碧に溺れて 第1章 | ナノ
#15 女の敵
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「見つけたよい」
そんな独特の話し方をする人物に、閉じたばかりの瞼を開け視線を向けた
「マルコ先輩…どうしたんですか?」
予想外の登場にかなり困惑し、こんな顔を見られたくないと少し俯く
「可愛い#name#が泣いてるって聞いてねぃ」
…あぁ、きっとサッチ先輩に聞いたのだろう。
しかし、(見つけた)と言うのだから私を探していたのだろうか…何故?
だが、知っている人とはいえ今は一人にして欲しかった。
しかし、そんな要望を言えない様な雰囲気を出しているマルコ先輩に、何も言葉が出てこずただ俯いていると
いきなり抱き寄せたられたのだ。
そして優しく…壊れ物を扱う様な手付きで頭を撫でられ、
「取り敢えず、泣きたい時は思う存分泣けよい」と、
落ち着いたテノールの声が落ちてきた
抱き寄せたられた事に一瞬にして身体が硬直した。
しかし、優しく撫でられているマルコ先輩の大きな手に、だんだんと落ち着いていく自分がいて…糸が切れたかの様に涙が押し寄せて来たのだ
一頻り泣いた処で、このモヤモヤした…自分では答えを出すのにかなり時間がかかるだろう問題を、この頼もしい胸板で受け止めてくれてるマルコ先輩に聞いて欲しくなる。
恋愛相談なんて、誰に何を言われようと、結局は自分で決断しなくてはならない。
そう言えば昔読んだ本に、
「異性に恋愛相談をするのは下心付きだ」と書いてあった
しかし本気で下心などなく、純粋にマルコ先輩に聞いて欲しくなった
「マルコ先輩…聞いてくれますか?」
未だ頭を撫で続けている彼に話しかけてみた
「ん、とことん付き合うよい」
初めからそのつもりだと、撫でるのをやめ、話を聞く体制に入ってくれた彼に微笑みを返す
向き合って話すのは恥ずかしすぎたので、私は前を向き先程の出来事をポツリポツリと話し出す
話している間、マルコ先輩は相槌をうちながら、
「話しは纏めなくていい。思った事をそのまま言っていいよい」と、私が頭を使い、言葉を選ばなくていいように促してくれる
話終わると、さっきまでのモヤモヤした気持ちがかなり楽になった
そんなスッキリ顔の私を見て、
「浮気ねぃ…」
と呟き
「#name#は絶対浮気は許せない派かい?」
と涼しい顔で聞いてきたのだ。
その問い掛けに首を傾げる。
恋愛経験の乏しい私に、浮気を容易に許せる器などなく何て答えて言いか黙っていると
「あぁ…難しかったかねぃ?」
そして暫く間を置き、今度は女を敵にまわすだろう言葉を放ったのだ。
「男は浮気する生き物だよい」