれたが、曖昧な答えを出し電話を切った。

では今オレのベットで寝ている女は、昨日オレがナンパして連れ帰り抱いてしまったという事なのか…。しかし抱いた記憶なんて全くない。
彼女の顔を見れば少しは記憶が蘇るかもしれないと、冷蔵庫からもう一本ミネラルウォーターを取り出し寝室へ向かった。

中を伺えば未だすやすやと眠る女。その横に腰掛け顔に掛かっている髪をどかしてやる。

『思い出せないねい…』

女の顔をまじまじと見ても記憶の断片すら思い出せなかったが、ふと床に転がった数個の丸まったティッシュが事実を裏付けていた。

女を抱いたのに覚えてないなんて初めてだ。しかも一番の驚きはやはり自宅へ招き入れたという事。オレは素性も何もかも知っている女でさえ部屋へは入れない。
ではこの女が無理矢理入ってきたのか…?否、そんな事をする女をオレが抱く筈がない。

やはり消えた記憶の思考では何も解決策は出てこず、オレは考えるのを止めた。
そして再び女に目を移し、今度は目覚めを促すように頭や頬を撫でる。
張本人に聞くのが一番手っ取り早いからだ。

『ん…ン…?』

何度か撫でていると女が身じろいだ。眠たそうに瞼を開け、ごく自然な感じでオレの腰に腕を回してくる。

『おい…起きろよい』

『ぃや…だ…』

昨日初めて会ったとは思えない程しっくりとくる触れ合いに少し戸惑った。
未だオレの腰にしがみ付いている女の腕を優しく解き、その手をシーツに縫い付ける。

『も…ぅ…眠たい』

『…お前は誰だい?』

『………はっ?』

オレに押し倒される形の裸の女は、その言葉に酷く驚いた表情で口を開いた。

『誰って…あなたこそ誰よ?』

『あ?お前が誰だよい?それに、ここはオレの部屋だよい』

『知ってるよ…連れて来たのはあなたでしょ?』

『…じゃぁ、何で着いてきた?』

『!? 着いてきたんじゃないの!連れて来られたの!!』

『嘘付けっ』

『ちょっと…あ!覚えてないんでしょ?』

『……』

『最低ー。ん、取りあえず放してくれない?私、裸なんだけど』

そう不貞した彼女は、肌を隠す様に布団の中に滑り込み、目元だけを出し再び口を開いた。

『全く…覚えてないの?』

『…あぁ悪ぃ』

『…やっぱり最低』

それから風呂に入りたいと言う彼女の要望を叶えてやり、タオルとバスローブを貸してやった。風呂から上がり、まるで部屋の主かの様にリビングで寛ぐ姿に深い溜め息が出る。

『ところでよい、名前は?』

『#name#。あなたは?』

『…マルコだ』

『ふーん。あ、覚えてないんでしょ?一から説明してあげる』

オレの名乗りにたいして興味なさ気に相槌をうった#name#と言う女は、昨夜の事を説明しだした。
まず、酔ったオレにしつこく口説かれた事。どんなに嫌だと拒否しても聞かなかった事。そして極めつけはまるで拉致るかの様に抱えられここに連れ込まれ抱かれた事。
そこまで話した彼女は、冷静な眼差しでオレを見据えていた。

『ぅ…すまねぇ』

『犯罪よね、これ。私、拉致られて犯されたんだから。』

『犯罪…』

『…取りあえず、珈琲淹れてきて。インスタントは嫌。ドリップでね。後ミルクたっぷりで』

『…よい』

彼女の言う事が事実だとすれば、オレは下げる頭もない。犯罪だと罵られても仕方がない状況に素直に指示に従った。

『あ。ありがとう』

お望み通りドリップした珈琲を淹れてやり、隣に腰掛ける。

『あのよい、ほんとにすまねぇ』

『ん?あぁ、もういいよ。途中から私もその気になってたし』

『…そうかい』

『それより、私ここに住んでもいい?』

『は?』

『彼と別れたばっかりで、帰る家、ないんだよね』

『いや…いきなりお前…』

『いいよね?強姦魔さん?』

『……はぃ』

強姦魔と言われたらオレには拒否権なんてある筈もなく、不本意だが自分の行動に負い目を感じていたオレは、今日から彼女と暮らす事になってしまった。


それから最低限の決まり事を決め、オレ達の奇妙な共同生活が始まったのだ。
家賃や光熱費は勿論オレが払う。食費や雑費などは彼女も払うのだが、極力オレが出す様に心掛けていた。
何故ならあの日の負い目と、家事全般をしてもらっている手前、彼女に出させる訳にはいかなかったからだ。

そして初っ端から寝る時も一緒だった。他に布団がないというのもあったが、特に抵抗もなく共に寝ていた。しかし、オレは彼女に手を出す事はしない。それは彼女も同じで、そういう類の事には何故かお互い一線も二線も引いている感じがした。


そんな同棲生活を送って数ヶ月。特にトラブルもなく、いつの間にか彼女と居る事が当たり前のように感じてきた矢先、唐突に告げられた出て行くとゆう言葉。

『どうしたんだい?急に…』

『ん?あぁ、マルコのお陰で貯金も溜まったし、自分で部屋借りる事にしたの』

『そんな事しなくても、ここに居ればいいだろい』

『ふふ、そういう訳にもいかないでしょ?あの時は、弱音に付け込んんじゃったけど、やっぱりいつまでもここに居る訳にはいかないから』

『オレは構わないよい』

『ん、その言葉だけもらっとくね。』

『……』

彼女を引き止める決定的な言葉が見つからず、そうこうしている間に彼女は出て行ってしまった。
元の一人暮らしに戻った部屋で、なんとも言えない空虚感に襲われる。この数ヶ月で、こんなにも彼女と居る事が体に馴染んでいた事に改めて気付き、そして同時に生まれた彼女の大切さ。
負い目から、彼女に性的な行為は一切しないように心掛けていたが、今となっては後悔の嵐だ。
そんなオレに、彼女もまるで異性を感じさせない振る舞いをしていた。その結果がこれだ。

こんな事になるのならば無理矢理にでも抱けばよかったと、そして引き止めればよかったと、気付いた気持ちは止めどなく溢れてくる。


オレは車のキーを取り足早に部屋を飛び出した。行き先は勿論彼女のところだ。

車を走らせる事数十分。教えられていた住所に辿り着く。オレはこの気持ちを、そしてまた共に暮らそうと伝えるべく携帯を取り出し彼女を呼び出した。

いきなり呼び出された彼女は少し怪訝な表情で現れ、忘れ物でもあった?と問い質してくる。

『#name#、戻ってきてくれ』

『え?どうしたの急に』

『オレは…オレはお前の事が好きみたいだよい』

『ぇ…、みたいってなに?』

『は?あぁ、いや、好きだよい』

『…そっか』

『そっか…?あ、あのよい、何だい、その返答は?』

『え、あぁ、ごめん。うん、でも何で今?あー、分かった!居なくなって気付いたパターン?』

『…言い回しが腹立つよい。だがご名答だい』

『ふふ、マルコって分かりやすいもんね』

『…で?返事は?』

『ん?今更言われてもねぇーって気持ちは大いにありますが、その気持ち、しかと受け止めましょう』

『それは…その、OKって事でいいのかい?』

『もう、そうだって言ってるでしょ!?』



その後彼女に聞いた話によると、いつまで経っても異性として見てくれないオレに迷惑に思っているに違いないと思い、貯金が溜まったと同時に部屋を出た事。半分脅して住んでいる事にすごく申し訳なさがあった事など、溜まっていた想いを吐露してくれた。

それはそうだなと、オレはあの日の負い目から、彼女は脅した負い目から、お互い心の内を晒せずに過ごしていたんだなと。これからは包み隠さず何でも話そうと約束をし、あの日ナンパした事も、自宅に招き入れた事も、まるでこうなる事が初めから分かっていたかの様に思えたオレは、彼女を強く抱き締め誓うように口付けた。


そうして不本意な始まりから入ったオレ達の関係は、やっと落ち着く場所へと身を置く事ができ、これから同居人としてではなく、恋人と言う関係になって幸せな毎日を送ることになったのだった。







チャンチャン。はい…おしまいです(θжθ)
もっとディテールを書きたかったんですが、尺がなくって(汗)
なので、いきなり飛んだな、話!みたいな事になって申し訳ありませんm(__)m

そして40000hitありがとうございましたm(__)m

これからも駄文サイトではありますが温かく見守っていただければ嬉しく思います(´ω`)

それでゎ!皆様!本当にありがとうございましたm(__)m



20011/08/28 ノア







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