マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#23 言葉の怖さ



少しの頭痛と、喉の乾きに目を覚ました私は起きるや否や、叫び声を上げてしまった。

そして、悠々と隣で寝ていた人物に恐る恐る問い掛ける。

「な、な、なんで…」

「介抱してやったんだ。感謝しろ」

「介…ナ、ナミ達は?」

「あいつらも潰れたからな。送らせた」

「…で、此処は…」

「フフ…ホテルだ」

「ホテル…」


最悪だ。そうか。私はあのまま寝てしまったんだ。
だからって…

「って!何でホテルに連れ込んでんのよ!!」

家に放り込んでくれればいいものの、ご丁寧にホテルなん…て…ん?

そして、本日二度目の叫び声を上げる。

「きゃぁーー!!!!」

「煩せぇよ…」

「ち、ちょっと…服…」

「オレが脱がせた訳じゃないぞ。お前が自分で脱いだんだ」

「嘘!絶対嘘だ!」

「嘘じゃねぇよ…」

叫ぶのも当たり前だ。
何故なら私は、下着姿だったのだから。

真っ裸ではなかった事が、せめてもの救いだ。
それに、下着を脱いだ形跡はない。筈。

「嘘なんか付くか。ほら」

私とは打って代わり、冷静そのものな彼は、ミネラルウォーターを差し出しながら、止めの一撃を放った。

「それにしても…凄かったな…お前」

「!!!!…な、何が…?」

「何がって…再現してやろうか?」

そんな恐ろしい言葉を吐きながら、グイッと腕を引かれ、私を組み敷く彼。

「わっ!いい!再現しなくていいからっ」

離してと、両手首をがっちり掴んでいる変態に、威嚇しながら言葉を放った。

やはりあなたは、変態に降格だ。おめでとう。

「フッ…離すかよ」

そう言って、あの時の様に唇を落としてくる変態。

「んっ!止めてよ!変態!!」

そう叫んだ瞬間、やばいと思った。

「ほぉ…犯してほしいのか」

そうだった!彼の前じゃ、変態ワードは禁句だった…

「く、口が滑っちゃった」

エヘヘと、可愛く弁解するも、

「ダメだ。諦めろ」

そうして、再び唇を落とされ、その唇は、首筋、鎖骨、胸へと降りてくる。

「いゃっ…ねえ!ほんと止め…ぁっ!!」

変態の唇が、胸の先端を捉えた瞬間、思わず艶かしい声が出てしまった。

「フフ…気持ちいいのか?」

既にブラはずり下げられており、こちらを見つめながら、舌先を器用に動かす変態。

意思とは関係なく、変態から与えられる快楽に感じてしまう自分が情けなくて、思わず涙が頬を伝った。

「ぉ…お願い…止めて」

「……」


涙目で訴える私に、意外にもすんなりと行為を中断してくれた

「泣くな。悪かった」

案外、素直に謝るんだなと思いながら、乱れを直し涙を拭った。

「もう…いいよ」

止めてくれたから許すと、彼に告げながら服を探す。

そうして、全て服を着た所で、真剣な眼差しを向ける彼が口を開いた。


「あいつの事…そんなに好きなのか?」

「…うん。大好き」

何でそんな真剣な表情で聞いてくるのだろう…

そんな事を考えていた私は、少し言葉に詰まってしまう。

「早く諦めろ…」

「なっ…わっ」

そう言って引き寄せられ、すっぽりと彼の胸に納まった私に、

「で、オレんとこに来い」

「…っ!」

その言葉に、ずしりと胸が軋んだ気がした。



「……すごいね、その言葉」

「…何がすごいんだ?」

「ローの事なんか、好きじゃないのに…グラッときた」

「…ムカつくなぁ、お前」

「だってほんとの事だもん」

「はぁ………。待っててやる」

「ぇ…?」

「お前が…あいつを諦めるまで」

だから、早く諦めろよと、初めて見せる優しい眼差しの彼に、不覚にも、心が揺らいでしまいそうになった。




そして翌日。

ナミに盛大な文句の雨を降らし、未だ優しい眼差しで見つめてくるローを無視して、マルコ先生に逢いに行く。



「マルコ先生ー!」

一日逢わなかっただけなのに、久しぶりの再会の様に大袈裟に抱き着いた。

「グッ…は、離せよい」

「やっぱり、マルコ先生の匂いが一番落ち着きます!」

彼の匂いは、今や私の精神安定剤だ。

昨日の悪夢とも言える出来事を、彼の匂いで浄化する様に、私はその匂いに酔いしれる。

「…#name#。誰と比べてんだい?」

「へ?…何がですか?」

「今、一番って言ったろい。」

「あ…いや、別に深い意味は…」

「へぇ…その割には顔が焦ってるよい」

「そ、そんな事ないですよ」

「……」


それから疑いの眼差しで、ずっと見られてしまう私。

何だか焼きもちを妬いてくれている様で嬉しいのだが、同時に、言葉って怖いなと、改めて思ったのだった。








「マルコ先生…まさか、焼きもちですか?」

「んな訳あるかいっ」

「えー、だって」

「…もう離れろよい」




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