マルコ先生ver
| ナノ
#07 健闘賞
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今日は待ちに待った結果発表の日。
私は朝から落ち着かない。そんな様子を見て
「もう、落ち着きなさいよ」
鬱陶しいと。この日をどんなに待ちわびていたか、彼女にとことん説明してあげようとした処で、
「よーし、全国模試の結果を配るぞ」
担任のビスタ先生のお出ましだ。
一人一人名前を呼ぶ声に耳を澄ませながら久々の緊張感に息をするのも忘れそうだ。
「#name#!よく頑張ったな」
凄いじゃないかとにこやかに言いながら渡された紙。
凄い・・・そんな期待を膨らます言葉に煩いくらいに早鈴が鳴る。
渡された紙を息を飲み込み捲れば――
「・・・・・・・」
「ねぇ、どうだった?」
弾むように隣ではしゃぐナミの声が遠くで聞える。
私はその言葉には答えずにそのまま屋上へ向かった。
嘘だ。もう一度、紙を食い入るように見つめてみた。
「あーぁ・・・」
そんな言葉とともに、ゴロンと寝転がり、あんなに勉強したのになと努力を懐かしんだ。
これはいじけるどころじゃ済みそうにない。
マルコ先生に会い辛いな、彼のどや顔が目に浮かぶ。
「はぁ・・・」
もう一度溜め息を吐いた所で人の気配を感じた。
「どうした?溜め息なんか付いて」
神出鬼没な彼の登場に、別にとだけ言ってそっぽを向く。
今は一人にして欲しい。
「オレの順位は聞かなくていいのか?」
まだ居たのかと思いながら、そう言えば賭けをしていた事を思い出した。
「・・・何位だったの?」
今はどうだっていい事だ。私はそっけなく聞いてやった。
「一位だ」
その言葉に、私は勢いよく起き上がる。
「一位?嘘だ」
だが、目の前に晒された紙には確かに一位の文字。
「すっご・・・」
当たり前だと言わんばかりの彼に、素直に凄いねと伝えた。
「忘れてねぇよな?付き合えよ」
「あ、そうだったね」
「次の日曜空けておけ」
「うん・・。わかった」
そう言えばそうだったなと、満足そうにニヤつく彼にブルリと身震いしながらも、アドレスの交換をした。
それにしても、凄いな・・・。
解答用紙を交換してもらえば良かったなど、意味不明な事まで考え出し更に深い溜息を吐いた。
そして放課後になり、行こうか迷ったがやはり報告は必要だと、重い足取りで彼の元へと足を向けた。
「し、失礼しまーす」
「・・・クク。浮かない顔だねい」
・・・。きっと彼は既に結果を知っている筈だ。
「マルコ先生・・・ダメでした」
「あぁ、でも良く頑張ったじゃねぇか」
そう。私の順位は、15位だった。
これでもかなり威張れる順位なのだが、約束は10位以内。意味がない。
「健闘賞なんかは…用意されてないんですか?」
それでも、ご褒美が欲しい私はダメ元で聞いてみる。
「・・・ほら。」
すっと差し出された四角い紙。
中を覗くと…
「これ!!いいんですか?」
「あぁ。頑張ってたからねい」
酷い隈まで作ってよいと、頭を撫でながらお疲れさんと言うマルコ先生。
「今世紀最大に嬉しいです!」
大好きですと咄嗟に抱き付き、嬉しい気持ちを精一杯伝える。
「でも、メールしても返事はしないよい」
めんどうだからと、冷たい事を言う彼だが全然かまわない。
初めから一方通行なのだから、メールの返事が来ないくらいどうって事ない。
「はい!構いませんよ」
「よし。じゃぁ早く離れろい」
そうして、無事マルコ先生のアドレスをGETできた私は、寝る前、起きてから、その日の出来事など、ブログの様に彼にメールを打つのであった。