マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#24 彼の心中



マルコside




はぁ・・・最近のオレは、溜め息しか出てこない。
#name#の事を好きだと認めてから、心の葛藤に疲れ果てている。

自分で決めた事だ。曲げるつもりは・・・ない。

だが、会う度に抱き着きキスをせがんでくる彼女に、オレは複雑な気持ちになる。

勿論、抱き着かれたら嬉しいし、キスだってしてやる。
以前に比べたら、格段好意的な態度をとっているのだが、彼女は全く気付いていない様だ。

恐らく、気紛れか、遊ばれているとでも思っているのだろう。
彼女を傷付けたくはないが・・・今はそれでいい。

オレの気持ちには・・・気付かないでくれ。



それにしても、七夕の日はやばかった。
泣きそうな顔でキスをしてきた彼女に、思わず喉まで言葉が出掛かったからだ。

そんな顔するんじゃねぇよい。
オレはちゃんと、お前の事を思ってるよい。

その後は何だ・・・
あぁ、合コンに行くだの何だの言ってたな。
ダメに決まってるだろい。
だが、今のオレには止める権利はない。

行くなと言いたいが、言えないもどかしさから、彼女の顔を見れなかった。

きっと、#name#はあの日、合コンとやらに行ったのだろう。
次に会った時の態度で丸分かりだ。

"一番落ち着く"と口にした彼女。
では二番目は誰だい?

一体、何処のどいつの匂いを嗅ぎやがった。
むかつくよい。


しかし、このまま#name#が卒業するまで、オレの事を思ってくれる保障なんてどこにもない。

出会いのチャンスは幾らでもあるだろう。
なら、早く手に入れればいいじゃないかと、また葛藤が始まる。

否、ダメだ。
生徒に手を出したなんて親父に知られたら…殺される。

それにだ。仮に、彼女が他に好きな奴が現れたとしたら、オレはそれを見守ってやらなければならない。

かなりの年の差だ。
何も、こんなオヤジに縛られる事はねぇよい。

若い頃には、若いなりの付き合い方がある。
歳を取ってからでは味わえねぇもんを、しっかり味わえばいい。


それでも、後二年足らず、オレ以外の男は考えられないと言うなら、精一杯愛してやる。

我慢していた分、凄い事になるだろうが、三年分の愛情を受け取ってもらうよい。


そんな未来への妄想を繰り広げている自分に、ブルリと身震いがした。

全く・・・生徒になんかに恋心を抱くもんじゃないと、自嘲的な笑いが出た処で、
彼女の登場だ。



「マルコ先生!!」

いつもの様に元気で無邪気な声色に、溜め息が出てしまう。

「いいねい、無邪気でよい」

「?何がですか?」

「何でもねぇよい」

オレの心中なんか知る筈もない彼女に、理不尽だが少し苛つく。

「あらら・・・ご機嫌斜めですね」

そう言いながらも、隣にピトリと引っ付き、腕を絡ませてくる彼女に頬が緩む。


「もう一年以上経ちますね」

マルコ先生を好きになってから。と、いきなりそんな事を言い出す彼女に、ドキリとした。

「そうなのかい。#name#もよく飽きないねい。」

動揺を隠すように、冷静を装う。

「もう!いつになったら彼女にしてくれるんですか!?」

「彼女ねぃ・・・」

ったくよい、人の気も知らねぇで。

「むー。いいですよ。諦めませんから」

「・・・・・」

あぁ、そうしてくれよい。
オレは声に出来ない言葉を、心の中で呟いた。

「でも・・・恋人が出来たら、ちゃんと教えてくださいね」

はぁ。前もそんな事言ってたねい。
恋人が出来たら、身を引くだのなんだの・・・

「わかってるよい」

出来る訳ないだろい。オレはお前が好きなんだよい。

「はい・・・約束ですよ」

「#name#・・・否、何でもねぇ」

「またでましたね」

なんですか?と問いただす彼女に、溜め息混じりにもう一度、何でもないのだと告げた。

ほんとどうにかしてくれよい。
オレは、このどうにもならない思いに頭痛がしてきた。

「もう・・・じゃぁ、約束のキス!して下さい」

そう言って、またオレの頭痛の根源は、可愛らしい顔でキスをねだってくる。

あーもう、何なんだいこいつはよぉ!

そう思いながらも、彼女の腰を引き寄せ、このもやもやをぶつける様に口を塞いでやる。

時折漏れる彼女の吐息に、時間を早送りしたくなった。
早く卒業してくれよい。
でないとオレはどうにかなっちまいそうだい。






その数週間後、親父の専属秘書に、無理やり買い物に付き合わされている処を、#name#に見られる事になろうとは、オレは知る由もなかった。

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