マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#21 現状維持



「880円になります」

「ありがとうございました」


「わぁっ」

私が何に歓喜の声を上げたかと言うと…

「このマルコ先生物凄くカッコイイっ!」

そう。花火を見ている時に不意討ちで撮った写真が仕上がったのだ。

出来上がった写真は、コレクションの中にはない表情の彼が写し出されており、初めてのツーショットは間違いなく部屋に飾るつもりだ。


勿論、10枚程焼き回しをしており、彼にもあげるつもりでいる。


その日は朝から、何度も写真を眺め私の顔はおかしなくらい緩んでいたに違いない。

「いつにも増してきしょく悪いわよ」

「いいの!私は幸せなの」

そんなナミからの罵声をさらりとかわし、また写真を眺め1人ニヤケる。

「…。それはそうと、今日ちょっと付き合ってくれない?」

そう発言する彼女に疑いの眼差しを送った。

「また変態ローのお出ましじゃないでしょうね…?」

以前騙された私は信用深く問い詰める。
もう、あれは御免だ。

「彼じゃないんだけど…合コン」

人数足りないのと、可愛くお願いポーズをとる彼女だが、

「パス!行かない」

間違いなく行っても楽しくも何もないに決まってる。

「お願い!居るだけでいいから!」

だが、とことん食らい付いてくる友人に、少々面倒になった私は渋々了承してしまった。


合コンか…本当に行きたくない。

マルコ先生に言ったら何て言われるかな。

彼の事だから、"遅くまで遊ぶなよい"なんて、ありきたりな事を言うんだろうな。

よし。試しに聞いてみよう。まさかの"行くな"を期待して、私は彼の元へ足を向けた。




「お邪魔虫です」

「ついに虫になったのかい?似合ってるよい」

「…。言葉遊びですよ」

「ククッ。どうした?」

彼のボケを受け流しながら、早速本題に入ってみる。

「合コン!」

「…主語がねぇよい」

「合コン行ってもいいですか?」

「……。何でオレに聞くんだい?」

勝手に行ってこいと、机に目線を向けたまま言葉を投げられる。

その至極冷たく予想通りの対応に、私は腕にすがり付きながら悲願する様に口にした。

「行くなって言ってくださいよ!」

お前はオレのだ!とか、そういうやつを期待していましたと口にすれば、

「はぁ…。行きたいんだろい?」

「付き合いです」

「じゃ、付き合ってこいよい」

まぁ、初めからこうなる事は分かっていたが、やっぱり寂しい。

少し悔しくなった私は隙を見て、毎度の如く向き合う形で膝に座り込み、腕を巻き付けもう一度聞いてみた。

「ほんとに行ってもいいんですか?」

「…その前に、何て格好してんだよい」

どこで覚えたんだと、心底呆れ顔で私を降ろそうと悪戦苦闘している彼。

「嫌だ嫌だ!離れたくないです」

彼の苦闘に対抗する様に更に抱き着き、居心地のいい温もりを堪能する。

「ったくよい。#name#」

呆れた様な、そして少し困った様な口調で、私の名を呼び肩をやんわり押し返すマルコ先生。

「ほんとに困った子だねい」

少し顔を近付ければキスを出来てしまう距離にいる彼は、目尻を下げ、優しい眼差しでそう口にした。


そんな目で見られたら何だか期待してしまう。

この間から、まるで私の気持ちを受け止めてくれたかの様な態度に、私は思わず喉まで言葉が出掛かった。

「っ……」

でも、この言葉を吐き出して、玉砕する覚悟はまだ出来てない。

今はまだ、このままでいいと、甘えさせてもらおうと思った。

マルコ先生を諦める覚悟ができるまでは。


「キス…してください」

「……」

優しくて狡い彼にそう告げれば、ゆっくり近づいて来る唇。

もうっ。ほんとにいつか刺されますよ!私に。












「はい!スペシャルプレゼントです」

「スペシャルって…これがかい?」

「そうですけど、何か?」

「……ありがとよい」

「机に飾ってて下さいね?」

「…飾れる訳ねぇだろい」


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