先生ver vol<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63880.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#64 難題解決法




「おい、起きろよい…」

「……」

「#name#。何時だと思ってんだい?」

「………」

「遅刻するよいっ!」

「わっ!?ふっ、布団泥棒ー!!」

「…アホな事言ってねぇで起きろぃ」

「……む」

「てめぇ…返事は?」

「……はーい」


ここ最近いきなり気温が下がり着々と冬仕様になりつつある気候の所為で、この芋虫の様に布団を身に纏いいつまで経っても起きてこない彼女を起こすのが…最近オレの日課になっていた。

気持ちは分かるよい。布団と友達になる気持ちは十分分かってやれる。
しかしやるべき事はちきんとしろい!
布団から出れなくて遅刻しましたなんて言う気かい?
そんな事したらオレがビスタの奴に殴られかねない。
それでもなんだかんだ言ってオレは#name#に甘い。言うならば激甘だ。

「ほら、飯作ってやったよい。食え」

「ぅわぁ…何ですかこれ…痛っ!」

「文句があるなら早く起きて#name#が作れよい!」

「ひっ、怖!た、食べますよ、わぁー美味しそういただきます!」

「チッ」


舌打ちを打ちながらもやれやれと溜息だけで流す。
しかし毎朝毎朝…まさか冬場はずっとこんな感じの生活が繰り返されるのか!?
全く、どうにかならないものか…

「おい、明日オレより遅く起きたら…どうなるかわかってんだろうねい?」

「無理です」

「無理ですじゃねぇ…あー、まともな朝飯が食いてぇよい。実家にでも帰ろうかねい」

「なっ!?そんなっ!!」

「フッ…なら気合い入れて起き」

「私も行きます!」

「は?」

「行きましょう!マルの実家」

「いや…冗談だ」

「は!?なんですか…もう」

「…とにかくだ。明日からちゃんと起きろよい」

「…」


オレの冗談が気に食わないとでも言うように無言で終わった会話。
まぁ…実家に行ってもいいが…いや、ダメだ。#name#が寒くて起きれないから冬の間はお世話になりますとでも言えってかい?そんなアホな事オレの口から言わすなよい…


そうして未だ不服そうな彼女を車に乗せ学校へと向かった。
車の中でもぶつぶつを文句を言っている辺り、これは当分続きそうだなと頭を抱えながら何か対策はないかとオレは朝からフル思考で考える。

だが昼になっても終業のチャイムが鳴ってもいい案は浮かばず、なぜ彼女は眠りに携る事柄にはこうもオレの頭を悩ますのかと深い溜め息がでた。
寝相に至っても未だ解決されていない。
もう冬場は仕方ない事なのだと諦めるか?
本日何度目かわからない溜息に苦笑いが出ながらも、振動する携帯を開き頬が緩んだ。

「今日は鍋か…」

こうして毎日くる献立メール。こう言う何気ない行動が可愛くて堪らない。
そしてつい甘やかしてしまうオレもオレだが…。

今日一日中頭を悩ませた問題など片隅に追いやって、無性に愛しく感じる彼女の待つ我が家へと急いだ。

扉を開けた瞬間漂ってくる夕食の香りと小走りに笑顔で出迎える#name#を見て、朝寝坊くらいいいかと片隅から完全に消し去った問題。

そうして#name#の温もりを肌で感じながら幸せな気持ちで眠りに就く。

いいんだ。寝相が悪かろうが朝寝坊しようが、この猫みてぇにオレにすり寄り寝息を立てている#name#の寝顔を見りゃそんなもんどうでもよくなっちまう。



そうして迎えた翌朝…

「……やっぱり起きやしねぇ。#name#、朝だよい」

「……」

「はぁ…朝だって…言ってるだ、ろいっ!」

「あっ!布団!」

「ほれ、起きろい」

「うるさいっ!ハゲ!」

「……は?」

「布団布団…あぁ…温かい」

「…………#name#」

「………」

「………#name#」

「……なんでしょう?」

「…ハゲって…言ったよねい?」

「……言ってませんよ?」

「うんや。確かに言ったよい」

「空耳ですよ…ね?」

「てめぇ…」

「きゃーーー!!!」


途中からオレの怒りを含んだ威圧感に気付いた彼女は、何気なしに口にした言葉だろうが…許す訳にはいかないオレは泣きながら謝る#name#の声が変わるまで擽り続けてやった。

そうか!この手があったよい!
彼女を起こすには擽ればいいのだ。
その日からオレは、毎朝格闘さながら逃げ惑う#name#を擽り続けたのだった。


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