マルコ先生ver<img src="//img.mobilerz.net/img/i/63879.gif" border=0 align=absmiddle /> | ナノ

#10 私の厄日



「はぁー」

「はぁーー」

「はぁーーー」

バコンッ

「真横で鬱陶しいのよ!」

「痛いな、もう」

「どうしたの?マルコ先生絡み?」

「ううん。違う・・」

「じゃぁ、な・・・」

「オレだろ?」

「・・・!!!近寄るな!!」


「あら・・・逃げた」

「フッ・・・」

「ちょっと待ちなさいよ」








もう。何なのよ変態ストーカーめ。
顔も見たくない相手なんて初めてだ。


変態に会った後は、何故かマルコ先生に会いたくなる。
そう。口直しだ。

会いたいな。でも昼休みに会いに行った事がない私は少し戸惑う。
しかし彼に逢いたい衝動には勝てず、既に足は彼の元へと向かっていた。


コンコン

「先生?お邪魔しますよ・・・」

控えめにノックをするも返事はない。居ないのかな?
昼休みの行動は、把握してないので居場所の検討もつかない。

残念。放課後また来よう。
扉に向かおうと足を向けた瞬間、僅かに布の擦れる音がした。

「・・・?ソファー?」

背もたれがこちらに向いている為分からなかったが、どうやらソファーに誰か居るらしい。
誰かって・・・マルコ先生しかいないと思うが。

「わぁっ寝てる・・・」

そこには案の定彼がいて、なんと無防備に眠りに就いていた。

私は顔の前に膝ま付き、彼の顔をまじまじと覗き込んだ。

いつもの切れ長で少し怖いイメージがある彼の目は、閉じているとまるで少年の様にあどけなく、その表情に胸がキュンとなる。

こんな無防備な寝顔を見せられたら・・・我慢できる筈がない。

寝てるから気付かないよね…

私は彼の唇に…は止めといて、頬にチュっと口付けて大好きですと囁き、真っ赤になっているだろう顔を隠しながら部屋を後にしたのだ。





「・・・・・まったく」






一気にご機嫌になった私は軽やかな足取りで教室に帰還した。

「あら、急にご機嫌になって」

「うん。凄くご機嫌です」

「単純ね。そうそう」

今日放課後、少し付き合ってと言ってきた友人。

「えー、放課後はダメだよ・・・」

「マルコ先生のとこ、行ってからでいいから」

「あ、そう?」

じゃぁ、一時間以内には戻るからと彼女と約束をし、ご機嫌なまま放課後を向かえる事になった。





「どっか行くの?そこまで行こうか?」

「そうね。じゃぁ、駅前のカフェにいるから」と、

彼女と別れ、私は大好きな彼の元へと急いだ。




「お邪魔しまーす」

「・・・・」

あれ?今日はいつにもまして冷たいな。

まぁ、いつもの事だと、既に定位置となった彼の横にくっつく。

「先生っ今日も素敵です」

「はぁ・・・どうもありがとよい」


机に向かい、すらすらとペンを走らせている彼はテストの採点中だった。これはあまり邪魔すると怒られそうだと踏んだ私は、ナミを待たしている事だし早めに退散しようと、

「忙しそうなので、今日はこの辺で退散しますね」

と告げ腰を上げようとした瞬間、



「わっ!?」

珍しい事に彼に腕を引っ張られ、また椅子へと座らされた私。

「マルコ先生?」

「#name#・・・。いや、何でもないよい」

気を付けて帰れと、いつもと様子が違う彼。

そんないつもと違う行動をされ、しかも腕なんて引かれたら帰れる訳がない!

「やっぱり帰りませんっ!」

そう告げていつもの如くしがみ付く。

「…そうかい」

「……?」

今日のマルコ先生はおかしい。

こ、これは…
あんな事やこんな事をしても、もしかしたら
"そうかい"で片付けてくれるかもしれない!

このチャンスをものにしようと、私は懲りずに彼に顔を近付けてみた。

前回はこの辺で、頭をガシリと掴まれて残念な結果に終わったのだが…今回は微動だにしない彼。

残り1cm足らずで彼と念願のキスをできたというのに、その不可解さに怯んだ私は顔を元に戻してしまったのだ。

「マルコ…先生?」

だって、怖い。いつもと様子が違いすぎる。

「なんだい?止めるのかい?」

「…!!い、いいんですか?」

「チャンスは一度だけだよい」

もうダメだと、ニヒルな笑みと共に言ってきた彼。

「先生!もう一度チャンスを…」

「世の中そんなに甘くないよい」



それからどんなに頼んでも首を縦に振らない彼を横目に、しぶしぶナミの元へ向かう私。

時間よ戻れ!とぶつぶつ呟きながら、彼女が待っているというカフェの扉を開く


「………ファック」

何故!何故ナミと変態が仲良くお茶をしている!?

「あ、来たわね」

「よぉ」

これはどう言う事でしょうか?と彼女に尋ねれば、

「私は、今日から恋のキューピットよ」

と言い出す友人。

キッと変態を睨む。

「どう丸め込んだの!?」

「別に…」

嘘だ!ナミは善意だけで動く筈がない!

はっ!!まさか…

「ナミ…幾らで雇われたの?」

「あら、バレた?」

そうして、強力な見方を取り入れた変態は、ニヤリと笑っていたのだ…




今日は絶対厄日だ…

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