マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#32 新たな出会い



マルコ先生との接触から、数日経ったある放課後。
私はローと共に街を歩いていた。

「何か食うか?」

「うん・・・」

「相変わらず時化た面してんな・・・」

「時化たって・・・」

「はぁ・・・またあいつか」

「・・・」

こうやって勘の鋭い彼は、私の心をぴしゃりと読んでくる。
この間の事は彼には話していない。

それから軽く食事をし、温かい飲み物をテイクアウトして公園のベンチに腰を下ろした。

「あぁ、そうだ」

プレゼントだと、彼が差し出してきたものは小さなハートが二つ並んだネックレス。

「・・・貰えないよ」

「あ?人の好意を無碍にすんじゃねぇよ。いいから後ろ向け。」

着けてやると、彼の手が伸びてくるが反射的にそれを避けてしまった。

だって、私の首には彼の分身が着いている。
マルコ先生以外の人からの贈り物なんて身に付けたくない。

「・・・#name#」

あまりにも露骨に断る私に、勘のいい彼は何か気付いたようだ。

「じゃあ、着けねぇから・・・貰ってくれ」

「・・・」

少し悲しそうな瞳を纏い、そう言い放つ彼に、私はしぶしぶ贈り物を受け取った。

「まだ・・・忘れられねぇのか」

その言葉を聞いてこのままじゃいけないと思った。

「ねぇ、ロー」

それから、私はまだマルコ先生の事が大好きで、まだ等分忘れられそうにない事と、もう私に構わないで欲しいと、他にいい人が沢山いるだろうと、それと、ローの気持ちには応えられない事を話した。



「・・・オレが決める事だろ」

「でも・・・」

「煩せぇよ。いいんだ」

「・・・うん」

怒らせちゃったかな。でも彼の為にも、私に時間を費やすだけ無駄だとはっきり伝える事が私なりの誠意だ。



それからまた数日。
帰り際にビスタ先生に呼び止められる。

「#name#!頼みがあるんだが・・・」

「はい?」

ビスタ先生の頼みとは、三日前から風邪で休んでいるビビちゃんに、明日が期日の提出物を渡しに行って欲しいという事だった。

「オレの家から近いんだが、どうしても今日抜けられない用事があってな」

特に用事もなかった私は、いいですよと二つ返事で了承した。

「そうか!じゃぁ、これが地図と、交通費だ」

「はい。任せてください」

そうして私は、自宅からだいぶ離れた彼女の家に行く事になったのだ。

「わぁ・・・おっきなお家」

かなり入り組んだ住宅街に苦戦しながらも、無事目的地に着き上がって行けとの勧めを丁寧にお断りし、また駅へと来た道を歩く。

「・・・?あれ?」

来た道を通った筈なのに、いつの間にかまた同じ場所に辿り着く。

「まさかの・・・迷子?」

自分では方向音痴と認識していなかったが、どうやら間違いなく私は迷子になってしまったらしい。

「参ったなぁ・・・」

空を見上げれば、なんだか雲行きも怪しい。一雨降りそうだ。

じっとしている訳にも行かず、私はまた歩き出す。
すると、地響きの様な雷と共に豪雨とも言える雨に襲われてしまった。

「わぁ・・・びしょびしょ」

日中ならまだしも、夕暮れ時にもなるとかなり冷え込むこの季節。

私は急いでタバコ屋の軒下に逃げ込み、空を見上げた。

だが、まだまだ止みそうにない雨にブルリと身震いをする。

「さ、寒い・・・」

そう。寒い。全身ずぶ濡れの私は、体がブルブルと震えだすのを感じた。


そうして暫く震えながら空を見上げていると、私と同じ境遇の人が現れた。

「わぁ、もうびしょ濡れだよ」

そんな声に振り向くと、爽やかな雰囲気の青い目をした彼と目が合う。

「あ、その制服・・・いや、君も雨宿り?」

「はい。困りましたね」

そう答え、これも何かの縁とばかりに会話を交わした。

「迷子なんて、おちょこちょいだね」

「フフ、自分でも吃驚ですよ」

「・・・ん?ねぇ、唇真っ青だよ?大丈夫?」

「あ、ほんとですか?少し寒いですもんね」

本当は少し所じゃない。とても寒い。

「風邪引いちゃうよ!ね、僕の家、そこだからおいで」

少し走れば着くからと、断る私の腕を強引に引っ張り走りだす彼に、体力の失っている私は引き摺られる様に連れて行かれた。


「さ、入って」

「あ、は、はい」

連れて来られた彼のお家は、言葉に詰まる程の大きな家だった。

どうやらこの辺りは高級住宅街らしい。

「ねえ!誰かいないの?」

その彼の呼び掛けに、いそいそと現れるお手伝いさん。

「この子、お風呂入れてあげて」

「え、あ、あの・・・」

「このままじゃ、確実に風邪引いちゃうよ!お風呂入っておいで。ね?」

少年の様に無邪気な笑顔の彼に、私は頷くしかなかった。

そうしてお風呂を借り、制服が乾くまでバスローブを借りとお世話になりっぱなしの私は、先程の彼の部屋へ通される。

「あ、あの。ありがとうございました」

普通だったら初対面の男性の家で、しかもバスローブ姿なんてありえないのだが、
何故か、彼にはそんな危険は微塵も感じなかった。

「気にしなくていいよ。はい、これ飲んで」

「わ、ありがとうございます」

「ハハ、いいって。それより名前、聞いてなかったね」

「そう言えばそうですね。あ、私#name#と言います」

「#name#ちゃんか。かわいい名前だね」

「・・・そうですか?あの、あなたは・・・」

「ああ、僕の名前は、ハルタだよ。宜しくね」



そうして私は、新たな出会いをしたのだった。

彼が、何者かも知らずに・・・


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