先生ver vol<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63880.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#54 車の腹いせ




僅かな光が閉じている瞼を通し差し込んできて、私の意識はどんどんと浮上していった。
もぞもぞと体を動かし、隣で寝ている愛しい存在に擦り寄って行く。

彼の温もりに安心したのもつかの間、半分覚醒した頭でいつもと違う空気と匂いに少し戸惑う。
そう。ここは彼の実家。つい最近まで彼が過ごしていた部屋だからだ。

未だ目覚めていない彼に包まれながら、目線だけで部屋の中を見渡した。
暫く使っていなかったこの部屋は少し生活感に欠けていて、やたら本が多い所が小さな図書館の様にも見えなくはない。

そんな部屋への感想を今や無意識としか言いようがない彼の息子を握り締めながら考えていた。

しかし、これは何なのだろう。朝っぱらからどうしてこんなに元気なのだろうか…

彼は皆そうだと言っていたが、他の人なんて見た事がないのだから信憑性がいまいちない。形をなぞる様に指を這わせていると、うっっと小さく言葉を洩らしピクリと跳ねる彼。

うん。かわいい。 随分と年上な彼なのだが、たまに見せるこう言う仕草が堪らなく好きだったりする。

そんな彼をもっと見たくなった私は、下着の中にゆっくりと手を忍ばせ、直に彼の無駄に元気な息子を上下に扱き始めてみた。

勿論こんな事をすれば彼も目覚める訳で、薄く開かれた彼の目はまるで何をしているんだと言わんばかりの眼差しで見詰めてくる。


「おはようございますっ」

「おはようじゃねぇよい…止めろって、何度、言ったら、分かるんだい?」

そう途切れ途切れに言葉を繋ぎながら、私の手をどけようと苦戦している彼に、

「マル… ね?」

朝っぱらから甘い声でおねだりをしてみた。余程の事情がない限り、彼は私からのお誘いを断った事はない。そして今回も仕方ないと溜め息を吐きながら私を組み敷いてくる。

「朝から厭らしい子だねい」

「ん、だってマルが元気になってるから…」

「はぁ…まったく」

そうして彼の唇があと少しで触れるという瞬間…

「おっはよーう!!#name#ちゃん!!」

「っ…!?」

「はぁ……。ハルタ…ノックくらいしろよい」

「したよ!小さく。それより朝から#name#ちゃん襲うの止めてよね」

「襲ってねぇよい…」

「ほら!#name#ちゃん朝ご飯食べに行こうか!?」

「ぇ…あ、はい…」

業としか言い様がないハルタさんのこの行為に、私達は組み敷いた体制のまま、ただ唖然とするしかなかった。
そんないつまでも呆けている私から、盛大な溜め息を吐きながら彼が体制を起こし、直ぐに行くからとハルタさんを追い返す。

「#name#…」

「はい…」

「ここに居る間は…恐らく…否、間違いなくエッチは出来ないだろうよい」

「えーーー!?い、イヤですよ!」

「仕方ねぇ…これがハルタの陰謀だい」

「ハルタさん…何の恨みがあって…」

「そりゃ、車の恨みだろい」

「あ…成る程です」

そんな、車への恨みをこんな地味なやり方で仕返しをしてくるハルタさんに、少し、少しだけうんざりとしながらも、彼と共に朝食をとりにダイニングへと向かった。

「おはようございます」

《《おはよう》》

「いやぁ、いいな。朝から女子高生とご飯なんてよ」

「#name#を厭らしい目で見るな。妹なんだからな。」

「厭らしくなんて見てねぇよ、失礼な。ささ、#name#ちゃんもマルコも飯食おうぜ」

「あぁ、#name#座れい」

「はい」

兄弟は多いと知ってはいたが、朝からこの人数。正直修学旅行かなにかの様だ。
それでも和気あいあいと楽しそうに食事をとっている彼らを見て、これが彼が育った環境かと思うと自然と頬が緩んでいった。

「あ、#name#ちゃん学校が遠くなったでしょ?僕、帰り迎えにいくよ」

「ぇ…えっと」

そんなハルタさんの提案に、直ぐには返事を出来ずに彼に視線を持っていく。

「あぁ、行きはオレが送るが、帰りは無理な時もあるからねい。そうしてもらえよい」

「はい。ではハルタさんお願いしますね!」

「うん、終わる時間連絡してよ」

「わかりました!」

そんな親切なハルタさんの提案に乗った私達は、この行動も、着々と二人の時間を削る作戦だとは気付かずにおかずの擦り付け合いをしていたのだった。


「好き嫌いするなよい!食え!!」

「あー、だって朝から納豆は…む、無理です」

「朝じゃなくても食わねぇだろぃ…。あっ!!オレの茶碗に入れるなよい!!」

「わー、手が滑りました! えへへ」

「楽しそうだな…お前らよぉ…」


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -