マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#37 彼の信頼度



マルコ先生からの耳を疑う様な告白に、私は暫く呼吸さえも忘れてしまう程驚いた。

あまりにも真っ直ぐに見つめてくる彼に思わず目を反らす。

そして、ふと、ある疑問が頭を過った。

彼には彼女が居るじゃないか…

「…彼女は?別れたんですか?」

「彼女?なんだい?それは」

「だって…あの時」

それから、あの日偶然見てしまった事を話すと、暫く記憶を呼び起こす様に考えだした彼は、

「…あー、あれは親父の秘書だよい」

「…秘書?」

「あぁ。彼女なんかじゃねぇよい」

「でも…嘘、付きましたよ」

「それは…嫉妬させねぇようによい」

オレなりの気遣いだと言う彼。

それじゃぁ…ほんとに?
本当に彼女なんか居ない、と?って事は…

「私の苦労は…」

「#name#?」

彼女説が偽りだったと知った私は項垂れる様に力が抜け、そんな私を心配しだした彼に今までの苦労を話した。

「成る程ねい」

「ちゃんと聞けばよかったです…」

あ。だからあの時、ローは"彼女の事は聞いたのか" なんて言ったのか…
あの隈め…

「誤解は解けたかい?」

「っ!!あ、はい」

「でよい、その…今でも気持ちは変わってないのかい?」

「ぇ… は、はい。大好きです!」

「#name#…ありがとよい」

そうして優しく抱き締めてくれる彼にこれは本当に現実なのかと、未だ信じられない私は、


「信じて…いいんですか?」

「あぁ」

「ほんとに?」

「あぁ」

「ほんとのほんとに?」

「…あぁ」

「ほんとのほんとのほ」

「本当だよい!!ったく…」

そんなに信じられないのかと、しつこいだのと呆れるように言葉を遮られる。

「だって…こんな展開予想外過ぎて、信憑性が…」

「じゃぁどうすれば信じる?」

「ぇ…えっと…」

何だろ…彼の言葉を信じられるには…あっ。

「だ、抱いてください!今すぐに!!」

「…あのよい」

「うん。それが一番信じれるかも。さっ!!どうぞ!!」

「……」

「さぁ!遠慮せずに!!私を好きなら抱いてください」

そう言って呆れ顔の彼に両手を広げ待ち受ける。

彼は、頑なに一線を越える事を拒んでいた。
これで抱いてくれるのならばかなりの信頼性がある。

「はぁ…途中で嫌だっつっても」

止めないよいと、グイっと腰を引き寄せられあと少しで唇が重なるという処で…

ガタン!バタン、ドテドテ…
《うわわわわぁ!!!!》

彼の部屋に雪崩が起きた。


「なっ!?なんだよい!?」

そんな驚きの声を上げている彼の後ろには、
ハルタさんに…誰だろ?


「イテテ…だって、マルコってばいきなり#name#ちゃん連れて行くから…ねぇ?」

「ああ、ハルタは悪くないぞ」

「マルコ…横取りは頂けねぇなぁ」

「大人げねぇなぁ、マルコよぉ」

「犯罪だ…マルコ…」

「お前ら…いつから…」

「初めからだよ。ね?」

「ああ、マルコの愛の告白から全部筒抜けだ」

「なっ!?」

そんな彼等の会話を聞きながら、初めから聞いていたと言う処にドキリとしたが、彼等は一体…

「#name#ちゃん。もしかして#name#ちゃんの好きな人って…マルコなの?」

「っ…!! はい…」

私の返答に酷く驚いていたハルタさんだが、世間は狭いねと、マルコ先生と同じ返しがきた事に少し頬が緩んだ。さすが兄弟だ。

そうして私達のやり取りを聞いていた彼等は、皆、驚きやら非難やら祝福やらと、各々言葉を繋ぎ部屋を後にした。



急に静かになった処で、

「ああ、悪かったねい。兄弟が多くてよい」

ポリポリと頭を掻きながら、照れた様な、それでいて鬱陶しそうな、そんな少し複雑な表情で口にする彼に、

マルコ先生の、知られざる新たな一面を見れて嬉しいですと伝え先程の続きをという様に彼の胸に擦り寄った。

「マルコ先生…さっきの続きは?」

「……あ、あぁ」

そうして、再び唇が重なろうとした刹那、



「マルコ!!オレの生徒に手を出したらしいな!?」

「…またかよい。あのよ…ぶっ」

「はっ!?マ、マルコ先生!!」

いきなり現れたビスタ先生によって目の前のマルコ先生が綺麗に吹っ飛んだ。

「#name#!大丈夫か?」

もう大丈夫だと、何もされなかったかなど、少し話がずれているビスタ先生に私は訳が分らぬ面持ちで固まる。

その間に復活した彼が誤解だの痛いだのと、ビスタ先生に避難めいた言葉を掛けている傍らで私が目にしたのは…


扉の隙間から、ニヤリと笑うハルタさんだった。

彼のその表情は私の知っている無邪気な少年の笑顔ではなく、その、してやったりな悪魔の様な笑顔には、《ざまみろ》と書いてある様に見えたのだった。







「誤解だって言ってるだろい!」

「金輪際、彼女には近づくな」

「なっ!?おい!#name#も何か言えよい!」

「ぇ……ドンマイ」

「は? #name#…」

「さぁ行こうか#name#」

「ぇっと…ハイ」

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