碧に溺れて 第1章 | ナノ


#23 私の決断




「送ってもらって、有難うございました。あ、後…お洋服なんかも…」


自宅の数十メートル手前で車を降りる。
自宅の前は一方通行だ。


「連絡…待ってるよい」

そう言って、頭をふわりと撫でられマルコ先輩と別れた。


結局、昨晩は私の思ってた様な展開は全くなく、美味しい食事を頂いて寝ただけだ。

もちろん別々に…
マルコ先輩はソファーで寝ていた。

寝りに就くまで、色々な話をした。

マルコ先輩の家族の事、これからの夢、思考など、知れば知るほど素敵な人だと思った。

意外だったのは、今まで付き合った女性がいないと言う事。

かなりの恋愛経験者だと踏んだ私の予想は外れていた。

そして最後に、側に居て欲しいと…好きだと言われたのだ。


返事はいつでもいいと、ゆっくり考えてくれと。





自宅の門を潜り、玄関の方に目をやると…

そこには座ったまま、目を閉じているローの姿があったのだ。

まさか、一晩中ここに居たのか?

現在の時刻は、ようやく陽が昇り始めたAM6:00

少し忍び足で彼に近づき、手が届く距離まで来た処で、

「遅ぇ……」

寝ていると思っていた彼の口から、言葉が漏れたのだ。


「ずっと…ここに居たの?」

そんな分かりきった様な事を口にする。

後ろめたさがあった私は、それ以外に言葉が出てこなかったのも事実だ。

昨晩の事がなければ、彼の浮気の事を、真っ先に口にしていただろう。

だが、罪悪感か…次に繋ぐ言葉が見つからない…。


「あぁ…電話しても出ねぇしな…」


彼の口からでた言葉に、
取り敢えず入ってと家の中へ招き入れる。



リビングにローを通し、珈琲でいい?かと尋ねる。


珈琲を淹れながら、さぁ、どうしようかと考える。

結局、考えは纏まっていない…。

昨日の出来事を、ローは浮気だと認めるだろうか?

本気だとは言わないだろう。現に、一晩中待っていてくれたのだから…。


マルコ先輩の話で、私の中の浮気に対する見方は随分かわった。


どうする…?私。


マルコ先輩との事は伏せておこう。
棚にあげる様で申し訳ないが、仕方ない…


そんな切羽詰まった表情のまま、キッチンから動く気配の無い私に、


「#name#…こっちにこい」


ローが痺れを切らしたように呼び掛ける。


私はおずおずと淹れたばかりの珈琲を持って、ローの隣に座った。


「昨日の事だが…」


誤解だと。ぼーっとしてたら抱きつかれ、キスまでされたのだと。

あの女の人と、どうこうなるつもりは全くないのだと。

オレは#name#以外の女に興味はないのだと…


彼の口から発せられる言葉は、真実を語っているのを裏付けるように、真剣な眼差しとともに繋がれていく



あぁ…どうしよう…

ローは私の言葉を待つ様に、じっと此方を見つめたままだ…


でも…私は何も言葉が出てこない。

ローの事を…、マルコ先輩の事を…、あたしはどちらを選ぶのか、どうしたいのか…。


「少し…考えさせて欲しい…」


そう…言うので精一杯だった。



ローは、
分かったと、最後に、#name#の事は本気だと。

寝不足もあって、心身ともに疲れきっているのだろう…少しやつれた表情でそう告げると、扉の向こうに消えていった。


玄関の扉が閉まる音を聞いた途端、私はソファーに崩れる様に身を投げた。



今日は学校休もう…



そう呟きながら、一口も飲まなかったローの珈琲カップを眺めていた…









※ここまでお読み頂き、
本当に有難うございますm(__)m

ここで、第一章終了という形にさせて頂きます。


次回からは、マルコ落ち、ロー落ちと選んで頂く様な感じで、全く違う形で物語を進めて行こうと思ってます。
どちらにも、幸せになって欲しいそんな我が儘からこういった形になる事をお許し下さいm(__)m


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -