先生ver vol<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63880.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#48 不必要な必要性




「マルマル! 起きてください」

「…」

「マルマルマル!朝ですよ」

「……」

「マルマルマルマルマールー!!」

「うるせぇーよい!!」


私の愛のこもった起こし方に、朝から盛大な罵声を浴びせる愛しの彼。
愛情の裏返しなのは知っているが…
”黙れくそがき”は頂けない。

「”くそがき”って酷いですよ」

「あ?言葉の文だよい。新聞」

「はい、どうぞ。文って…それでも普段思ってないとでませんよ!あんな言葉!!」

「…おぉ!この味噌汁美味いねい」

「え?ほんとですか!? そのお味噌、サッチさんに貰ったんですよ」

「へぇ…いつ会ったんだい?サッチに」

「ん?一昨日。家に来たんですよ、味噌持って」

「味噌持って…よく来るのかい?」

「んー、三回目ですかね。あ、前回は食べるラー油でした!でも、マルは居ないって言ったら直ぐ帰りますよ?」

「…そうかい」

「はい。あ、話し逸らしましたね」

「ん?あぁそろそろ時間だよい」

「もう!あ、待ってくださいよ!」

そんな彼との甘い生活を送りながら、今日も学校の手前で車を降りる。

「じゃぁ、お仕事頑張ってくださいね」

「あぁ。#name#は寝るんじゃねぇよい」

「寝ませんよ…じゃ!」

彼との生活はとても楽しい。彼の為に作る料理も、綺麗な部屋で迎える為の掃除も、いつも清潔な物を身に着けさせたい為の洗濯も。彼の為にする事全てが幸せに感じる。
こんな気持ちのまま、いずれは子供を作って、温かな家庭を築けたらそれはもう、幸せだろう。

そして、私達に課せられた唯一の決まり事といえば、連絡必須くらいだ。
それさえ守れば、後は特に自由。彼との暮らしは順調そのものだ。

この甘い生活が、いつまでも続けばいいなと思っていた矢先、それは意図も簡単に崩れてしまった。
そう、彼があんな事を言い出してから…


あの日、彼は親父様に呼ばれたと実家に帰っていたので、特にする事もなかった私は、彼に買ってもらったゲームを堪能していた。
そうして、暫くして帰ってきた彼はただいまの挨拶も無しに妙な行動に出た。

「#name#」

「あ、お帰りなさい」

「宿題終わったのかい?」

「え?宿題なんてありませんもん」

「予習復習は?」

「ちょっと、今ゲームしてるんです!あ、一緒にしたいんですか?」

「違うよい。ほら、勉強するぞい」

「は?あ!!なんで消すんですか!?」

「いいから、来いよい」

それから、何故か大量の課題をさせられ、文句を言おうものなら鋭い目付きで威嚇されとそんな日々が数日続いたある日。

「もう!何なんですか?だいたい、私成績優秀なんですよ?こんな勉強しなくても…」

「#name#には、この大学に行ってもらうよい」

「はい?…ここなら今の成績でも十分い」

「トップでだい」

「トップで!?そんな必要…」

「親父との約束なんだよい。いいから勉強しろい」

どうやら彼は、私の成績が落ちることなくそして有名大学にトップで入学する事を条件に、この結婚の了承を得たのだと。
しかもトップ入学は先日後付けされたらしい。

「ちょっと待ってくださいよ!成績が落ちないようには分かります。でもトップって、何の意味があるんですか?」

「知らねぇよい…そう言うんだから、仕方ないだろい」

「もう!そこはビシッと言ってくださいよ!これじゃ勉強ばっかり…」

「…すまねぇ。わかった。トップ入学の件は交渉してみるよい」

「ほんとに?頑張ってくださいよ!?」

「あぁ。期待はするなよい」

「…しますよ、期待」


そうして数日後、

「すまねぇ#name#。死ぬ気で頑張れぃ」

「…ヘタレめ」

「あ?何か言ったかい?」

「いいえ、死なない程度に頑張りますよ」

「…頼んだよい」

「他力本願…」

「ちゃんと付き合ってるだろぃ。文句言うない」


そうして私と彼の甘い生活は…寝ても覚めても日々勉強と化してしまったのだった。



「もう嫌だーーーー!!」

「#name#…頼んだよい」




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