マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#35 私の休日



ハルタさんとの出会いから数日経ったある休日、今日は彼と会う約束をしていた。

彼と会うのは二度目だ。
別に恋心なんて抱いていない。ただ、気になるのは彼の匂い。

私はこんなに匂いフェチだったのかと、少しおかしくもなったが好きなものは仕様がない。本能だ。

そうこうしている内に、彼が迎えに来る。


「やあ!いい天気で良かったね」

「こんにちは。そうですね!」

軽い挨拶を交わし、車に乗り込んだ。
今日の予定は決めていない。どうするのだろうと彼に問い掛ける。

「今日は、どうしますか?」

「うん。実は・・・決めてないんだよね」

「フフ。では何しましょうか?」

「行きたい所とかないの?どこでもいいよ」

「うーん。じゃぁ・・・動物園!!」

「ハハッ。了解しました」


そうして私の希望で動物園に行く事になり、かわいい動物達に囲まれながら癒しの時間を満喫した。


「ねぇ、#name#ちゃん。そのネックレス、お気に入りなの?」

そんな唐突な質問に、少し戸惑う。

「お気に入りって言うか・・・頂き物なんです」

「大切な人からの?」

「・・・はい」

「そっか。その人の事・・・好きなの?」

「っ・・・はい」

「ふーん。でも何か複雑そうだね・・・」

「ぇ・・・?複雑…ですか?」

「だって、#name#ちゃん泣きそうな顔してるよ」

「・・・・すみません」

「謝らなくていいよ!オレこそゴメン。つい・・・」

「いいんです。大丈夫ですよ」


それから、気まずい雰囲気を補うようによく喋るハルタさんに頬が緩み、優しい人なんだなと改めて思った。

「なんかさ、#name#ちゃんってほっとけない雰囲気だすんだよね」

「・・・?そうですか?」

「うん。あ、変な意味じゃなくてさ、何かこう・・・妹みたいな?」

「フフ。妹ですか?」

「そう。何だろうね、女としてとかじゃなくて・・・あっ!傷ついた?」

「いいえ!嬉しいですよ、妹」

「あー、良かった。あ、あれだよ?女の魅力が無いとかじゃないからね?」

「フフ。はい」

「うん。#name#ちゃんは十分可愛いよ。」

「もういいですよっ!恥ずかしいです」

「ハハッ。ゴメンね」

そんな会話を交わしながら、オレでよかったら何でも相談に乗るよと言ってくれた彼に感謝の言葉を返し、動物園を後にした。


その後美味しいイタリアンのお店に連れて行ってもらい、好きなアーティストの話で盛り上がる。

「そのCD持ってるよ!貸してあげようか?」

「ほんとですか?嬉しいです!!」

「うん。じゃご飯食べ終わったら、家行こうね」

「はい!」

そのCDとは少し年代物でレンタルショップにもなく、かなり前から探していた代物だったので私は思わず飛び付いてしまったのだ。

そうして二度目となる彼のお家にお邪魔する事になった私は、妹の様に扱ってくれる彼にかなり心を許していた。


「はい、これでしょ?」

「わっ!!これですこれ!!」

「良かったね。なんならあげようか?」

「え!?いいんですか?」

「いいよ。どうぞ」

「ありがとうございます!!」

「そんなに感激されるなんて、あげる甲斐があるね!」

「フフ。でも本当に嬉しいんです」

「良かったね。それはそうと・・・」

そうして彼が放った言葉は、私は少し無防備過ぎるという事だった。

「他の奴にはホイホイ着いて行ったらダメだよ?」

「・・・はい。すみません」

「また、謝ってばっかり!ねぇ、オレってそんなに危機感無いの?」

「いえいえ!あ、いや・・・その、」

「何?」

「・・・匂いが」

「匂い?オレの?」

「はい・・・同じなんです」

私はハルタさんに、好きな人と同じ匂いがする事を話した。

「そうなんだ・・・それで戸惑いも無く着いて来ちゃたと?」

「う・・・はい」

「危ないなぁ、これからはダメだよ?気を付けないと」

「はーい」

「まったく・・・ほんと困った妹だね」

「ぅ・・・あ、ハルタさん、お手洗い借りてもいいですか?」

「いいよ!突き当りを右ね」

「はい。ではお借りしますね」


そうして私は、まだ続きそうなお説教から逃げる様にトイレに行き、手を洗って扉を開いた瞬間、反射的に思わず扉を閉めてしまった。

「・・・・・・・・・・ぇ?」

あまりの衝撃に固まっていると、外側からドアノブが回りだす。

「ゎっ!!」

私は必死に開けさせまいと内側からそれを阻止する。

それでもなお、開けようと試みる外側の人物に、私は精一杯抵抗した。

しかし力で適う筈も無く・・・

「きゃぁ!!」

勢いよく開いた扉に吹き飛ばされてしまったのだ。


「・・・・・・#name#?」

「・・・・・マルコ・・・先生?」


まさかの出会いに、私も、彼も、ピクリとも動けずただ立ち尽くしていたのだった。




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