マルコ先生ver
| ナノ
#04 彼との約束
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マルコ先生の元へ通いだして、もうすぐ一月経つ。
相変わらずそっけない態度なのだが、いつも来るからか、この間、
「明日は来てもいないよい」
会議があるからねいと、事前報告をもらったのだ。
これはかなりの進展ではないかと、その日は嬉しすぎてなかなか眠れなかった。
高校一年にして、やっと恋の"こ"の字を知った私は毎日が薔薇色だ。
マルコ先生の授業中は執拗に熱い視線を送りながら、デレデレと顔が緩んでしまう。
「#name#…顔がヤバイわよ」
何度も指摘されるが、そんな事は自分でも分かっている。
カッコよ過ぎる彼が悪い。
そんな胸の内を声を大にして言いたい所だが、今は愛しのマルコ先生の授業中。グッと我慢だ。
そんな幸せの一時が終わり、昼休み。
「ねぇ、マルコ先生のどこがいいの?」
かなり年上なんじゃない?と、全く彼の良さが分かってない友人は私を不思議ちゃん扱いだ。
「どこって…匂い?」
「はぁ?あんた変態だったのね…」
知らなかったわと、今度は変態扱いされる。
「匂いって大事なんだよ?」
匂いの合わない相手は、どう転んでも結ばれない。
これは科学的に証明されている事実だ。
「はいはい。まぁ、頑張って」
「言われなくても…頑張ってるよ」
少し言葉に詰まる。
だって、私の恋が叶う確率はゼロに等しい。
それでもこの気持ちは止まらない。
待ちに待った放課後到来に、今日こそはマルコ先生のアドレスを聞こうといつも以上に意気込み彼の元へ急いだ。
「先生っお邪魔します」
「…いつもいつも、感心するよい」
完全に私の放課後襲撃を諦めているマルコ先生は、今日はなんだい?と、教えてくれる気満々だ。
「はい!今日は…大好きなマルコ先生のアドレスが知りたいです」
「…」
「え…ダメですか?」
途端呆気に取られた表情の彼に今世紀最大の残念顔で尋ねてみた。
「はぁ…そうだねい」
残念顔が効いたのか少し考え出した彼に案外すんなり教えてくれるんだなと、
残念顔からすぐにデレ顔に変身した私は、次に出る彼の言葉に今度は私が絶句してしまう事になる。
「次の全国模試、トップ10に入ったら教えてやるよい」
「…!!!!」
そ、そんな…
なんて試練を与えるんだ…マルコ先生。
以前の順位は確か…400番台だったかな…
いくら私が頭だけは良いといっても、やはり上には上がいる。
だがしかし!ここで見事トップ10を勝ち取ればマルコ先生のアドレスが手に入る!
「その言葉…忘れないでくださいよ」
あ、後もう一つご褒美にキスして下さい。と、ダメ元で付け加えれば、
「はっ。いいよい」
無理だろうと鼻で笑った彼に嘘はダメですよと念を押し、私は急いで家へ帰った。
言ってみるものだ。
俄然やる気が出てきた。
絶対にキスしてもらおうじゃないか。
家に着き、机の前に"キス"
"アドレス"と書いた張り紙をし、私は気合いを入れた。
それから、半月後に控えた全国模試に向けて私の眠れぬ日々は始まったのだ。