碧に溺れて 第1章 | ナノ


#14 好機到来




マルコside





昼飯を食べ、仲間と他愛もない話をしていると見慣れたリーゼントが小走りで駆け寄ってきた


確か珈琲を買って来いと頼んだはずだったが、リーゼントのヤローはそんなもんは持ってはおらず、代わりにビックニュースを持って帰ってきた


「マルコ大変だ!! #name#ちゃんが泣きながら校門の方へ走って行ったぜ!」

そしてその言葉を聞いたオレは、直ぐにある事を頭に浮かべた

学校で泣いて、尚且つ飛び出して行くという事は…彼氏と何かあったか…

ほぼ確信しながら、これはチャンスだとにやけそうになる顔を何とか落ち着かせ
探しに行こうかと席を立つと

「この借りはでかいぜ」

などと、下らない事を口走るリーゼントに、珈琲買って来てねぇからチャラだと言い放ち何故かにやけ顔のサッチにこのまま帰ると告げ校門を目指す



外に出て、まず左か右か…
…右だな
ハズレれば、縁がないと諦めるか、当たりだったら…
もう遠慮はしないよい



暫く行った処でふと河川敷に目をやると、目的の人物が寝そべっているのが目に入った

当たりだねぃ

フッっと無意識に出た笑みと共に彼女に近づく


「見つけたよい」


声を掛けたと同時に、真っ赤に腫らした目と視線がぶつかる


オレの登場に
少し…いや、かなり困惑した顔をし、髪を整えながら起き上がった彼女は

「マルコ先輩…どうしたんですか?」


と、まぁ、聞いてくるだろう言葉を掛けてきた


「可愛い#name#が泣いてたって聞いてねぃ」

素直に探していた経緯を話してみるも

「はぁ…」


なんとも曖昧な返事が返ってくる

当たり前か、彼女はオレの事など眼中にないのだから

その証拠に、以前アドレスを渡したにも関わらず
彼女からは一切連絡は無い


ここで、泣いている理由を聞くのは野暮な男のする事だろう

話したけりゃ、自分から言ってくる

だが、思いっきり泣かせてあげるのも大切だ

オレは未だ困惑気味の彼女を抱き寄せ、頭を撫でてやる


「取り敢えず、泣きたい時は思う存分泣けよい」


初め、抱き寄せた事に体を強ばらせていた彼女だが、暫くすると声を出して泣き出した



そんな#name#に、愛しさを感じながら
もう離さねぇ
と心で呟き、腰に回した腕に力を込めたのだった






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