マルコ先生ver
| ナノ
#09 後悔の嵐
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あれから彼は、何かと私に付き纏うようになった。
電話も頻繁にしてくるし、放課後も一緒に帰ろうと厚かましいのにも程がある。
しかし、放課後の幸せな時間だけは邪悪されたくない私は、
「いい加減にしてよ!着いてこないで!」
振り向き様に、嫌悪感を込め彼に叫んだ。
「ほぉ…」
そんな彼の返答に深い溜め息がでる。
顎に手をやり何やら考え込んでいる様子の彼。
その隙を逃がすまいと、私は一目散にマルコ先生の部屋へと駆け込んだ。
バダン!!
「ふぅ…」
「ふぅじゃねぇよい」
ノックくらいしろと叱られるが、マルコ先生の顔を見てストーカーがいるんですと泣きついた。
「ストーカー?」
「はい!私のマルコ先生への愛を邪魔するんです!」
えーんと態とらしく言いながら、これ見よがしに抱き付く。
「ぐぇ…苦しい…よい」
「だってだって!!」
「分かった…から…離れろい!!」
「あっ!!」
思いっきり剥がされた私は、めげる事なく椅子を引き連れ彼の横にピトリとくっつく。
「…で?ストーカーって何だい?」
私のピトリに随分慣れた彼は、この行動には触れずに話を進めだした。
「はい!マルコ先生への想いは絶対に報われないから、オレの女になれって言うんですよ!」
酷いでしょ!?と言いながら今度は腕にしがみつく。
「はぁ…それはストーカーじゃねぇよい」
付き合ってやればいいだろいと、耳を疑う言葉を吐くマルコ先生。
「なっ!?ひ、酷いです!」
私はマルコ先生一筋なのにと、すりすりと首筋までスリ寄り大好きな匂いに酔しれる。
「若いもん同士仲良くやれよい」
#name#は誰とも付き合った事ないのだろうと、色んな人と付き合って経験を積めと、
首筋に絡まる私の腕を、じわじわと剥がしながらそんな切ない話をしてくるマルコ先生。
「い…嫌です」
そんなの絶対に嫌だ。
好きでもない人と付き合うのならば、女を辞めた方がましだ。
「私はマルコ先生じゃなきゃ嫌なんです!」
剥がされかけた腕に力を込めて、再びしがみつく。
「はぁ…」
「……」
聞き飽きるくらい聞いた彼の溜め息を、いつもの様に聞き流す。
それにしても…
彼はこんな至近距離にピチピチギャルが居るというのに、ムラムラしないのだろうか?
そこは女として、凄く悲しい気分に襲われる。
よし。試しにキスしでもしてみるかと、私は悪戯気に首筋に埋めていた顔をそろりと彼の顔に近付けてみた。
「…わっ」
「何してんだよい」
後少しの所で頭を掴まれてしまった。世の中そんなに甘くはない。
「うぅ…だって…」
「ほら、早く帰って宿題でもしろよい」
そうやって、いつものパターンで部屋を追い出された私。無念だ。
後少しだったのにと項垂れながら廊下を歩いていると、
「終わったか」
既に耳障りな声色になりつつある音に、一気に眉間に皺が寄る。
「何よ。終わったって」
嫌な言い方するなと、少し睨みを効かせ横を通り過ぎようとした瞬間、
「わっ!…んっ!?」
急に腕を掴まれ引き寄せられた私は、ストーカーに唇を塞がれてしまったのだ。
「…んっ!何すんのよ!!変態!ハゲ!」
思い浮かぶだけの罵詈雑言を浴びせながら、思い切り突き飛ばし彼を睨み付ける。
「フッ…色気ねぇな」
そんな変態の言葉に内心沸々と沸き上がる怒りを噛みしめながら、これでもかと言う程睨み付け、
「今後一切近寄らないで!」
大嫌い!と投げ捨てまたもや私は猛ダッシュをするのだった。
「あの変態!大嫌いだー」
そう叫びながら、先程無理やりにでもマルコ先生にキスをしておけばよかったと後悔の嵐に襲われていた。