マルコ先生ver
| ナノ
#05 助っ人登場
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私の戦いが始まった。
睡眠時間三時間。休憩、お昼休み、放課後。
みっちり勉強漬けの毎日だ。
「あんた・・・どうしたの?」
友人からの心配する言葉も今は気にしてられない。
残り、二週間。
三年分の知識を埋め込んでやる。
「ナミ、全国模試が終わるまでほっといて」
「あ…はいはい。」
そんな勉強漬け生活でも、放課後は少しだけマルコ先生の顔を見に行く。
しかし、長居はせずに"今日も大好きです"と一言伝えたら帰る事にしている。
こんな生活が一週間経った所で、思わぬ助っ人が登場した。
「随分入れ込んでるな」
「・・・」
この忙しい時に何だろうと、また下らない用事だろうと踏んだ私はチラリと彼を見た後直ぐに教科書へと視線を戻し、
「何か用ですか?主席くん」と、
邪魔です感たっぷりに聞いてみた。
「教えてやろうか?勉強」
「? いや、いいよ」
他人が加わるとペースが乱れてしまう。
必要ないと、彼に断りをいれた・・・が、
「あ、やっぱり教えて!」
そうだ。彼の方があたしよりも頭だけは良かったんだと思い出し、使えるものはとことん利用してやろうと企んだ。
「見返りは・・・」
「なっ!?無償じゃないの?じゃぁ遠慮します」
「冗談だ」
そんな彼の冗談を無表情で睨み返し、打算的な私は彼を利用させてもらう事にした。
「そこ、間違えてるぞ」
「え?だってこの公式で解くと・・・」
しかし彼を助っ人にしたのは大正解だった。
教え方も上手だし、絞込みの範囲も的確だ。
これなら、いけるかもしれないと自信まででてくる程だ。
「あー、後二日か・・・」
彼のお陰で問題集などは全て満点だ。
後は、出される問題に賭けるしかないと言う処まで終わっている。
「ねぇ、前回の模試は何位だったの?」
そう言えば聞くのを忘れていたと、彼に尋ねる。
「四位だ」
「・・・!!」
これまた凄い先生に教えてもらったなと、少し彼を尊敬の眼差しで見つめた。
「すごい人だったんだね・・見掛けによらず」
「一言多いな。それより・・・」
賭けをしないか?とニヒルな笑みを浮かべる彼に、そんな無謀な戦いはしない主義なので丁寧にお断りする。
「順位で競うんでしょ?お断りします」
「嫌、オレが一位になったら勝ちだ」
ん?じゃぁ、私は他力本願でいいと言う訳か・・・
「ちなみに何賭けるの?」
「お前の時間」
「は?意味が分かりません」
「・・・一日、オレに付き合え」
あぁ、成る程。もっとダイレクトに言ってくれたらいいのに。
「いいよ。そのくらい。で?一位になれなかったら?」
「お前の言う事何でも聞いてやる」
「ふぅーん」
「あぁ・・・楽しみだな」
一人楽しそうに浸っている彼を横目に、一位なんてそんな簡単に取れるものじゃないと内心嘲笑いながら、まぁ、負けても一日付き合えばいいなんて楽勝だと高をくくっていた。
そうして、試験当日。
私は問題を解きながらマルコ先生とのキスを想像し、一人にやけていたのだった。